魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第２１章 薔薇と白い月（ダークファンタジー）

第９８３話 薔薇と白い月（２）緊急事態後はやっぱり会議

　私たちがどうにか学校に行こうとしたら、強制転送されるバグなんて知らないし…イベントは村の風景だろうが…学校に行くだけで同じ帰り道３枚変えるとか、初めての経験だ。
「なんか、急に消えて、連絡受け取らないと、私たちは気が狂いそうでした。」
「そうなのぉ。」
「マスター本気ビビったんだから！」
「そうじゃがのぉ。」
　そう言いつつ帰って来た私達に４人の部下が抱き着く。 こうしてみると、ハーレムっぽいな。が、半分は自分で、ドランは元男で、後は…部下という切ない感じだ。が帰ってこれた。道中が地獄だが。
「でもバグとかイベントでテレポートとか、本当に厄介ですね。」
「これは３回目だ。地味につらいな…。」
　流石に詩織さんも苦笑いだ。それはそうだろう、急に玄関から出た夫が消える現象が起きたのだ。そうだろう。
「だろうな…でもまあ、いろんな意見を知ることもできた。そして知見もな。」
「そうじゃのぉ。だからこそ、ここからどうするか…じゃ。」
「まずは食堂だ、そこで会議する。」
　全員を食堂に集める、席がない分は立ってでもだ。
「で、取りあえずリリア、お前は学校に行ってもらう。そして錬金の授業を受けてもらう。入り口は私と一緒に行けばいいだろう。」
「いいのじゃが、どういう風の吹き回しじゃ？」
「それが、どうも今回はフラグが全員バラバラなんだ。アンジェ、ルナマリア、リリアの３人ともな。となると一人でも怠惰エンドが発生すると…スタンピードが起こる可能性がある。エンディングの再現だ。」
「「うわ！」」
　鳥海からの手紙によると…エンディングの中には怠惰エンドがある。これは前も説明したが、そのエンディングはさぼったために聖女は切り捨てられ…王国はモンスターに攻められ滅亡した。アンジェは運よく郊外の故郷に帰っていたから影響を受けなかったが、王子たち攻略対象者は全員死亡した。となるエンディングだ。で、今はリリア以外は普通のエンディングだ。アンジェが王子で、ルナマリア（NPC)がゲオルグだ。となると実はリリアの相手は３の相手である、力士（格闘家）、農家の野菜売り（イキール・マリモッサー）、そして漁師である。実際これだからしたかないが、３番目は自分が海女になって海に潜り、漁師の夫の為に錬金術をするという内容だ。が、このゲームのリアル版の恐ろしい所は…さっきメールで確認してもらった。…漁師、力士、農家。この三名がすべて格安で売られていて、草原同盟に取られていたことだ。これは向こうがイベント進行を嫌っている通り、交渉材料に使ってくるだろう。当然狙えない。そして、リューネの話からすると、どうもリアルがここでも発揮され…王子やゲオルグを狙うと、”NTR”扱いで、噂になり破断方向に行くというのだ。頭痛い。という事はリリアはもう…恋愛系エンドは狙えない。しかも分離されたという事は１や２の攻略対象も狙えない。という事は、エンディングは二つ。”おひとり様エンディング”か”怠惰エンディング”しかない。おひとりさまは、ゲームのダンジョンが好きな人が良く陥るエンディングで結界を張るのに成功するが、恋愛対象は全員結婚し、彼女は一人教会で聖女としてお局様になるというエンディングだ。絵はきれいだがこれはエンディング時点で学校卒業試験だけ合格していればいいのだが、リアルの為に、必要学科を取らせないと、卒業にならないらしい。
「なんか仕様が変わり過ぎじゃのぉ。」
「そう思う、そして草原同盟が前回の資金を使って３の主要人物を偶然でも抑えてあるというのがまずい。ので、学校に出ないと王都が潰れる、」
「頭痛いのじゃ。学校に行かないと世界滅亡とか、聞かされると頭が痛くてたまらないのじゃ。」
「さて、学校の準備位はおごる、それに材料はそっちで出せるだろう。一気に授業をやって、終わろう。」
「じゃあ、皆の者、頼んだのじゃ。」
　私達はが家を出て…