魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第23章 それでもやっぱり領地開発したい

第1110話 交渉目的は時として見えない事がある。

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「分かった。となるとトラップは仕掛けておくが…もう一つコツはあるか?」 
 黒川が、なんか騙されたような顔になっていた。
「ダンジョンの装飾ならこっちも手伝いができる。がそれ以外は自分で考えてくれ。それにルーム系トラップとかは普段送ったリストの方で書いてあるから、買って使ってくれ。」
 私のダンジョンショップは、数少ないダンジョンルームそのもののギミックなどを販売している。場合によっては高さが必要で、そのぎみっきを一から全部フェルミィが体を張った実験をしつつ製作している。
「これでも勇者に勝てる…というほどではないんですね。」
「最悪はキラリ砲みたいな大出力をその辺の壁にぶち当てられて、コストアウトを狙われるぞ。勝てるかもしれん。が相手のHPも膨大だったり防御魔法でカチコチのうちはトラップだけで殺せると思うな。」
 ただ、これはダンマスも一緒でダンマスも戦闘にいる限りは勇者と同列の能力を持つことが多い。そうなればどんなトラップを仕掛けても勝てない可能性もある。だからと言って無駄ではない。そこがポイントだ。
「すまないが井原、依頼を変更する。虹原、大幹、後…神原、お前たち。ダンジョンをワンフロア分担当してくれ。そして…俺が2つ作る。但し時間稼ぎだけのフロアだ。で、このダンジョンの監修を依頼したい。」
 ダンジョンをチェックして文句を言うお仕事だ。まあ負担は減ったな。
「いいが?それでいいのか?」
「後俺の分は…外装に関しては奥でサシでやる。いいな?」
「はっ!」
 全員が直立不動となって答えた。こういう軍隊主義的なところも黒川らしいな。

 その後、再度ダンジョンバトルを行い、今度はこっちの”会議室”で一対一の話し合いになった。
「一つ頼みたい。それがダンジョンの外装だけだ。最初のフロアと最後のフロアだけは、芸術点でこっちが組む。」
「今回の魔王バトルでの…要素の一つだな。」
 今回の魔王バトルの審査は”お得度、芸術点、難易度、面白さ”などが関わる。かなり要約してある。その内お得度はダンジョンで勇者に与える報酬がどの程度の物か、これにリピート性が生まれるかというところだ。ダンジョンの醍醐味には背景の美しさも関わってきてゲームとかだと、シチュエーションと合うダンジョンの背景などは美しい背景は必須である。
「で、これとこれ。魔道具で出来ないか?」
「これの意味は?」
 出されたのは一つの写真だ。
「実はダンジョン商店街という話をドルカスの所がしてるだろ?あれを真似て…大型ダンジョンを南のお前たちの所の水木の所の国とつなげる計画がある。そこのトンネルに”地下ダンジョン都市”を作って街道を通す計画がある。そこにダンマスたちの店を作らせて…最近鉱脈を買う事が出来てな。そこで鉱山地下都市を建築する。」
「鉱脈?そんなものを売る奴がいたのか?」
「ルーム扱いだな。だけど可能だったらしい。」
 私達も内職で鉱脈を作ったからわかるが、それを売る奴がいるのか?
「何の鉱脈かわからないが、その前にダンジョンの地質調査だけはしてくれ。」
「分かった。それはしておこう。」
「こっちでもするがいいか?」
「どこに作るかは計画中だ。その為にもこの…写真の建物が必要となる。」
「…本当にか?」
「思い出だな。これはうちらの最初の出店した店だ。そこでうちに来た女と化粧が旨い販売員を使って店を作った思い出の奴だ。」
 なんとなくやってる事を予想出来てしまった。
「んでな。剣崎とか4人ほど、ここで映画さながらの事をしたいと。だから作って損はない、むしろこれを見せる事でギルドから初心者を引っ張れると思ってる。」
「外装だけならばと見栄を切ってしまった以上、これを作るのはやっておく。が費用はかなり高めに貰うからな。」
「まあな。野原や荒野しか見ていないと、ある意味心がすさむんだよ。あのごちゃついたあのころ。匂いが凄くて、腐った匂いでも…あの適度なお互いの距離感は新米の頃の事を思い出してな。」
「娘さんはいいのか?」
「こっちには関わらせん。そのつもりだ。ダンジョンも産業だからなそれに鉱脈の維持費が高すぎて、普通のダンジョンの作りだと賄いきれん。」
 鉱脈はダンジョンルームで存在するが…欠点は維持費だ。削られるたびにそのコスト分はその鉱物をDPで生産したと同等は失われる。また復活のタイミングは毎度おなじみ”誰も見ていない時限定”だ。その為に管理人となるモンスターがいないと鉱脈が削られて消滅してしまう。なのでそう言う意味でも鉱脈作成はダンジョンにとっては高収益にして…管理能力が問われるギミックとなる。その為にわがダンジョンでの鉱脈の設置が遅々として進まないのである。最初から専門のダンジョンを組めばいいが、そんな余りはこっちに無いのだ。
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