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第22章 勇者大下の冒険
第1048話 エナリシアの旅 歴史の重み
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ダンジョンには大抵…井原は特に意識してボス室隣に”待機室”を作ってある、そこで二人が待機していた。例えば、ダンジョン内で勇者などが暴れてダンジョンモンスターが中ボスとして君臨する際勇者の動向次第で待機する必要があるが、ボスルームでは魔法が結構飛び交う。こんな場所に私物を置いては問題がある。いくら食料は取る必要が無くても暇なのは変わらない。ここでソウルレベル3のモンスターでないなら、置いておけば勝手に歩いたり、暇つぶしができるのだが。という話を聞かされた。そこで私はダンジョンモンスターとしての心得を聞かされていた。
「ダンジョンモンスターって結構きつい職業なんですか?」
「うちらは基本実働部隊だから、さっき言った馬鹿冒険者排除、ヤバい”お客様”の排除、後は専売冒険者のふりをした救援や、物資の販売とか後はコアの見逃しがないかの見回りも私達よ。ボスもやるけど、そんなところに5年とか待機嫌っしょ?」
「はい、まあ。」
「それにダンジョンモンスターを暇させると効率悪いからね。レベルアップにもならないし、だから待機もこういう部屋で趣味したり、後はダミーコアに頼んで、ダンジョン内の相手の映像流してもらって、で、確認するの。お客様の場合はこっちも増援出すけど、ここもマスターの匙加減があるの、私の戦力範囲内なら誤魔化しで何とかするけどまあ、駆け引きもあるかな。水木に聞いたらその辺で、水木への依頼にダンジョンのサブマスターのモンスターも多いって聞いたからね。」
「そうなんですか?」
「あたしたちは、私はともかく他は…オウルもウルフェちゃんも…後のあの姉妹も全員争うとかそう言う気ないから。だって争うだけ無駄じゃん。そう言うの。」
「ふむ、面白い考えですね。」
こういう時にやる気がないのが好意的に働いて、身内で足を引っ張らない…という事かな。
「結構頭が柔らかいというか、最終的に勝てばいいの。狙ってイライラいてもいい事無いし。」
結構ドライだな、この辺。只見習うところがある上司というのはありがたい。そしてリューネ達が帰った後、私が料理を出すことになって簡単にフランスパンとスープだけ作った。
「あんまり変わらないような。」
「無茶苦茶手を抜いてますよ。素材がないからですね。ケチャップと野菜煮込んだスープに刻んだジャガイモ煮たスープと後はフランスパンですね。酵母を使わないで、小麦を練って焼いただけです。アウトドアの定番の串パン作るとかとも思いましたが。やめました。」
『すっごいテキパキ作った。手伝った。』
「これでもフレンチなのか。」
「一応は、かなり大雑把ですが、その位ケチャップの完成度が高いんです。異端ではないですが、それに近いのは分かっていますが…ソースって最悪バター入れて何か煮込めばそれで完成というのが多いんです。究極系言えば日本料理のだし入れて具だけ工夫すれば、極上のフレンチ作れますよ。」
「そんな内情聞きたくなかったな。」
呆れながらも井原とミヨちゃんはおいしそうにパンとスープを食べている。
「でもこのトマトってないんでしょ?」
「はい、赤い実であることは分かっていますが。完全現地材料のみで作るのは難しいかと、」
「そうなの?」
「私としては…歩く草からこの世界ではなく私達の思い出の植物の種を寄せて改良した種を取り出し、耕作させる手の方が確実だと思います。」
「どうして?」
流石に井原もこれは知らなかったのか…。
「日本の種の9割というか殆どの種は…植物研究所で改造された品種改良のたまものです。それも凶悪な数の駈け合わせで生まれ、更に変異種を故意に作った種で作ってます。普通の手では日本の農作物の旨さに追いつかないんです。現地の野菜では。」
その言葉にミヨちゃんが完全に固まっていた。
「そ、そうなの?」
「品種改良の歴史は私が聞いてるだけで数百年の歴史があり、気の遠くなる基礎研究の上に立ちます。だから魔法での改良を聞いて…かなり短縮できるとは思いました。が短縮ができるなー・・・程度ですね。これでも。」
「おっそろしいわね、異世界人。」
井原も意外そうな顔になっていた。
「いえ、これは…私が趣味てみていた本に乗っていたんです。まあ、サラブレットの話ですが、その位金になる分野というのは。」
『数百年、思いもしない長さの年月。』
なぜか私と体を分けたエナリシアも食事をとっている、言葉は、喋れるはずだがボードを使っている。
「そこをベースに品種改良を行い、種を考えてみてもいいのでは?」
「まあ、やってみる。」
「ダンジョンモンスターって結構きつい職業なんですか?」
「うちらは基本実働部隊だから、さっき言った馬鹿冒険者排除、ヤバい”お客様”の排除、後は専売冒険者のふりをした救援や、物資の販売とか後はコアの見逃しがないかの見回りも私達よ。ボスもやるけど、そんなところに5年とか待機嫌っしょ?」
「はい、まあ。」
「それにダンジョンモンスターを暇させると効率悪いからね。レベルアップにもならないし、だから待機もこういう部屋で趣味したり、後はダミーコアに頼んで、ダンジョン内の相手の映像流してもらって、で、確認するの。お客様の場合はこっちも増援出すけど、ここもマスターの匙加減があるの、私の戦力範囲内なら誤魔化しで何とかするけどまあ、駆け引きもあるかな。水木に聞いたらその辺で、水木への依頼にダンジョンのサブマスターのモンスターも多いって聞いたからね。」
「そうなんですか?」
「あたしたちは、私はともかく他は…オウルもウルフェちゃんも…後のあの姉妹も全員争うとかそう言う気ないから。だって争うだけ無駄じゃん。そう言うの。」
「ふむ、面白い考えですね。」
こういう時にやる気がないのが好意的に働いて、身内で足を引っ張らない…という事かな。
「結構頭が柔らかいというか、最終的に勝てばいいの。狙ってイライラいてもいい事無いし。」
結構ドライだな、この辺。只見習うところがある上司というのはありがたい。そしてリューネ達が帰った後、私が料理を出すことになって簡単にフランスパンとスープだけ作った。
「あんまり変わらないような。」
「無茶苦茶手を抜いてますよ。素材がないからですね。ケチャップと野菜煮込んだスープに刻んだジャガイモ煮たスープと後はフランスパンですね。酵母を使わないで、小麦を練って焼いただけです。アウトドアの定番の串パン作るとかとも思いましたが。やめました。」
『すっごいテキパキ作った。手伝った。』
「これでもフレンチなのか。」
「一応は、かなり大雑把ですが、その位ケチャップの完成度が高いんです。異端ではないですが、それに近いのは分かっていますが…ソースって最悪バター入れて何か煮込めばそれで完成というのが多いんです。究極系言えば日本料理のだし入れて具だけ工夫すれば、極上のフレンチ作れますよ。」
「そんな内情聞きたくなかったな。」
呆れながらも井原とミヨちゃんはおいしそうにパンとスープを食べている。
「でもこのトマトってないんでしょ?」
「はい、赤い実であることは分かっていますが。完全現地材料のみで作るのは難しいかと、」
「そうなの?」
「私としては…歩く草からこの世界ではなく私達の思い出の植物の種を寄せて改良した種を取り出し、耕作させる手の方が確実だと思います。」
「どうして?」
流石に井原もこれは知らなかったのか…。
「日本の種の9割というか殆どの種は…植物研究所で改造された品種改良のたまものです。それも凶悪な数の駈け合わせで生まれ、更に変異種を故意に作った種で作ってます。普通の手では日本の農作物の旨さに追いつかないんです。現地の野菜では。」
その言葉にミヨちゃんが完全に固まっていた。
「そ、そうなの?」
「品種改良の歴史は私が聞いてるだけで数百年の歴史があり、気の遠くなる基礎研究の上に立ちます。だから魔法での改良を聞いて…かなり短縮できるとは思いました。が短縮ができるなー・・・程度ですね。これでも。」
「おっそろしいわね、異世界人。」
井原も意外そうな顔になっていた。
「いえ、これは…私が趣味てみていた本に乗っていたんです。まあ、サラブレットの話ですが、その位金になる分野というのは。」
『数百年、思いもしない長さの年月。』
なぜか私と体を分けたエナリシアも食事をとっている、言葉は、喋れるはずだがボードを使っている。
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