魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第24章 ドラゴニックエスタ トライアル

第1146話 マスター最初の試練。それが煙攻め

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 まず盗賊たるもの先行し、あまりレベリングもできないままに盗賊狩りが初戦となる。そして盗賊の場所は典型的な…TRPGマップだ。何故か道がある上に盗賊の洞窟前ががら空きで、見張りが暇そうに二人いる。大抵の盗賊は木の柵で要塞化して最悪塹壕も掘ってその上で見張り台迄完備するものだが…。そこまでやると初心者が泣くので、大抵はこれ位緩い。
「どうする?」
「伝統にのっとって攻略する。」
「え?」
「君、火が使えたよね。」
「あ、はい。」
「ちょっと待ってね。」
 そう言うとその辺の青々とした葉っぱを狙ってバサバサ切り出す。…釣られて二人が
「すまないミナ女史。できればあの見張りは無力化できるかな?」
「…やっておきます。」
「不意打ちで頼む。」
 そう言うとミナが一人で…結構分かってるな、茂みの間を縫って
「俺も手伝うか?」
「頼んだ。大方RPG標準で内部で待ち構えていると思うんだ。」
 そう言いながら、いくつか枯れ枝をその塊の中に挟んでいく。
「その葉っぱに火をつけて、あとは僕たちで軽くこの枝で、洞窟内に、これで僕たちが煽る。で、君は出てきたところを魔法で攻撃してくれ。」
 テキパキと指示を出していく。
「扇いでいくか。」
「ああ、元のダンジョンだとその煙は不要物扱いでダンジョンが吸収するのでダメなんだけど。実際はこれで十分酸欠とか、あと一酸化中毒が狙える。でユリア君がそれをバタバタしてる間に足りないなら葉っぱを足すよ。」
 ユリアを私が葉っぱの大きなもので仰いで、煙を送り込む。和製マンチが行う定番戦法の一つあぶり出しだ。ついでに初心者GMの鬼門と呼ばれる戦術で、これのおかげで想定した兵隊が全く機能せず死亡するか脱出の時の混乱でそのまま狙撃して勝利である。水攻め然りダンジョンを構築する際に必ず最初にこの三つへの耐性は確認する。地下に水路を作って水攻め対策とか換気機能を使って限界まで煙を処理させてどうなるかだ。これ地味に…特に煙は厄介な性質がある。ウルフェダンジョンだとそうだが、実際に泊三日となると大抵食事に焚火をする。そしてそこに煙で部屋の中が煙が充満するほど葉っぱを燃やす馬鹿が一定数現れる。ダンジョン物の異世界ファンタジーの多くではこのダンジョン内煙問題は無視されがちで匂いだけではない煙による窒息死を警戒して食事の問題が出てくる。これはフィールドダンジョンでも一緒でその為にサンテとダンジョンの性質について半年は最低でも思いつく限りのネタはやった。そしてダンジョンの耐久力は分かっているので、サンテにはその辺の対策を仕込んである。
「どういう意味だ?」
 ユリアにはわからないようだ。
「で、ニャオ君はそのまま正面に構える。こうすることで出てきた奴を撃てばいい。この状態だと正面には視界をふさいであるし、片手は大抵口を抑える関係でふさがる。」
「じゃ、じゃあ、行きますよ。」
「後待っている間に説明する。」
 大体ダンジョンにはそのまま壁から…いろんなものを吸収するシステムがあるその中に当然有害物質を取り込む機能がある。その限界もかなり高めだ。だが、吸収範囲に限界があり、その観点で実は吸収できる量にも限界がある。その為にあえて我がダンジョンでは気流を作ってでも対策を施してある。まあ、初心者トラップ的にいうとなんでゴブリンが初心者向けで同じ強さのはずのスケルトンが強い扱いなのかという差こそが、この定番計略への耐性だ。なおスケルトンはフレーバーでは火責めされても生きていてよっぽど高熱環境にあると説明しないと死なない。
骨ごと炭化させる温度を出す方法だ。でない場合は有無を言わさず戦闘となる。数人出てきたな。
「ファイアアロー!」
 ニャオ少年から放たれた魔法の矢はそのまま出てきた男と達にヒットする。そしてそのまま…お疲れ様って事だな。このまま殲滅だな。
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