魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第２３章 それでもやっぱり領地開発したい

第１０８１話 ダンジョンの鉱山的側面がある可能性

　それから一時間みっちりかけてダンジョンのある街の利点と欠点を告げた。そして…ダンマスにはダンジョンを建てる…限界が存在している。そして、元々南の開いているダンジョン枠はあと一つ。
「そして、通称聖女教会派のダンマスはあと一人だ。長峰辺境公だ。もし頼むならそちらになるが…。」
「あの方は…。」
「土地の位置的に頼むのはお門違いだと判断する。」
　彼は元々南と一緒にギルドに反逆したダンマスの一人で、鳥海と一緒の鳥のダンジョンマスターだ。が、彼の支配地域は旧モートリア国の箇所だ。しかも結構広い。
「あそこに頼むのは…。」
「無理筋だと思うぞ。同じ陳情を向こうが受けていないとは限らない。」
「確かに治安と引き換えでござるか…。」
　ダンジョンのある街というのは炭鉱に近い側面がある。そしてダンジョンでは戦闘をする。だからこそ…ダンジョンを出ても血気盛んなままだったりする。当然けがや病気、死体などの腐乱もあるがそれだをダンジョンが抜いても戦闘による興奮状態の冒険者は当然発散をさせないと、犯罪などを起こしやすい。実際パルミダークダンジョンでは起きていて、冒険者専用の売春宿や酒場など様々な施設を併設しないと、ダンジョンがあっても冒険者に村を滅ぼされかねない。
「うまくいかない物ですわね。」
「わがダンジョンでは町の設営をすべて商人達を放置したうえで…最低限度の物しか指示していない。お互い必要と思うからそれは作られるという事だ。ただし医療だけは無いと人の死亡が加速すると思い。あの形だ。」
「…でも…。」
「対策が無いわけではない。が…私に言うのは拙速であると思っている。後は要件があるかね？」
「…一つ聞きたいでござる。ダンマスは魔王でござるか？」
　確かに疑問に思ってもおかしくない内容だが、３人の顔はこわばっていた。
「…難しい質問だがな。」　
　私も落ち着いて影からポットを取り出し、飲む。
「私はそうでないつもりなのと。魔王と呼ばれるモンスターは存在する。」
「！」
「私が知っている限りは魔王エレノアなどだ。」
「伝説のモンスターでござるな。」
「２００ｍのドラゴンを足蹴にする魔王だぞ。」
「は？」
「それくらい強いんだ。普通にやって勝てるとは思えない。まあ、ダンマスもピンキリで強い者も弱い者もいる。だからこそ…私達はお互い…刺激しないように暮らしている。そんな化け物がこっちに来られたら私は死ぬぞ。」
「そうでござるな、魔王について聞けたのはありがたいでござる。」
「君たちは魔王討伐に参加したのだろう？あの魔王は強かったのだろう？」
　自分も参加していたが、そこは言わなかった。
「何というか…なんか手加減されている気がしているでござる。」
「なら助言を送ろう、どんな時でも…”生きていれば儲けもの”だ。」
「何ですか？それは？」
「人間死んだら何もできない。死ぬことに意味はない。死んで生かす手もあるが自分が生きていることは幸運でそれ以上は考えないという考えだ。あの時の魔王もそうだがあんな状態でも運が悪くて死にそうになった奴もいる。回復魔法でフォローが効くとは言え、参加できないかった勇者とか異世界人もいる。まずは生きて…魔王討伐できたことに感謝すべきでは？第一手加減されたから…あの魔王に一騎打ちをして死にに行きたいのか？」
　正論パンチに近い内容だが…これには思い入れもある。シロウにしろ…私も運がいい方だ。立地は必ずしもいい方とは言えないが死んだダンマスもいるし、幸運と言えない。
「そうは言ってないでござるが…。ちょっと呑み込めないでござる。」
「分かっているよ。それを悩んで入れるのも…若いって事だ、思う存分悩んで…考え抜くといい。」
　かなり見かけとオタク言葉はあるが、中味は純朴な少年だな。
「後は聞きたいことはあるかね？」
「神は言っています…。ん？んん？一度雑貨店？に来て欲しい？神の啓示ですが…意味は不明です。」
　ラクリッチェは少し悩んだようにそう答えた。
「なら聞いていると思う。流石にそう言う呼び出しは断りたいが、そちらに向かおう。」
「出来ればどういう意味か聞きたいのですが？」
「…それは秘密だ。が、手土産は持って行こう。君たちはどうするかね。」
「後、できればしばらくエナリシアを我が領に貸してほしいのです。書類とかできる人がいなくて。」
「だと、どうする？エナリシア？」
「…支援金を。」
「分かっている、出そう、こういう時に払いが悪いと…ケチな男だと見えるからな。」
　微笑んで帰すが、エナリシアの顔はそんなに機嫌のいいものではなかった。
「では失礼しました。お時間いただけて感謝いたしますわ。」
　そう言うとレイロード嬢たちは席を立つのだった。