魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第23章 それでもやっぱり領地開発したい

第1119話 組織の存在は本当は正反対のこともある

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そして出てくる多数の質問…。
「で、この本はなんですの?」
「資料としてギルドから提供を受けた今現在判明しているこのイベントで使えるスキルのリストだ。」
「は!?」
「そのスキル。分かっている限りの育成条件も書いてある。今回はこれから3つ選んで持って行ってもらう。ギルドから今後欲しい場合はイベント終了後にレベル1なら売っていいという話がある。勇者にはだ。」
 その言葉に大下も、レイロードも、ラクリッチェも…そしてパオメイもその本を見ていた。
「そんなものがあるんですか!?』
「スキルの調査依頼があったと聞いてる。それがあるなら今まで集めたデータがあるはずだ。場合によっては危険度が変わるからだ。当然把握している。ギルドはどうも、スキルの簡易鑑定ぐらいならカードの能力で出来るらしい。それで…勇者の勇者落ちも確認しているらしい。」
 これは…カードのメールで、旅行中にギルドに連絡を送って、昨日要約連絡が来たないようだ。
「勇者堕ち…。」
「大下君に警告しておく。ギルドは決して勇者をほぼしない。」
「なんでござるか?」
「ギルドは…というより聞いたことはあるか?教授とネルの伝説の話。」
「それは有名ですわ。魔王を倒したのでしょう?」
「いや、正確には第一回で…教授が倒したのは勇者だ。正確には堕ちた勇者。」
 その言葉に全員が固まった。
「それ以来だ。ギルドにはある鉄則がある。悪事を働き、勇者から勇者の称号が消えた時。暗殺部隊が君の元に向かい…いつでも君を殺す。」
「何ででござるか!」
「それが、この国でギルドがある意味だからだ。ギルドは勇者を監視する…組織なんだ。教授は勇者を殺すために呼ばれた勇者だ。そしてネル…ギルドのトップもだ。そしてこの大陸で男が死に尽くしたのも女性しかいなくなったのも…全部勇者がこの国の軍隊と戦って男を殺し尽くしたからだ。その為に悪行に至る勇者は…すべて殺す覚悟だ。今でもな。その為に勇者の上には…ギルドの暗殺部隊…がいる。」
「…神はそれを知っているのですか?」
「その神の元となった聖女たちの中にそれがまぎれていた。と思っている。そしてこの国リンシュメルトが建国に至る…きっかけも勇者の暴走だ。だからこそ…勇者の暴走をして民を傷つけさせるくらいなら勇者を殺す。その為に…ギルドは存在している。」
「それは本当だよ。」
「イーハさんも信用していないのですね。」
 最後の田中さんの一言につい、考えてしまう。
「今のギルドは統治を王に任せ、システムに全振りしている。がギルドの母体はエルフの森のエルシュウッド国だ。それも今のこの大陸の不戦条約の一因となっている。そして、その戦争からまだ5年は経っていない。勇者は、この大陸では尊敬される職業じゃない。そこは覚えておいて欲しい。」
「…そう…ですか…。」
「その上で、ギルドは…君たちに便宜を図っている。君たちの力が民衆の為になるのなら…それは歓迎すべきだって事だ。」
「あなたもですか?」
 エナリシア含め、こっちを見てもらっても困るんだが…。
「私は…目的は建築物を作って満足したいだけだ。その為に資材の開発とかしているだけだ。」
「建物…ですか?」
「ああ、私の本業は建築家だ。依頼を受けて建物を最高の形で作ってあげたいだけだ。ただし…そのために費用もかなり要求する。が…基本は建物が美しい状態であることが…必要で肝要だ。」
「かん・・・よう・・・。」
「なんか、凄い人でござる。」
「まあな、その為に各地を回り興味のままに動くだけだ。いつかはいろんな建築に挑んでみたいし、今でもダンジョンなどでいろんな建築などに挑戦している。」
 満足げに答えるが…どうも反応が悪いな。
「ちょっと驚いたよ。そんな考えとは…。」
「というより変人と言われたことはありませんか?」
 パオメイも田中もなんか…。
「マスターは…変人といえば変人です。例えば部屋の角を見て感動とかしますし。」
「…何ででござる?」
「第一直角は美しいだろ?しかも天然の直角だぞ?」
「天然の直角…。」
「神は言っています。養殖の直角とかあるのか?…と。」
「あるぞ。工場産のだ。といってもちゃんと技術がある場所だとずれも少ないからな。そこはやはり技術が…。」
「なんか、この人が変態と言われた理由が分かったでござった。オタクでござる。」
 やめてほしい。変態ではないと思うんだが。
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