上 下
1,035 / 1,247
第22章 勇者大下の冒険

第1027話 エナリシアの旅 慣れぬプレゼン

しおりを挟む
次の日の朝にひな形を提出。その地図に…
「あんたもしかして…。」
「我が主は、建築家の井原です。だからこその建築部隊もいるんです。」
 建築用メジャーを持って帰ってきたマスター(外見ミラージェ)と部下の4名の建築部隊がメイド服を着て直立不動の体制を取っていた。
「じゃあ、これは…その井原が仕上げた?」
「はい、簡易に碁盤目状ですが、現在の家、建築を生かす形ですね、高い建物は”日照時間”による不満も健康被害も生まれますので、それが抑えられる程度の公園や道路などを配置しております。また今後のゴーレム車の導入も見越して、道路幅も調整してございます。」
 そして見せた地図に…ナギサさんと王様の歓声が上がる。
「これは…さすがに…」
「開発は何も無い時がいちばん易しく、その時の計画性で、百年や千年の利便性が関わります。水もありますが…水だけでも優秀は山水等を使い、水だけでも市民を満たせば…」
「水・・・。どうしたらいい?」
「水もれっきとした資源であり、人々の生活の基盤でございます。この辺は井戸が多いと聞いております。が、水も汚いと…。」
「そうだな、確かに。」
 少年王が頷く。
「それに…冒険者に迎合しすぎると、元の住民が不満を持ちます。そこでダンジョン式上下水道計画を立案いたします。」
 そして、簡単に説明する。ダンジョンから水を流して下流で自分に還元させると、理論上使用された分以外はダンジョン内で水流は還流する。そして使われた分はその分を維持費として…住民に無料で提供する。その分…その家を領域化してDPで賄う。そしてトイレも…家内部で作り…水を張って消臭し…流して人目が付かない所でダンジョンに吸収させる。・・・それ以外はダンジョン的吸収をしない事で…ダンジョン活動をごまかす…という物だ。
「それは凄いな…水が飲み放題はかなり…」
「また還流させればマイナスイオンに包まれた…平和な水の都市というのも出来ます。費用は…飲まれない限り無料ですからね。当然最初の水を出すところは欲しいですが…。」
「確かに、ダンジョンの儲けをこう使えばさらに…快適さでDPアップ・・・。」
「うまい水を飲んで…食べ物、飲み物が豊かになれば、定住率が上がります。その人口は他の国家とかに良い牽制になるでしょう。」
「水・・・か。確かに基礎だ。が費用はどうする?」
「それが、…ギルドに規定はありますか?」
「それが…ないんだ。どっちかというと作ってもらった物の値段じゃなくて、日当制なんだ。」
「だとすれば…今回は私達の家の分の土地の権利をいただければ…後は普通の金カード雇用の値段でよろしいと思います。」
 既定がない時にその事実を押せば…お互い喧嘩になる。それにこれでダンジョンが潤うなら…こっちに対して無理難題を言ってこないだろう。貸しという考え方だ。
「じゃあ、これで頼む、後は…この通りに。ダンジョン周りに商店街。そして、その奥通りに住宅街で、できれば百戸頼む。」
「…いいでしょうか?」
 メルさんも見ると頷いた。
「私も、ここでいいから店が開けるならそれでいいよ。リラシルト産の食品置かせてもらうわ。ただ、小麦はもう少しかかるからね。」
 その地図を一か所指差す。
「分かった。それで行こう。お願する。」
 そして少年王が大きく頭を下げ、話は終了した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

婚約者が王子に加担してザマァ婚約破棄したので父親の騎士団長様に責任をとって結婚してもらうことにしました

山田ジギタリス
恋愛
女騎士マリーゴールドには幼馴染で姉弟のように育った婚約者のマックスが居た。  でも、彼は王子の婚約破棄劇の当事者の一人となってしまい、婚約は解消されてしまう。  そこで息子のやらかしは親の責任と婚約者の父親で騎士団長のアレックスに妻にしてくれと頼む。  長いこと男やもめで女っ気のなかったアレックスはぐいぐい来るマリーゴールドに推されっぱなしだけど、先輩騎士でもあるマリーゴールドの母親は一筋縄でいかなくて。 脳筋イノシシ娘の猪突猛進劇です、 「ザマァされるはずのヒロインに転生してしまった」 「なりすましヒロインの娘」 と同じ世界です。 このお話は小説家になろうにも投稿しています

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

処理中です...