魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第２３章 それでもやっぱり領地開発したい

第１１１４話 文明は常に自然に勝って進化してきた

そして、なんかＧＭやっていたころを思い出すが歩いて、
「私も秘書としてついていきます。今回参加する事になったので。」
　エナリシアと一緒に行くことになった。今度出す新作ゴーレム車”ゴーレムキャンピングカー”の試運転も兼ねている。これは…今までのマナバッテリー型のゴーレムとキーにさらに前に作ったキッチンカーのノウハウと後はわが地方の木を使った軽い木の家を建築した移動型の家だ。まあゴーレムの欠点として車よりは数段遅く歩くと一緒位のスピードしか出ない。その代わりにマナバッテリーを使った回路を御者席に追加してその御者の魔力を吸って普通の人でも運転可能。となっている、ついでに…遅いから大した衝撃設定をしなくても家はそのまま運べるわけだ。そしてこれの他に大型荷物を運ぶ貨物車や貴族向けの大型コンテナフックを追加してある。実際…馬車使った方が早いんだ。実際。先日比べてみてわかったが、これが強かった。それを郊外までダークボックスで運んで走らせている。
「いいが、切ないな。」
「それは、そう思いました。」
　そう、それに内股走りで走ってエナリシアは追いついたのだ。なお、ちゃんと普通の人の早さだった。
「でもこれが…新作ですか？もっと早くできないんですか？」
「言いたいことは分かる。がゴーレムの認識が追い付かないのとそのコストをぶち込むと量産できる費用じゃなくなるんだ。」
「量産コスト…ですか？」
「ああ、それにだ。これの原理を知られても、いつでもそれより凄いものを作れるという…ようにしておけばいい。まだマナバッテリー技術は谷はないはずだ。そしてこいつが非常に高い。２千万ＤＰはする。」
「…一億ですか。」
「これでようやく一日分だ。それが…今の限界だ。」
　実際これには文明レベルというあれが関係していると思っている。前回の施策だとマナバッテリーのＭＰ２００分が２５億していた。それが最近作って２千万まで減額されていた。そしてそれに伴い調査したところあることが発覚した。それが文明レベルによる”加工コスト減少”だ。原材料費は減少しないが技術料は減少する。がモンスターは減額されないがステータスは十分の一になっていた。道具に関しては文明レベルが上がるほどに値段が下がり、今ではゴブリンに”革鎧セット（棍棒付）”を付けても２５ＤＰで済む。ゴブリンが５から１０ＤＰなので、装備付きで３５ＤＰで出せる。これに設定を付けて１００ＤＰにしてもこの総額からファクターによる減額が機能する。その為にモンスターの知力程度とソウルレベルが非常に重要になった。これは…まだ鳥海にも報告していない。いや、このままでは私達は負けると言われているようなものだ。そして…これを言っても結論は変わらない。動物大好き鳥海は決して変えない。がいずれ…亜人の方が勝つし、人間の方が上回る
ということを示唆していた。文化レベルが上がるほどにだ。そう、ドルカスではないが、その文明のあおりを一番受けるのが自分たちだ。これに気が付いたのは…機能だった。ダンジョン作成のためにモンスターの厳選を行っていた時だ。そりゃあ動物も一癖も二癖もあるモンスターを用意できるはずだ。無ければ人間に決して勝てない…という段階が存在するのだ。じゃあ、人間は動物に圧勝か？というとそうではない。今でも人間は動物や自然を恐れている。それくらい…自然も強い。共存してようやく、ぎりぎりなんだ。それを理解しないといけない。
「これで本当にいいんですか？」
「どういう意味だ？」
「もっと早い方がいいのでは？これでは…。」
「これは周囲に慮った結果だ。土魔法を使ったゴーレムのスピードと同じなんだ。その土魔法も貴族が持っている。分かるな、メンツが。」
「…メンツですか。」
　柴崎さんに思うところがあるようだ。
「そんなものは…。」
「正確に言うと、これでさえ画期的で、他社を駆逐しかかっているんだ。相手が危険思想をぶち上げてこっちを禁止しかねない立ち位置だぞ？」
　私もさすがに、言いたいことは分かるが、ここは抑えないといけない。
「そんなに…ですか？」
「ローマ時代から産業革命まですっ飛ばす勢いの発明品なんだ。これは。分かるな？意味が？」
「確かに、すいませんでした。」
　柴崎さんも気が付いたようだ。これが不便に感じるのは現代の速い車を知っているからだ。がそのためには道路の整備とかインフラが欲しい。それにだ。
「それにこのゴーレムにはまだ”ギア”がないんだ。その為にゴーレムの腕力はどんなに頑張っても１０馬力が限界だ。それが頑張ってくれてるんだ。」
「ギア…ですか？」
「初歩的な物避け…車に必要なパーツを私は組み立てる能力がないんだ。そこは…どうしようもないと分かっている。だからこそ…ここは待たねばならないんだ。」
　そう、ゴーレム一体分の力を増幅するための装置である”ギアボックス”の開発や”多段ギア”など、そう言う車に必要なパーツが揃っていないんだ。