魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第23章 それでもやっぱり領地開発したい

第1095話 盗賊が予兆なしに襲ってくる確率は0.0003%以下である。

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「なんか早くないですか?これは?」
「今回は急いでいる。これは事実だ。」
 その日の夜…私が浮遊の特殊仕様でスピードアップさせた、普通のゴーレム馬車の場合動物みたいなリスクが無く、大量に物資を運べる代わりにゴーレムの出力自体は普通なら人…しかも子供一人分の貧弱な能力しかない。それをMPを追加で注ぎ込んで更にゴーレムコアをマナバッテリー化する事でMPが無くても高出力のゴーレムが維持される。しかも補充は御者のみとなっている。ただしこのシステムは問題も多い。というのもどうも魔力補充時にもっている普通の魔石だとMPが吸収されていると同時に消失することもわかっている。どんなギミックか全然わからんが、そう言う事が起きてる。で、大体のスピードは時速45km。しかもゴーレム判断による自動回避システム込である。普通の車よりも安全かもしれん。…え?もっとスピードが出せるかもしれん?…無理でした。ゴーレムのINT上げても判断の処理の関係で大体時速50kmで判断のミスが現れ始め。100kmでは車と変わらない…自動判断障害物回避機能は機能しない。そういう事で安全運航できる限界の45kmとなっている。なおこのスピードだとステータス1200程度の勇者の平均移動速度で…体力の加減もあるが、勇者が爆走して走るよりは遅い。しかもアイテムボックス持ちなら、運送量さえ負ける。が私はこっちが好きだが…。
「早いな、これが大商会の力。」
 私が、3人に昆布茶を差し出す。後の人たちの分は、子供たちに運んでもらおう。今は夜で、食事も保存食を食べて終わらせたところだ。がこのスピードに島原も驚くとかは思わなかった。
「…あんた本当に凄い。」
 ただ、私はこう会話しながら実はかなり緊張している。それが…島原のガードが甘すぎるんだ。どうも元々スキルのガードが非常に甘く、簡単に”通販”を使って商品を取り出そうとした。なのでそれに先んじて私がダークボックスから商品を出したり、会話で妨害しながらの隠ぺいをしている。
「これは特別性だ。買うと金貨・・・一万枚を超える。」
「「え!」」
「当たり前だ。普通のゴーレム車はこんなに早くはないし、あれの利点は何も使わなくても 大量の荷物を運べる点だ。運搬に人間以外の食糧をつまなくていいというのは馬車と違うし、移動時間的に馬車みたいに動物の休憩を挟まなくていい。」
「これを我々に売ってもらえますか?」
「この国全部を売られてもこいつの購入金額には及ばんよ。それ位の技術を注ぎ込んている。」
 実際このゴーレムコアに使われているマナバッテリーだけで20億超える…MPを…私がコツコツまとめて作ったのだ。こんな物が市場に出回れば…この国が凶悪ゴーレムで潰されかねない…程この国の国力は低い。という意味だ。実際人を3人運んで…向こうは引っ越し家具を載せたうえでの45kmである。現代並みといえば現代並みだ。しかもその基準だとこの道は悪路だからかなり早い。
「これが…そんなに…。」
 よく見ると乳母さんも護衛さんもあのゴーレム車を見ている目が変わってきた。
「よく使いますね、そんな高級品。」
「これを使って交易行商する方が儲かるからな。道具は使ってこそ活きる。」
 これもよく建築現場で聞かされた内容で、高い高級工具でもそれを取っておいては腐らせる。それでミスして自分が工事できない身体になればそいつの意味はない。それなら手入れを覚えて使った方がずっとましである。という話だ。よく言う必要物品への投資とはこういうことを言うんだなと思ってしまった。
「だとしたら…これの運輸は…。」
「今回は勝機を逃さない為の行為だ、気にするな。荷物が重くなれば消費が激しくて…使い物にならんくなる。」
 そう、このゴーレム車が売れない理由が…これでもある。ゴーレムのステータスが上がるほどに消費が激しくてこんなに頑張っても7時間も走れば0になり、それをシルキー達に補充させようとすると。3か月かかる。こんな馬鹿食い燃費のゴーレム車…世に出せるわけがない。で、これに補充できるほどMPを持った奴がいるなら…そいつのステータスは大抵一万を超えていて、そいつが走った方がすべてが早くなるという…ある意味欠陥品でもある。
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