魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第２１章 薔薇と白い月（ダークファンタジー）

第９８５話 薔薇と白い月（２） まさかのゲーム始まる前に詰み状態だった

　今回の件は、ゲオルグが調査をした結果、クリメア傘下の侯爵たちが勝手に動きそして、リリアを弾き飛ばしたことになっていた。その為、全員が知らないうちに…リリアは恋愛ゲーからいきなりドロップアウトしたことになっていた。しかも…。
「草原同盟・・・ウザ！」
「こればかりは仕方ないな。神格を伴う魔王軍は動けないからな、この件には。」
　これも神格の…制限である、神が出むく限りは神が向かうに値する地域の課題でないといけないのである。それに…リリアの攻略者が３人とも草原同盟に偶然取られ…しかもそれ以外がルナマリア、アンジェが確保してしまい…理論上乙女ゲーとして詰み状態になってしまったのだ。その為もう攻略対象を譲っての交渉でリリアに援助は求められない。…レベリングの為にこれから、アンジェは”王家以外のダンジョン”から攻略しないといけないのだ。そして…王子以外のと恋愛が…できない状態まで、外堀も埋められたのだ。王子との恋愛以外をすれば、クリメアの父親やメイドたちに…夜道に襲撃され死にかねないのだ。
「というか、２週目ハードゲームモードじゃない？」
「私もそう思う。妨害している側だけど…こっちが焦るぐらい…嫌がらせが可愛くないのよ。なんか、私はイベント以外じゃ…私が根性でリリアの場所を探さない限り、探せないみたい。」
「最悪。じゃあ、そっちの情報網は機能しないと…。」
「自動で嫌がらせするからね。ついでに止めようとしたけど…止まった気配がしないわ。」
「クックック、貴族の娘なんてそんなものだ。元々貴族の娘は人質か結婚相手への贈り物以外…中世では価値がない。ここでは聖女という…名誉職があるからそこを目指すだけで、発言は認められないのだよ。」
「そうなの？」
「勘違いしているもの多いが、貴族の娘は基本。自由はないぞ。平民の方が結婚に選択肢が”ある”だけましと言われるんだ。どんな不細工だろうが、貴族の娘は基本政治の道具だ。結婚しないといけない。しいて言う…貴族の娘の自由としては”かっこよくて親を説得できる結婚相手”がメインだ。」
「夢がないわね。」
「そう言う物だ。ついでに結婚破棄なんて基本、令息が言う分には血統含め”無効”だ。王子もな。王の決定が優先で、当然公爵、侯爵クラス相手の約束はむしろ王の立場が弱いまである、」
「どういう意味？」
「昔の頃は裏切りが多くてな、公爵令嬢と結婚破棄したら、メンツをつぶされたと言われて自分の周りの領地の侯爵が全員裏切って、王の一族全員が抹殺されたなんて言う話もあるんだ。特に国によっては国の軍隊は侯爵とか公爵が出して、王の元には兵士が衛兵しかいないなんて言うのもあるんだ。その結びつきの為に結婚させるのに…王子の勝手で破棄なんてされれば…一族全員死ぬだってありうるのが…貴族なんだ。」
「なんか、ひどいわね。夢がない。」
　アンジェは呆れているが、中味はその王妃でもあるはずである。
「政治とはそう言う物だ。その為に子供が３０人とかいう絶倫王とか定期的に出て来ても文句が言われないのは、そう言う血統優先主義があり、安心を与える政治的基盤という考え方もあるんだがな。」
「辛いわね。」
「弱いと思われれば、全員にたかられて王族でさえむしられるのが貴族だ。だから…ある意味正しい貴族の形なんだがな。」