魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第24章 ドラゴニックエスタ トライアル

第１１４７話 細工するちょうどいい時間をプレイヤーに与えると、大抵悪事を働く

ただ、一時間程たÞ、徐々に弱火になるが、数人出てきただけでなんか…様子がおかしい。その間にTRPG談議に花を咲かせている。でもこの時代にクロスボウか…ふむ。確かにギルドの購入リストに無かったはずだが…軍事品扱い、厄介な。
「でも、思ったより数が出てこないな。」
「やっぱり。」
「だよな、ちょっと落ち着くまで木陰で待機して、軽く口に入れておこう。飲み物ね。」
　じっくりさらに一時間待つが、一切誰も出てくる気配がなかった。
「対策済みと見てる。出てきたのがそれだけって事は、大方。」
　そう、出てきたのが数体のみで、それ以上は反応なし。予想通りだが、欠点は内部突入するには少し待ったうえで、マスクをとなる（布）を用意する必要があるって事だ。ただ、ここで歴史にうるさい
マスターとは喧嘩になる。マスクと空気の概念をこの世界の住人は知っているのかって事だ。大抵の魔法世界では生きているのは神様のおかげと…化学が未発展な箇所が多い。そこで空気を知っているほど
化学が知られているのかって事には悩みがある。
「じゃあ、準備をして突入だ。」
　当然ながらダンジョンのトラップ介助役である私はそのまま突撃した。が
「まずいな。」
　骨の形の足跡がある。これはスケルトンがいるって事だ。人間もいた分はいいが、スケルトン…魔物系かネクロマンサー。強敵だな。そして順調に敵を倒してくそして最奥につくとボスらしい…。こっちに立ったまま回転して目を合わせるとかゲームっぽいな。そしてミナがおもむろに近づくと
「ふむふむ。君たちは…。ちょうどいい所に生贄が来た。そしてここにちょうどよくモンスター召喚の生贄台がある、そこでちょうどいい君たちが生贄になって、ちょうどよく、私たちが魔王の先兵を呼べる。合理的と思わないかね？」
　なんだこいつ。
「そのちょうどよさのためにキミは何年待つんだ？」
　珍しくツッコミを入れてみたが…反応は薄いな。
「ほら、ちょうどいい感じだろ？だからそこにちょうど良く座ってくれればいいんだがな。そしたら私がこのちょうどいいナイフでちょうどいい生贄の儀式を見せてあげよう。」
　キャラが濃すぎてどうにもならん。ジョーク系の話にならんタイプの敵だ。
「で、聞きたいんだが、拒否したら？」
　ユリアも一緒のようだ。次官を稼いでもらっているうちに仕込みを…
「大丈夫だ、そこに君たちを黙らせるちょうどいいゴーレムがいる。だからちょうどよく倒される。安心して…。」
「僕思うんだよね。これ話通じてないよね。」
「だと思うぞ、ボーイ。不意打ちもないが、行こうか…。」
「行け！ちょうどいいゴーレムよ！ちょうどいい戦闘をして来い！」
　と一歩歩いた瞬間…ゴーレムは思いっきり倒れ…そして、体のパーツが思いっきり砕けた。
「・・・。」
　全員がちょっと気の毒な顔でゴーレムの跡を見つめる。
「いやあ、暇だったからね。ボコを設置しておいたんだよ。」
　ボコは土魔法のレベル1で１０ｃｍぐらいの穴を掘る魔法だ。ついでに慣れないと1ｍ先の穴を掘るのでさえ難しい扱いにくい魔法である。トークが長すぎてだれるタイプのボスだから設置してみた。数的有利を作るためにゴーレムの足止め狙いだ。が…砕けたな。予想外にもろかった。
「何という！ちょうどいい悲劇！このちょうどいい悲劇に私は怒りに燃えるぞ！この！」
　と、しゃべる間もなくミナの棍棒が魔導士の顔面をとらえる。うっわ、この辺がリアルで本当にやるとこうなる的なものだ。このやるせない怒りはどこに向ければいいんだ？