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第21章 薔薇と白い月(ダークファンタジー)
第994話 薔薇と白い月(2)やっぱり主人公は優遇されている
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次の日に現れたのはアンジェ、いや徳永だ。
「これ、うちの周りにたくさん生えてたんだけど、本当なの?」
「そうだぞ、このゲームの仕様だ、諦めてくれ。只病気を治すための…特別な草を探すのがつらいんだ。そっちは採取場にいって本を読んで探してこないと見つからないんだ。」
鳥海にこの件を質問したところ、薬草の設定が”その辺の雑草”と書かれていたからであり、それがこんな風とは思わなかったらしい。持ち出せ無いがつらいな。
「でも確かに病気直すにはダンジョンに行かないといけないなら…回復魔法優先という話が分かるわ。」
「ほら、とっととポーション作ってくれ、お前が最後だ。」
「わ、分かったわよ。」
と言っても本来の授業よりこれは相当楽だ。本来は葉っぱを水で洗浄して、乾燥させた後にすり鉢で薬草の葉っぱを潰して、それをお湯で濾す。そして出来たのがポーションだ。お茶とほぼ一緒だ。が、これだと一定濃度までしか出ず。劣化のタグが付く。しかも葉っぱごと入れる為にロスが大きい。これに蒸留器を入れて蒸留させ、濃縮する工程を加えたのが新式だ。ついでに回復効果は甘薬草茶でも一緒だ。
「ほら、これ。」
ポーションはポーション(劣悪)とは書かれているが、店売りポーションがこれなので、これで合格となる。
「うむ、これでいいな、前期分は終わりだ。後はレシピを買ってきて作れば終わりだ。」
「うちにあったレシピだけどこれ…使える?」
見せられたのは”ホーション軟膏”のレシピだ。スライムのゲルを特定数集めて作るホーションの保存法のレシピだ。作り方に特殊なアイテムはいらず、スライムのゲルを棒で叩いて潰してポーションと混ぜる。結構単純だな。保存期間は器に入れて密閉して代々1年だ。保存期間長いな。これ。
「・・・まずレシピを登録する。その紙を大釜に突っ込め。それで戻されなければ成功だ。但し、必ずその内容を手書きでいい、写せよ。」
「え?入れるの?これ?」
「そうでないとその大釜を使ってアイテムはできない。だから写した後に突っ込め。」
「ちょっと待ってよ、すぐにやるわよ。」
運がいいというは、かなり安っぽいがレシピの作り方が分かればいいのだ。鑑定した時のアイテムの効果は”戦闘時以外”でポーションと同じだけ回復するが、ちょっと改定しないと不味い箇所があるな。
「今年の学生は優秀だな。私が楽できる。海も行って飲みに行くか?今度…。」
「はい、写したわ。入れてみる…あ、入った。」
まあ主人公だから、その辺は抜かりないって所か。
「後はその素材を入れて、レシピにはポーションと書かれていたから。ポーションを入れてくれ。」
「はーい。」
アンジェがポーションとスライムのゲルを入れると、
「後入れる器を入れてくれ、出ないと…。」
「あ、そうね、これ。」
手短な器を入れると、その器いっぱいに盛られた軟膏が現れる。
「それで完成だが、注意点がある。」
「なに?」
「レシピとか器から余ったアイテムは全部ロストする。だから分量はきっちり測った上で、器とか用意して欲しい。但し、レシピの等倍なら複数製作も対応している。」
便利ではあるんだ。一番いいのは器だけを大量に入れるか”器作成レシピ”を入れて器を作らせるようにすることだ。
「でも便利ね、ロスはあるけど。」
「工業化を考えない限り、こいつは有能だぞ。ただ最終的には工業化の方が有利にできている、その辺だけは覚えておいてくれ。ほら。こちらから卒業証書を作る。明日に来てくれ。」
「分かったわ。でもまあ、かなり遅れたわね。」
「…ほかの3人は早く来たが、レシピもの問題でな。その素材ごと集めている最中だと思うぞ、私もそんなものがあるとは思えなかったからな。」
「って事は私が一位なの!」
その声は弾むというより意外という感じだな。
「この学科の卒業ならそうなるな。おめでとう!」
「やった!勝った!」
アンジェはガッツポーズはしているが…なんか浮かない顔もしていた。何があったというのだ?
「ただ一応質問は…今年の学生全員が卒業するまでは受け付けるぞ、」
「うーん、来るだけ来ていい?」
「…何のために…いや、全員が終わるまでならいいぞ、暇だからな。」
「これ、うちの周りにたくさん生えてたんだけど、本当なの?」
「そうだぞ、このゲームの仕様だ、諦めてくれ。只病気を治すための…特別な草を探すのがつらいんだ。そっちは採取場にいって本を読んで探してこないと見つからないんだ。」
鳥海にこの件を質問したところ、薬草の設定が”その辺の雑草”と書かれていたからであり、それがこんな風とは思わなかったらしい。持ち出せ無いがつらいな。
「でも確かに病気直すにはダンジョンに行かないといけないなら…回復魔法優先という話が分かるわ。」
「ほら、とっととポーション作ってくれ、お前が最後だ。」
「わ、分かったわよ。」
と言っても本来の授業よりこれは相当楽だ。本来は葉っぱを水で洗浄して、乾燥させた後にすり鉢で薬草の葉っぱを潰して、それをお湯で濾す。そして出来たのがポーションだ。お茶とほぼ一緒だ。が、これだと一定濃度までしか出ず。劣化のタグが付く。しかも葉っぱごと入れる為にロスが大きい。これに蒸留器を入れて蒸留させ、濃縮する工程を加えたのが新式だ。ついでに回復効果は甘薬草茶でも一緒だ。
「ほら、これ。」
ポーションはポーション(劣悪)とは書かれているが、店売りポーションがこれなので、これで合格となる。
「うむ、これでいいな、前期分は終わりだ。後はレシピを買ってきて作れば終わりだ。」
「うちにあったレシピだけどこれ…使える?」
見せられたのは”ホーション軟膏”のレシピだ。スライムのゲルを特定数集めて作るホーションの保存法のレシピだ。作り方に特殊なアイテムはいらず、スライムのゲルを棒で叩いて潰してポーションと混ぜる。結構単純だな。保存期間は器に入れて密閉して代々1年だ。保存期間長いな。これ。
「・・・まずレシピを登録する。その紙を大釜に突っ込め。それで戻されなければ成功だ。但し、必ずその内容を手書きでいい、写せよ。」
「え?入れるの?これ?」
「そうでないとその大釜を使ってアイテムはできない。だから写した後に突っ込め。」
「ちょっと待ってよ、すぐにやるわよ。」
運がいいというは、かなり安っぽいがレシピの作り方が分かればいいのだ。鑑定した時のアイテムの効果は”戦闘時以外”でポーションと同じだけ回復するが、ちょっと改定しないと不味い箇所があるな。
「今年の学生は優秀だな。私が楽できる。海も行って飲みに行くか?今度…。」
「はい、写したわ。入れてみる…あ、入った。」
まあ主人公だから、その辺は抜かりないって所か。
「後はその素材を入れて、レシピにはポーションと書かれていたから。ポーションを入れてくれ。」
「はーい。」
アンジェがポーションとスライムのゲルを入れると、
「後入れる器を入れてくれ、出ないと…。」
「あ、そうね、これ。」
手短な器を入れると、その器いっぱいに盛られた軟膏が現れる。
「それで完成だが、注意点がある。」
「なに?」
「レシピとか器から余ったアイテムは全部ロストする。だから分量はきっちり測った上で、器とか用意して欲しい。但し、レシピの等倍なら複数製作も対応している。」
便利ではあるんだ。一番いいのは器だけを大量に入れるか”器作成レシピ”を入れて器を作らせるようにすることだ。
「でも便利ね、ロスはあるけど。」
「工業化を考えない限り、こいつは有能だぞ。ただ最終的には工業化の方が有利にできている、その辺だけは覚えておいてくれ。ほら。こちらから卒業証書を作る。明日に来てくれ。」
「分かったわ。でもまあ、かなり遅れたわね。」
「…ほかの3人は早く来たが、レシピもの問題でな。その素材ごと集めている最中だと思うぞ、私もそんなものがあるとは思えなかったからな。」
「って事は私が一位なの!」
その声は弾むというより意外という感じだな。
「この学科の卒業ならそうなるな。おめでとう!」
「やった!勝った!」
アンジェはガッツポーズはしているが…なんか浮かない顔もしていた。何があったというのだ?
「ただ一応質問は…今年の学生全員が卒業するまでは受け付けるぞ、」
「うーん、来るだけ来ていい?」
「…何のために…いや、全員が終わるまでならいいぞ、暇だからな。」
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