魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第24章 ドラゴニックエスタ トライアル

第1172話 絵心と画材と練習用具は芸術に必須?

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それから私達は中央のゴールディ首都を目指してゴーレムに乗りながら行くことになった。ゴーレムが気持ち悪い事を除けば、見張りもしてくれる有り難い車だ。
そして街と町の間にはモンスターしかおらず、プレイヤーがいない。だから料理の話と化している。ついでに戦闘はゴーレムで踏みつける。終了。って事だ。これが地味に便利で、レベルが上がればMPをゴーレムに注いて出力を上げればいいとはならない。できるのは素材側、ダークマター側の改良だけだ。ゴーレム改良という
魔法でのみで出来るのだが、そこまでではないらしい。まずゴーレムの素材とか、MPを注ぎ込んで強く作る魔法はある。がこれはゴーレム回路を作り直す行為で
・・・マナバッテリーを中心とした回路を作ってしまうと、それを砕かないと再度…回路を生成しない。当然砕けば元の魔力となってしまう。だから…この技術は
中途半端だ。そう言う意味ではゴーレムの魔石に魔力を注ぎそれをいくつも作ってストックすれば使い捨てにはできる。とはいえ…。
「この不細工なのが鳩なのは…。」
「仕方ないでしょ。」
 どうも形を決めるサイト後風魔法の訓練を兼ねて、飛び跳ねるダチョウ原理で飛ばす…飛行シャドウゴーレムで移動していた。凄い揺れるのが欠点だが。ここでも
ダークマターの欠点があった。形をまねする事が出来ても…性能をまねする事が出来ないのと、もう一つは分離していくつも作るという行為が苦手だ。右と左と違う道具を作り、違う性能…例えば”ばね”と”毛布”を同時には作れない、両方ともどっちかになってしまう。だからまあ…形だけなんだ、羽も。しかも適当過ぎて空気抵抗とか計算もされていないから、結構不格好だ。
「絵心は鍛えたほうがいいな。」
「…無理じゃね?」
 私の言葉にニャオはかぶりを振ってユリアは呆れていた。
「無理・・とは言わんな。まずは模写からだ。と言っても…道具もないが。」
「そう言う物か?」
「地面に書けと言いたいが、地面のコンデション次第ではそれも無理だ。」
「どうしてだよ?」
「風が強い砂漠で絵をかいて、風に吹き飛ばされないうちに完成させることはできるのか?」
「それは屁理屈じゃねえか。」
「…いやコンクリートで絵を描くためにチョークが欲しいと同じ理論なんだ。適したものが無いと賭けないんだ。だから演習するのにも環境が欲しいんだ。」
「どうしてだよ。」
「私の地元でもそうだが学校の授業にそこで苦労するんだ。絵なんて書き心地のいい筆記用具が開発されてようやく、日の目を見るんだ。」
 古代エジプトとかでは石板にノミで掘って書き取りをしたとか、石をこすり合わせてノートにしたとかそう言う伝承がある。それ位筆記用具の開発や練習できる
場所の開発は技術に直結する。それくらい…文字と筆記用具は世界を変えてきた。まあ建築家だから石板は格が調べたくて調べた時に出てきた資料だ。
「という事は僕は悪くないよね。」
「…ギルドに行けば紙は売っているぞ。」
 そう、だからと言ってこの世界には紙がギルドで売られていて。筆記用具はないが炭を作れば…書けるだろう。でもまあ…。
「でも…。」
「ダンマスから売ってもらえば筆記用具は手に入るぞ。」
 実際本は置かれ、売られている。でもこれが皮肉なことに…歴史の抹消という話と関わってくる。文字媒体が発展すればするほどそれが消えて消滅する可能性が
上がるという話である。石で刻んだ頃はその石の面を石が壊れるほどの力で叩かないと書かれたことは消えないし、今でも正倉院の木簡は残り、資料として機能する。
「そうだねぇ…。」
 ニャオも渋い顔をする。
「まあここで筆記用具や絵画セットとか手に入るならって事だ。」
「そう言えば。」
「さっきも町もそうだ、予想通り文明は上の世界より高い中世ヨーロッパそのものだ。腐敗はあるかもしれないがサバイバルはない。それもゲームの世界だから
無いかもしれない。」
 その言葉に…ニャオの顔も目で見えて明るくなった。
「だから首都に行って不動産買ってゆっくり生活するセミリタイアはありだと思うが?」
 せっかくの休みだ。何も考えないでボーっとしても悪くないはずだ。性分が許すならな。
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