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第22章 勇者大下の冒険

第1049話 エナリシアの旅 欄外戦

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 私は食事後、マスターに言われた1Fと2Fの階段部屋で待機する事にした。ここはスポナーの命令上はモンスターが寄らない場所だ。なおゴブリンが2Fに降りても、死臭がする2Fは逃げ出すことになる。食べものがないからね。1Fは洞穴の各所にキノコを配置して、雑食のゴブリンが食べれるようにしてスポナー維持でゴブリンを配置する。但し職業を兵士、狩人(弓)のみにしてある、少しだけ周囲のダンジョンより難易度を上げ武器防具も持たせることにした。が私は知らなかったのだ、地上ではさらにグダった展開に勇者も呆れていたことに。

 ギルドの提言むなしく、黄泉の大穴のダンジョン破壊命令は出ず、むしろ見捨てろと言う話が出る始末。だがそこで勇者側は”探査を独自にする”と言い出した。ギルドの本来の本音としてはインスタンスに勇者が入るとむしろダンジョンが活性化して周囲のモンスターが強くなるからやめろと言いたいが。納得してもらえるとは限らない。その時にようやく現状がギルド職員たちの元に送られてくる。”ダンジョン掌握完了”の文字だ。そこでしかたなく、・・・・勇者たちに探索の許可を出す話になったのだが、ここでリラシルトの商人達・・・・の依頼した側と違う連中が動き出した。勇者は強いから勇者の後についていってお宝だけもらう考えの商人が…約40団体1200名で現れた。これには各商人の下っ端を含んだ。が勇者たち5名の後ろに1200名何でむしろ困る。お祭りのようなものになり、そして勇者は戦闘が起こるのは分かっていた。
「なんか、救援に行くのに、この大軍は何でござるか?」
「何だ?おいおい、こんなひょろガキが逃げ帰ってきたから、俺達が助けてやるって言ってんだぜ?」
 流石にギルド職員もにらむが…今回は奴隷までもがマウントを取りに来る始末。
「ぐ!」
「落ち着いて、勇者。ここで人間を殺したら…。」
「神は言っています。落ち着きましょう。」
「いえ、この性根の悪い連中がいるから駄目なんですわ!」
 勇者が切れるより先に怒りに燃えたのが。メイロード自身だった。彼女が貴族出身なのもあり、罵声に慣れていないも問題だった。メイロードは文句を言った奴隷をかすらせるように火の矢を打ち込む。少し進むと霧散したが、商人達がざわつき始める。
「落ち着いてください!」
「第一あの連中!寄生するだけでも許せないのに馬鹿にして!」
「待つでござる!」
「勇者様、堪忍でございます!あ奴らを倒さない限り…いやあの連中が私たちが苦渋で撤退したというのに、あの馬鹿どもを!」
「フン、暴力に頼るなぞ、貧民の証よ、とっとと前に行け。」
 割り込んできた商人の言葉に勇者一行が睨む。流石に抑えようと思ったギルド職員もにらむ始末だった。
「私達は…エナリシアの救援を。」
「私達は普通に探索だぞ?そんな事するか。」
「な、なら皆様が先に言って。」
 職員が言葉を続けるものの、商人含め奴隷たちも冷淡に笑みを浮かべていた。
「ん?私達が行けば、弱すぎるモンスターに苦戦した少女なぞ、殺してしまうかもしれんな。だからお前たちが行け。なんという私達は慈悲深いのだ。」
 田中もパオメイも頭を抱えた。確かにこんなの話にならない。本来ならこういう時に交渉してくれるメイロードが暴れているのだ。どうしようもない。
「…私達としては、この状態の勇者様をダンジョンに入れるわけにはいきません。」
 職員さんたちもかばってくれるとは思わなかったが…それがさらに…。
「お前ら、こいつらを鎖でつなげ!そうすれば…。」
 その時商人に足元に火球が飛び込み、爆発する。
「何ですって!」
「無礼な!評議会に連なる我らにこんな真似をして生きて帰れると思うなよ!」
「その言葉、私たち勇者がお返ししますわ!」
 こうして救援隊が向かうより先に勇者とギルド職員あわせて6名対商人軍1200+周辺商人村住民4000との戦闘が開始された。
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