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第23章 それでもやっぱり領地開発したい
第1084話 こじんまりした店に重鎮がたまる現象は結構ある
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とりあえず、色々用事がたまったので、そのままギルド本部に向かい…話をしてきた。ダイジェストでいうと、許可をもらった。で、一応商品を置いてもらえることになった。録音ボックスだ。小型化もできるがこっちで販売する事で売り上げをかなりの数キックバックしてもらえることになった。と言ってもこっちで商品を作った上で7割キックバック。向こう3割だ。こっちはやめてもいいという契約となった。というのも豪華客船の一見以来あの箱の録音機能を使いたい貴族がこっちでは増加した。なおマルワール本国では悪評が多い。その為、こっちとの兼ね合いで作るか会議中だったらしい。で、こっちから出すことになり、出し物を説明。場所は向こうに任せることになった。それ以上は知らん。それに移動が簡単な物を出すので、それでカバーできるだろう。飴とかは後でダンジョン町に行けばいい。あそこになんかあるだろ。
「でもまあ…。」
そう言いつつ歩いていく柵はリンシュメルトでは珍しい”貧民街”だ。実は設計時からローマ再現というか、中世ヨーロッパ再現の古い町並みのある細い通りも作ってある。そしてこれがリンシュメルトの中央十字からなる碁盤目の間にある事から”短冊蛇通り”と呼ばれる。向こうの再現の際にこういうくねった道が結構多いから作ったものだ。そしてその中に地元民は暮らしている。金持ちだと表通りのアパートに住むがそうでないならほぼタダのこの短冊蛇に住む。そしてギルドから聞いた雑貨店はその中にある私達イーハ商会や”スーパー楽園”と一緒のギルド提携店だ。が聞いたことはなかった。そしてその名前に思い出がある。それが魔界天空の浮遊島支店がその雑貨店だからだ。そこで魔道具が作られているらしく、魔道具の提供先として登録されていた。と言っても
「まあ、この辺の歪んだ街並みとそしてこの雑然とした家は、スラムなりの良さがある。国の民度を示すがな。」
実際私はローマにおいても、ロンドンでもこういうアパートや一般家屋が好きだ。但しまあ1600年後半だとこれも消える。貴族の邸宅を建てるのにスラム街は壊されることが多くこういう雑然とした街並みは消えていったのだ。
「ここかな。一応お土産もって来た。」
そこはスラム街にあって一軒の古びた家に見えた。看板は少し斜めになっていて『NEO雑貨店』と書かれていた。ただ私からすると、味のある建築で古さも相まってかなりの好みだ。ただし忘れてはいけない。この町自体は出来て3年の町であり、こんな古びた雑貨店なんてできる余地はない。そう、こうなるようわざと作られていると考えられていて…。
「ふむ、こだわりはあるな。」
意を決しドアを開けると、ドアについたベルがチリンと鳴る。中には金髪の少女…見たことがある物が一人、そして雑貨店のわきに置いてあるテーブルにお茶をたしなむフルプレート。これも見たことがある。
「…ようこそ。」
そう、声は戦の乙女にして戦神であるケイだ。
「お呼びになったので参りました。でいいのかな?これ。」
一応簡単に向こうで作ったでんぷん水飴で作った砂糖菓子を置く。少し甘みが薄いものの結構上品な甘みで女性好みだと思ったからだ。
「ありがとうございます。着席してください。飲み物は紅茶とコーヒーどちらにします?」
「あるなら緑茶をお願いしたい。コーヒーには完徹の思い出が深くてね。客で来た時は緑茶を頼むことにしている。」
「分かりました。」
実は鳥海の思い出召喚に緑茶(高級茶葉)があり、意外と緑茶が多いの事は知っていた。それに豪華客船の時の飲み物にいろいろあったのは見ていた。コーラは結構ダンマスでは多いからな。
「…座って。」
ハーリスが飲み物を取りに行っている間に私はフルプレートの女子の前に座る。
「…頼みたいことがある。」
「出来る事なら。」
「ダンジョンを作って欲しい。」
「…どういうわけで?」
「ダンジョンだけで相手を殺すダンジョンとか作ったことが無い。モンスターが無くても成立するダンジョンとか。それに例のダンジョンの企画書を見た。そこで二つの依頼を考えた。」
「二つ…ですか?」
「一つは利益の出るダンジョン。これは私の担当であるパルミダークのダンジョンで使う。」
「その辺が分からないのですが?」
「…説明する。」
説明はかなりたどたどしく長いので、これも要約するとこの勇者大陸は9つくらいダンジョンがある。長峰辺境公の管理となった”魔石鉱山”、”ダイヤモンド鉱山”。リンシュメルトの南の管轄の建築予定の”暖の迷宮”寒の迷宮”。そしてエクトネーゼの”ゴブリン村”。そしてあまり知られていないエルシュウッドの最奥のダンジョン”植物公園”、そして最古のダンジョンパルミダークの”初心者ダンジョン”がある。が最近は初心者講習場としてこの本部に”初心者ダンジョン”移設の計画があり、そうなるとパルミダークのダンジョンは要らなくなる。がここで問題なのが…実はパルミダークのダンジョンは一度消滅した。というのもパルミダークのダンジョンは元はリューネが持っていて、それがランキング消滅の際に消滅したためだ。それ以来再建されていない。そして初心者ダンジョンは…今後金カードの最低条件としてこの初心者ダンジョンのクリアを入れる予定だという。そうなるとこの大陸の大都市の一つパルミダークにダンジョンが無くなることになる。そこで私に収益性の高いダンジョンを作ってもらい住民に満足してもらうという考えだ。ここまで力を入れるのは…パルミダークは地味に陸の孤島らしく元はエルシュウッドのあったところの土地と交易して食料を買い込む都市で、今では酒以外の産業のないかなり不利な地形だ。それでも勇者が提唱した”揚浜塩“という。海水から塩を生成する方法で盛り返しつつある。が、塩は悲しいかなエルフ塩がギルドで売っており高くていいなら高級の塩が置いてある。その為に最近は都市の購買力低下で困った展開だという。一応今はエルシュウッドの支援で食料がエルフから売られていて塩と交換という形になっている。が、鋼管材料となる産業がないのはつらい。そこでダンジョン再建計画である。
「ダンジョンでエルフとの交易品を出させるのか。」
「…そう。」
「そしてもう一つは、煮え切らないコンセプトになりそうな、刺激的なダンジョンが欲しい。」
「どういう意味で?」
「…リューネが新しいダンジョンを作るのにコンセプトが固まらなくて悩んでる。何かできない?」
「コンセプトが煮え固まらない…か。結構あるな。」
実は相談された建物とかないが、TRPGとかの寄り合いになるとネタを練ってマスターをするのだが。中々コンセプトが思いつかない事がある。適当でありきたりなダンジョンや品塩はすぐにマンネリになるし新システムは拒否反応が凄い事も多い。だから結構感が無いといけない。そして大抵やり尽くされたネタに行きがちでそれで色々考えちゃうんだよな。
「そういう時は必須の分を組んだ後に…一度離れることを進めるよ。思いつかない時に考えても思いつかない。なら何も考えないでパーッとなんかしたほうが逆にぴったりはまる時がある。ま、私もネタに困る時があってね。その時の教訓だ。」
「…分かった。じゃ。」
そう言うと、さっとケイは立ち去ってしまった。
「すいません。余り慣れていなくて。」
ハーリスさんが謝るが気にしていない。
「さて、これで終わりなら…緑茶だけもう一杯もらえないかな?なつかしくて。」
「分かりました。」
そう言うと。わざわざ急須からお茶を入れてもらうのだった。
「でもまあ…。」
そう言いつつ歩いていく柵はリンシュメルトでは珍しい”貧民街”だ。実は設計時からローマ再現というか、中世ヨーロッパ再現の古い町並みのある細い通りも作ってある。そしてこれがリンシュメルトの中央十字からなる碁盤目の間にある事から”短冊蛇通り”と呼ばれる。向こうの再現の際にこういうくねった道が結構多いから作ったものだ。そしてその中に地元民は暮らしている。金持ちだと表通りのアパートに住むがそうでないならほぼタダのこの短冊蛇に住む。そしてギルドから聞いた雑貨店はその中にある私達イーハ商会や”スーパー楽園”と一緒のギルド提携店だ。が聞いたことはなかった。そしてその名前に思い出がある。それが魔界天空の浮遊島支店がその雑貨店だからだ。そこで魔道具が作られているらしく、魔道具の提供先として登録されていた。と言っても
「まあ、この辺の歪んだ街並みとそしてこの雑然とした家は、スラムなりの良さがある。国の民度を示すがな。」
実際私はローマにおいても、ロンドンでもこういうアパートや一般家屋が好きだ。但しまあ1600年後半だとこれも消える。貴族の邸宅を建てるのにスラム街は壊されることが多くこういう雑然とした街並みは消えていったのだ。
「ここかな。一応お土産もって来た。」
そこはスラム街にあって一軒の古びた家に見えた。看板は少し斜めになっていて『NEO雑貨店』と書かれていた。ただ私からすると、味のある建築で古さも相まってかなりの好みだ。ただし忘れてはいけない。この町自体は出来て3年の町であり、こんな古びた雑貨店なんてできる余地はない。そう、こうなるようわざと作られていると考えられていて…。
「ふむ、こだわりはあるな。」
意を決しドアを開けると、ドアについたベルがチリンと鳴る。中には金髪の少女…見たことがある物が一人、そして雑貨店のわきに置いてあるテーブルにお茶をたしなむフルプレート。これも見たことがある。
「…ようこそ。」
そう、声は戦の乙女にして戦神であるケイだ。
「お呼びになったので参りました。でいいのかな?これ。」
一応簡単に向こうで作ったでんぷん水飴で作った砂糖菓子を置く。少し甘みが薄いものの結構上品な甘みで女性好みだと思ったからだ。
「ありがとうございます。着席してください。飲み物は紅茶とコーヒーどちらにします?」
「あるなら緑茶をお願いしたい。コーヒーには完徹の思い出が深くてね。客で来た時は緑茶を頼むことにしている。」
「分かりました。」
実は鳥海の思い出召喚に緑茶(高級茶葉)があり、意外と緑茶が多いの事は知っていた。それに豪華客船の時の飲み物にいろいろあったのは見ていた。コーラは結構ダンマスでは多いからな。
「…座って。」
ハーリスが飲み物を取りに行っている間に私はフルプレートの女子の前に座る。
「…頼みたいことがある。」
「出来る事なら。」
「ダンジョンを作って欲しい。」
「…どういうわけで?」
「ダンジョンだけで相手を殺すダンジョンとか作ったことが無い。モンスターが無くても成立するダンジョンとか。それに例のダンジョンの企画書を見た。そこで二つの依頼を考えた。」
「二つ…ですか?」
「一つは利益の出るダンジョン。これは私の担当であるパルミダークのダンジョンで使う。」
「その辺が分からないのですが?」
「…説明する。」
説明はかなりたどたどしく長いので、これも要約するとこの勇者大陸は9つくらいダンジョンがある。長峰辺境公の管理となった”魔石鉱山”、”ダイヤモンド鉱山”。リンシュメルトの南の管轄の建築予定の”暖の迷宮”寒の迷宮”。そしてエクトネーゼの”ゴブリン村”。そしてあまり知られていないエルシュウッドの最奥のダンジョン”植物公園”、そして最古のダンジョンパルミダークの”初心者ダンジョン”がある。が最近は初心者講習場としてこの本部に”初心者ダンジョン”移設の計画があり、そうなるとパルミダークのダンジョンは要らなくなる。がここで問題なのが…実はパルミダークのダンジョンは一度消滅した。というのもパルミダークのダンジョンは元はリューネが持っていて、それがランキング消滅の際に消滅したためだ。それ以来再建されていない。そして初心者ダンジョンは…今後金カードの最低条件としてこの初心者ダンジョンのクリアを入れる予定だという。そうなるとこの大陸の大都市の一つパルミダークにダンジョンが無くなることになる。そこで私に収益性の高いダンジョンを作ってもらい住民に満足してもらうという考えだ。ここまで力を入れるのは…パルミダークは地味に陸の孤島らしく元はエルシュウッドのあったところの土地と交易して食料を買い込む都市で、今では酒以外の産業のないかなり不利な地形だ。それでも勇者が提唱した”揚浜塩“という。海水から塩を生成する方法で盛り返しつつある。が、塩は悲しいかなエルフ塩がギルドで売っており高くていいなら高級の塩が置いてある。その為に最近は都市の購買力低下で困った展開だという。一応今はエルシュウッドの支援で食料がエルフから売られていて塩と交換という形になっている。が、鋼管材料となる産業がないのはつらい。そこでダンジョン再建計画である。
「ダンジョンでエルフとの交易品を出させるのか。」
「…そう。」
「そしてもう一つは、煮え切らないコンセプトになりそうな、刺激的なダンジョンが欲しい。」
「どういう意味で?」
「…リューネが新しいダンジョンを作るのにコンセプトが固まらなくて悩んでる。何かできない?」
「コンセプトが煮え固まらない…か。結構あるな。」
実は相談された建物とかないが、TRPGとかの寄り合いになるとネタを練ってマスターをするのだが。中々コンセプトが思いつかない事がある。適当でありきたりなダンジョンや品塩はすぐにマンネリになるし新システムは拒否反応が凄い事も多い。だから結構感が無いといけない。そして大抵やり尽くされたネタに行きがちでそれで色々考えちゃうんだよな。
「そういう時は必須の分を組んだ後に…一度離れることを進めるよ。思いつかない時に考えても思いつかない。なら何も考えないでパーッとなんかしたほうが逆にぴったりはまる時がある。ま、私もネタに困る時があってね。その時の教訓だ。」
「…分かった。じゃ。」
そう言うと、さっとケイは立ち去ってしまった。
「すいません。余り慣れていなくて。」
ハーリスさんが謝るが気にしていない。
「さて、これで終わりなら…緑茶だけもう一杯もらえないかな?なつかしくて。」
「分かりました。」
そう言うと。わざわざ急須からお茶を入れてもらうのだった。
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