魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第24章 ドラゴニックエスタ トライアル

第1198話 武器は殺傷力の上に立つ

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「銃を作る上で欲しいのは素材だ。特に銃身の強さと軽さは必須だ。これは…。」
「木だね。素材がないからね。」
「これだとまず銃身が脆い。」
 叩いてみると軽い音がした。
「まずこれだと。重心が脆くて軽いから。」
「軽い方が携行しやすくない?」
「…。」
 ニャオが不思議な顔で、銃身を見つめている。
「武器の基礎から考えないといけないんだ。まず武器に欲しいのは殺傷力だ。それを既定の値まで行ってからが調整だ。」
「じゃあ、魔力で威力が変動するこの銃は?」
「まず銃身の質。それが最初。そしてもう一つが…分解していいか?これ?」
「出来ればやめてほしい。一応開発中だから。」
「仕方ない。」
「撃ってみていいか?」
「銃を握ってしばらくすると魔力がたまるから。そこでトリガーを引くと射撃されるよ。」
 私は魔力を取っ手に集中して射撃してみるとやっぱり銃身がぐらついている。後…。
「持ち手が緩い。」
 銃を振って見せると銃身が揺れている。
「魔法装置に取っ手があるだけでいいんじゃない?」
「魔法はむしろ装置の方が重要だぞ。」
「どういう事?」
 銃を返すと空を見上げる。
「まず魔法は機能すると物理現象を起こす。」
「それはそうだ。」
「魔法が機能しているのは。現象を起こすまでの可能性もある。が、分からないんだ。」
 発声の魔道具を作った時、価値がある物という事で魔石を素材に魔石に付与魔法で付与を行った。…ドランが言うには様々な物に付与して、その付与した箇所で起きて・・・効果が発動する。しかも規模はMP安定器を付けても現象は様々で安定しなかった。私は暇ではないので、ドランが全部やっていたが…向こうからすると
ロマンがあるから作っているのだが、魔道具の作成は非常に難しい。発声の魔道具も魔石に魔法を付与して。それを対衝撃装甲のついた箱に直置きしただけだ。攻撃魔法は魔石を中心に発動してしまうし威力は高すぎるか、低すぎて威力が出ないかのどちらかで、使用に耐える魔道具の開発は難しいそうだ。で、あの車に使われているのは魔力を注ぐ床の存在とゴーレムコアへの調教だけであとは前世の車の知識を使っている。そう、魔道具はいまだ初歩の段階の技術でしかない。私も苦手で、この辺は容易ではない。
「そして物理現象があるって事は物理の法則が適応される。狭い所で使えば爆発するし、魔法の…いや火の危険性や知識が無ければ行けないんだ。」
「これがこの…魔力のみの矢でも?」
「それは理解できんが…銃身が揺れたりすれば現象だと思うし。検証するしかない。ある学者の論だ。結局学問は検証と集積と、仮説を組み立てる連続でしかない。一部でも崩れる箇所があればいつでも、私達の常識は崩れ去る。だから…経験…検証を多く必要とし、今起きていることを直視する事が大事だとか。」
 俊三さんの言葉だ。研究者の心得だそうで、決めつけてかかるのは危ないという意味でもあるという。
「…経験、検証、逃げない事。」
「だな。まず一個一個問題を洗い出してみればいい。」
「うん、やってみる。」
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