上 下
1,166 / 1,270
第24章 ドラゴニックエスタ トライアル

第1158話 生きてる意味なんて”生きてる”って事さ。

しおりを挟む
 それから私達の勇者の研究の話、ギルドから聞いた話をした。
「そんな事に…俺も運命の勇者様がいるのかな?」
「全世界に散らばっていて…会えるかどうかも分からん。」
「分かっている転生勇者は3名。そしてその対象者である転生の従者が(4×3)名…+ダンマスか…。」
「その多くは見つかっていない。ダンマスは3レベルでわかるらしいが…それ以外は不明だ。」
「俺の運命の相手…ねぇ…。」
「気にするな。最低でもここにいる時には関係ない。」
「だよな。でも勇者とダンジョンと…魔王…か。」
「魔王と戦いたいか?」
「…そうは思わんな。そこまでして叶えたい夢ってなんだよ。魔王…あんたみたいなやつを倒して得られる幸せってなんだよ。」
「分からん。私もダンマスが何で必要か…意味も分からん。がな…。」
「なんだ?」
「生きてるって事じゃないのか?それが必要って事じゃないのか?」
「生きてるって事か…。笑っちまうな。」
 ユリアは乾いたように笑った。呆れた感じに見えた。
「そうとしか思えん。私は忘れたくて…というのもあるんだろうが…忙しく生きてこれた。それが運がいいと思うし…悪くも思う。」
「複雑だな。」
「生きるってそんなものさ。苦痛で痛みによがる生もあれば苦痛がないなら…死んだほうが幸せだってある。だがな…生きているから楽しいという瞬間や家にいて
ゆったりする…時間そのものは生きてないと味わえないんだ。それには生きてるって事が必要だろ?」「
「だな…部下も含め…一緒にいて笑えるって…。」
 少しずつ、ユリアの声が震えてくるのが分かる。
「今生きてるって…価値があるんだよ。」
「だな。あんた、声震えてるぜ。」
「そうか?」
「これ位にしようか…でもまあ、少し考えさせられた。ありがとうな。」
「未来に悩めるのも…生きてる楽しみだな。」
 特に家を建てる時に家具を悩む瞬間…そのために費やした時間が楽しい。そう言うのは死んだらあるのかが…怪しい。
「すまねえな。少しここで風…浴びてるわ。」
「そうしてくれ…私は部屋に戻る…。」
 少し話過ぎただろうか…まあ、色々考えたいな。今は。

「何か。重い話だったね。ミナ。」
「はい、探りを入れてて増したが、こんな話が聞けるとは…。」
「悩める幸せと不幸せ。って事かな?」
「私には理解できません。ニャオ。」
「ミナにこういう感情がないのは分かるけど…モンスターでしょ?魂があるんでしょ?」
 あえてユリア立ち退いた場所から離れて…僕の部屋に一緒に戻った。
「ですけど…悩める幸せ…ですか…。」
「甘い痛みだと思ってる。」
「何ですかそれ?」
「教授に聞いたことがあるんだよ。人間って、痛みと快楽って同じ神経伝達で、伝達物質の割合が違うだけなんだって。痛みの前に…快楽があるんだ。
楽しいって苦しいの前にあるって事じゃない?悩むも程程なら…それも甘い痛みって事じゃない?」
「私には理解できません。」
「理解しろとは言わないさ。でもあるんだよ。きっと。」
「私も学べるように…努力したいです。」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

あの味噌汁の温かさ、焼き魚の香り、醤油を使った味付け——異世界で故郷の味をもとめてつきすすむ!

ねむたん
ファンタジー
私は砂漠の町で家族と一緒に暮らしていた。そのうち前世のある記憶が蘇る。あの日本の味。温かい味噌汁、焼き魚、醤油で整えた料理——すべてが懐かしくて、恋しくてたまらなかった。 私はその気持ちを家族に打ち明けた。前世の記憶を持っていること、そして何より、あの日本の食文化が恋しいことを。家族は私の決意を理解し、旅立ちを応援してくれた。私は幼馴染のカリムと共に、異国の地で新しい食材や文化を探しに行くことに。

処理中です...