魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第２３章 それでもやっぱり領地開発したい

第１０７３話 見た目より同業他社が少ない業界は結構多いです

　鳥海が、ＳＮＳを調査し調べたところ。現在発覚しているダンジョン同盟は…亜人同盟と提携を含むと、パンダ同好会、千鳥万花、魔人連合。スキュラカンパニー、草原連盟だけらしい。他は個人であり、同盟は見た目より、条件が厳しい。最初の条件である”お互いダンマスがコアを持って、交渉する”という条件を満たすのが難しい。その為、６つしかない。昔はここに大陸統一機構があったが、今は亜人同盟に吸収されている。山岳同盟もだ。パンダはまだ提携のラインで、完全な合併には至っていない。これは水木が聞いたところによると、”ゲート”無しでは行き来できないため国家の統一…までには至らないそうだ。しかも草原は下位層でまとまっているため、こっちとは比較にならないらしい。なんか、この中で６つ中の４大ダンジョン同盟と言われると、非常に切ないな。まあ、うん、考えないでおこう。まあ、その内、魔人にも同じメールが来て…参加非参加を考えていた。期限は”次のイベントが終わるまでに”である。開始日は変更されない。かなり難しい判断が迫られる。ボイコットする手も考えられるが。
「やめるか？作れと言われたら作るには作る。戦略もないのに、動くのはこういうのに不味い。」
「こういう、スポーツ外交はやったことないだわさ。だから苦手だわさ。」
「スポーツ外交？」
「ちょっと…というか、不安定要素が強すぎてアチシは、嫌いだっただわさ。国際関係では…よくあるだわさ。弱い団体とか、スポーツ大会で一位になったりすると、交渉に強者感が出せるという交渉方法だわさ。」
「分からん。それで国が強くなることもあるまい？」
「これが難しいだわさ。」　
　スポーツ外交の歴史は地味に古い。オリンピアがあったころから、スポーツは常に大衆の娯楽だった。がその頃から王族たちは集まる機会。又は祝宴というのはかなりの数があった。参加不参加もあるが基本王族は参加する大会などでそれは友好関係もあり、凄い狭い王族間の付き合いとなる。そこでは、子供の争いではないが些細な事でマウントの取り合いになる。まあそこで出てくるのはスポーツ選手だ。
「アチシ達は、そこまで大きい祖組織だと思ってないだわさ。」
　鳥海の戸惑いもわかる。扱いとしては我々はその王族だと言われているようなものだ。が問題はここからだ。ダンジョンマスターの数はともかく基本。ダンマスはいくら会談で決めごとをしようが、脱退は自由だ。それはルール上明言されている。入る時は入れる側が審査できる。当然、強くて報酬のいい組織にすがりたいのが…ダンマスたちの考えだ。その中で小さいマウント行為でも敗北を許せば…自分たちの身を案じたダンマスが雪崩を打って逃げ出すとも考えられる。今は亜人同盟が最強なうえに初心者向け支援プランでダンマスの数もトップだが。水木の話だと、ダンジョンの位置や規模は重ならないように管理され、地味に…不満がある。
ただ…それに…もう新入りが入ってこないと思われるのに、初心者と呼ばれる現状をダンマスが許すのかは別だ。そう言う意味では締め付けがきつい亜人は初心者を下に見ている。そう、現在ダンマスが誰につくのか、地味に流動的な局面だ。
「大きくするのか？」
「したくないだわさ。ダンマスが多くなると、当然支援されて当たり前の甘えたダンマスが多くなるだわさ。ただ、ダンジョンバトルを断っている現状があるとはいえ、そこまで弱くも見せたくないだわさ。」
　そう、ここで断れば、流動的な現状で…ネガキャンが張られるのは分かっている事だ。
「でも、ここにきてスポーツ外交か…。」
「そうだわさ。ダンジョンバトルが嫌いな理由もそれだわさ。…変に名を上げると私怨を受けたり、ろくなことが無いだわさ。好感度とか、まあ正確にはみんなに中立ショップ路線が一番稼げるだわさ。」
「何でそう考えるんだ？」
「ダンマスはどっちかというと、素質だけで作られた国家みたいな動き方だわさ。当然その力にうぬぼれるだわさ。勝って当たり前。従って当たり前。その中での負けは…相手を狂わせる一手だわさ。」
　・・・教訓として覚えておこう。
「だからこそ、謙虚でないなら…王の素質は無いと思っているだわさ。そこで、スポーツという些細な、自分でなくとも自分の代表がいる場だと…当然勝つ…とは限らないだわさ。ルール次第だけど、…起きないとは考えられないだわさ。だからこそ…スポーツ外交は難しいだわさ。戦略を立て、競技に必要な人間を育成し、更に専門家を雇って備えるだわさ。がここからが問題だわさ。昔からこのスポーツ外交は文字通り戦争のきっかけになったりする…私怨を生む場合があるだわさ。だから難しいだわさ。その人の感情的な者とか、その日の気分が文字通り関わる外交だわさ。」
「何か、はっきりしないな。」
「まあ、それこそ古代の頃の政治だと、○○の優勝者がいる丸々という国は強いとかいう…話だけで戦争が回避できたとか。弱い○○の国が優勝して、国民の態度も負けた強国に胸を張るようになったとか。そう言う、ファクターが多いだわさ。」
　そう言っている鳥海の顔は、さえていない。
「ずっと考えていても、結論出ないだわさ。参加するかしないか、何位を目指すのか…だわさ。」
　なんかこっちが考えたのより数倍複雑な感じだな。