魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第22章 勇者大下の冒険

第1054話 エナリシアの旅 狼骨

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「つ、疲れたでござる、これは迷う。」
「ですね、4回、道に迷いました。」
「今後、私がマッパーするわ。」
「頼みますわ。これは、案内人必須ですわ。」
 大下たちが2Fへの入り口を発見したのは…ダンジョンに入って4時間後、しかもかなり道に迷っての事だ。
「でもこんなダンジョン初めてでござる。…ダンジョンが自分から組み換えをするダンジョンでござるよ?」
「これは確かに黄泉の大穴だわ。」
 階段を降りていくと、焚火にパンを串刺しにして、食事の準備をしていた、エナリシアがいた。下り階段のかなり大きめの踊り階段でかなりの余裕がある。
「エナリシア!」
「…どうしてここに?」
「助けに来たでござるよ!」
「…身を挺して盾になったのに・・・ありがと。」
 大下を柔らかく抱きしめ。感謝した。
「結局どうしてここに?」
「あれから行った後強行突破して、ひきつけた。で、階段を見つけて転がり込む…そこから先は追ってこなかった。」
「でも、逃げれたのでは?」
「こっちで囮になるつもりでこっちにいた。まあ、魔力とかガンガン使ったから…回復にしばらく時間がかかると思った。」
「あ…。」
 そう言えばエナリシアは今までMPを使う行動をとってこない上に狩人の体質で”持久戦”には不慣れだった。
「だから、回復するまではここにいるつもりだった。回復してからまた強行突破。」
 全員が座ると、焚火から串焼きパンを取り外して地面に突き刺していく。
「少しお待ちください。疲労回復にはこっちの方がいい、少し待って。」
 エナリシアがダークボックスから手鍋を取り出すと、そこにある粉末と水を入れて取り出した面を投入していく。
「それは?」
 そして直火に鍋を当て軽く1煮立ちさせると、後はダークボックスからいくつかの具材を取り出し鍋の中に入れると、その手鍋ごと差し出す。
「これはラーメンですよ。連携ダークボックス使って作った…さすがに火だけは当てないとうまくならないので、こういう形ですが。」
「ラーメン?」
「ラーメンでござるか?」
「はい。どうぞ。後皆様の分も作るので、お待ちを。」
 少し待つと全員分の手鍋化、器が手渡され、白濁の液体に麺が入ったものを手渡される。
「ラーメン。」
「はい、あの第1の町ではよく食べた物です。あそこでは動物の骨が余るので、死体を弔うという考えもありますが…その前にこれで…骨のエキス迄無駄遣いせず活用します。骨と一緒にニンジンや野菜、後昆布も入れて煮立てて、水分を飛ばしたこの”狼骨出汁粉”が流行っていまして。これを入れたスープだけでもかなりの栄養が取れます。美味しいですよ。」
 エナリシアが口を付けたのを確認した後、全員が食べてみる。
「かなり独特の汁ですわね。でも確かに体が、カーッと来ますわ。」
「これは私は好きだね。凄い美味い。」
「神は…言っています。25点と。」
「うまいでござるよ。久々の…味で泣けそうでござる。」
「…豚骨に近いけど、少し違うね。でも…狼骨出汁スープか…。」
「一応麺はダークボックスで加工した生打ち麺でパスタの技術を応用してます。」
 それぞれ感想を言いながらも美味しそうに食べているのを見て…少しほっとしていた。結構いろいろ素材を入れており、料理スキルの力がどれほどが…怖かったからだ。
「…すまないでござる、見捨てて。」
「いえ、あの時はああしないと…無限に敵が沸いていた恐れがあります。あれが…正しい判断だったと私は思いますよ。」
 田中もパオメイも、エナリシアもいえなかった。勇者がいるから無限湧きしてるんだってことを。
「さて、食べて、一息ついたら帰りましょう、ダンジョンも少し見飽きたので。」
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