魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

文字の大きさ
上 下
1,228 / 1,319
第24章 ドラゴニックエスタ トライアル

第1220話 風呂の入る頻度は人次第

しおりを挟む
 その次の日になると、柴崎さんから連絡があり、依頼料を出すからと個人用風呂場の設置を依頼され…私と同系の風呂場を設置した。個人用だからな。そして私と一緒の…垢まみれの現実を理解し、しょげていた。だがエナリシアも風呂に入って…そして、つるつるの肌になると、子供みたいにはしゃいでいた。
「これ凄い、凄い!」
 めったに見ないはしゃいだ様子に驚きつつ、彼女の小さい一軒家に来ていた。一応ソルト商会の頭取(ナンバー2)なので、それなりの家だ。が柴崎さんもミニマリストの思考を持っていて家は最低限度でいいという考えだ。そこにどでんとある風呂は…インパクト重視だ。ついでに無限水筒と、発火の魔道具を使ったコンロも設置した。それに喜ぶ当たり柴崎さんも女なんだろう、共同生活しているエナリシアはその日を不思議そうに見つめていたが。
「でもここまで文化的とは・・。」
「一応向こうでも変えるぞ、コンロ型は珍しいがな。後これ。」
「あ!これ。ありがとうございます。」
 それはフライパンとフライ返しだ。あと菜箸と食事用の端だ。これに関しては風切り亭の試作品で作ったことがある商品だ。ただし金属製だとMPは劇的に食うので、結構休み休みで作っていた。そして土変化で加工して…片頭痛と加工の手間のバトルはつらい。簡単なもの以外を作るのは数か月単位になりそうだ。きつい。
「でもすごいですね。」
「半分以上は結構単純な加工品だ。ただしネジとかの精密部品はダンジョンでないと作れないからな。」
 これも本当で、人間の意識的に器具とかなしで十分の数ミリ単位のネジとかの小型ネジは土魔法で挑んだことがあるが無理だった。ダンジョンでも通販でネジを
購入して、それをコピーして作ってようやくできたと言わしめるものだ。ついでに一本2200万DP。…量産は取りやめた。いかにこれの量産が優れていたか分かる。後プラスチック製素材は石油が入るか、通販からも可能だ。軽くて丈夫というのは素晴らしいものだな。
「でもすごいですね。」
「一通りだな。」
 少し感動したように、自宅を見て回る
「そう言えばマスターは建築家ですからね。」
「建築家は家具であってもコーディネートの一部だからな。」
 ただ、まあ、その間エナリシア自体は意味不明に周りを見渡している。
「後エナリシア、全部を理解する必要はないぞ。」
「???」
「家具はその時に必要な時に使うだけの道具だ、普段はいつも通りでしい。使いたいときに学べばいい。」
「…分かった。」
「では早速。湯を張ってまいりますが…一緒に入ります?」
「それなんだがな。地味に私はその辺に興味がない。」
「どういう意味で?」
「本能的。狼だったりケルベロスだったりの性質でどうも風呂が苦手になっている。」
 よく言うペットが風呂に入りたがらない。問題だが…。
「…。」
 エナリシアと柴崎はお互いを見つめていた。
「行ってこい。私は自分の家に戻るが、明日でいい、石鹸の使い勝手だけ教えてくれ。」
「わ、分かりました。」
「…え?」
 エナリシアを柴崎さんが抱っこするとそのまま説明に入っていた。私は…部屋を出た。実際のペットはよく教育さえすれば風呂もちゃんと入れるし、私も風呂は苦手ではない。只まあ、女性陣と一緒にふろに入るのも好きではないし、そこだけハーレム主人公を見習い風呂に入る必要もない。それにだ…
「私は風呂にこだわりが強くて…色々な。」
 意外と建築家にとって風呂は…鬼門である。発注だけで、基本自作できない。ユニットバスとかだ。それに外装を付ける作業か…ありきたりな物しかできない。創意工夫という観点ではあれは…どうにもならん、かといって防水を欠かして奇をてらえば家が腐る。そして風呂場での…事故も結構家では多い方になる。だから定型から手を出しにくい。そして風呂は…地味にいる時間が長いから非常に神経を使う。そう言う意味ではあの”魔法式バスタブ”は画期的だ。何て水道管の配線がいらないからだ。ただし…あれは試作型であれがちゃんと必要な水量を確保できるか、温度を調整できるかは謎だからだ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

処理中です...