魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第２１章 薔薇と白い月（ダークファンタジー）

第９７４話 薔薇と白い月（２） 意外と領地経営者は食料に敏感

　そしてそのまま、夜になると夜営の準備を始める。実はこの世界では森や田舎は多くても、ほとんど襲ってこない。一定の場所以外では。襲ってくるエリアの事を”採取場”と呼んでいる。ダンジョン
以外にも３だと”キラキラ平原”、”山奥森林”などある。ついでに鉱石が露天侯で存在する”赤色山脈下層”というのもある。
「でも、一気に組み立てるわね。」
「土変化で作ったものだからな。」
　重さがかさむものの、石のテーブルや椅子を設置していく。寝床は専用の羽毛布団がある。
「今見て気が付いた。そのポシェット何？」
　そりゃあそうだろう、布団を取り出したのはドランであり、
「これかのぉ、錬金コマンド付きのインベントリじゃ。井原からこれを預かっておってな。で、羽毛布団じゃ。」
「…初めて寝る。」
「すまないがいいかな、ネルが興味ありそうだ。」
「構わないのじゃ、」
「…少し待つ、床張る。」
　近くの…樹木が変形して床になり…壁はないが寝れる感じになった。いくらオウルが森魔法を使えるとはいえ、ここまでの熟練はない。流石にその辺は神か。
「まだ食事してからよ。でも狩りに行った方がいいかな…。」
「夕方だぞ、あるか？」
「あるのじゃ、お主に頼まれておった試作品出すのじゃ。」
「何それ？」 
　ドランがポシェットから取り出していったのは…ナン？
「一応お主に言われて、パン酵母入りの物が作れるか作ってみたがの。だめじゃった。発酵だけはどうも菌を受け付けんくての。ドライイーストから作るレシピが欲しいのじゃ。でないとこいつからでは作れん。」
「で、これと。」
「これができたのじゃ、が、流石にコレジャナイ感がたっぷりでのぉ。」
「じゃあ、これでいいか、火をつけるからあぶって。古風で悪いが、預かるぞ。」
　私はそれを石変化でその辺の土を加工した串を作ると、焚火を発火から作って…そこに刺した。まあ、パンをあぶる手法だ。そして影からある物を取り出す。
「何じゃそれ？」
「これか。向こうで試作してもらった”いちごジャム”だ。向こうでも作っているからな、似た物は、但しイチゴが向こうに無いんだ。で懐かしくてな。」
「いちごジャムポーション。もしかしてそれあの薬草の？」
「そうだ、その甘薬草の葉から作ったポーション液を甘味にイチゴを煮詰めて作ったものだ。これをそのナンに塗って食えばいい。」
　私はビンを手渡す、この瓶の成型も錬金窯で作ってくれるので、かなり便利だ。
「あともう一つの欠点はこいつは”指定通りの大きさ”にしかならんのじゃ。」
「…ちょっと待って、それ何？錬金ってもしかして？」
「クックック、そう言う事か！そう言う事か！」
「もしかして、それ、ここの錬金の大釜の機能付きのポシェット？」
「そうじゃが？そのナンもレシピで作ったモノじゃ。一部のレシピで数値入力とかで大きさとか買えるように銭と、２００gのレシピだと、２００gの物しかできん。そこが融通聞かんのぉ。しかも
ダークボックスと別管理しないと材料は片っ端から加工してしまうからのぉ、その辺が不便じゃの。」
　その言葉に５人は何を串であぶっているのを…みている。