魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第２１章 薔薇と白い月（ダークファンタジー）

第９２５話 薔薇と白い月（２） 実験でも危険物はよくできる。

　急いで連絡を終えると、改めて工房に行きまずは…蒸留濃縮法の為にまずは石変化で耐熱ガラスを作り…それで蒸留器を作る。そして、そこに薬草を乾燥させて砕いて投入。そして蒸留器内部を蒸してその水分を急激に冷やす。今回は回転型の物を用いて常温で冷却する。そして濃縮された”薬草の精油”部部分を抽出。後の水分も布で裏ごし後、同じ工程で濃度が１％になるまで繰り返させる、後はレシピを入れて水をためて…。よし。薬草投入…。しばらくすると水が急激に減り、大きめの瓶がせり出してきた。…鑑定。

ポーションオイル原液TIPS:ポーションの成分をまとめた濃厚なポーション。これを飲んだ場合怪我は治るがいらない部位迄生え、回復力の暴走で人が死ぬ場合がある。注意。

　触媒とか見つかればいいが、これで薬草を濃縮が出来る、そして、回路を改造し材料が鍋内にあるなら、連続作成が可能なようにチェックタイミングを変更する。そして、この割合のメモ付き…。黄金の聖女水でポーション原油を混ぜた物がこれだ。

女神汁TIPS:本当の女神の汁ではなく商品名。余りの回復能力に教会の上層部が付けたあだ名。まるで女神の奇跡で治るようだと。効果は欠損部位の再生まで行い。一定迄の筋力増強効果（永続）を与える。但し再生時に栄養は急激に損なわれるので、アフターケアはしっかりと。

　これでも神の証明になりそうだが、これも大方作った上で商品化されなかったんだろうな…ただこれを”薄める”という考えにはならなかったんだろう。これをまずは大釜で瓶に入れて保存。ただ、この回路にはこんな機能がないはずだが、女神汁にはラベルが付いておりそこがモザイクがかって見える。これは一発でわかる。やばい。何でついたラベルにモザイクがあるんだよ。なので、これをスポイトで一滴、水に垂らして鑑定。鑑定結果は女神汁…。え？効果も一緒。…まさかこの汁。強すぎて魔法的効果があるのか。これが地で不味いぞ。この水、海にこぼしたら最後、生物が絶滅する恐れがある。栄養失笑を延々と繰り返させる水。そして体内の水分にも…。ついでにレシピの豚骨スープを濃縮しそれを手元に置いて一気にあおった。これを世に残す方が問題がある！！！！が！！！！ぐぎぎぎぎ！
「ぐぎぎぎぎぎぎぃ！」
　体の細胞からすべてが抜けていく劇薬過ぎる、慌てて濃縮豚骨スープを飲み干す。が、そこで指が動かなくなった。そして仰向けに倒れる。確かにこれヤバい。

「大丈夫ですが！ご主人様。」
「大丈夫か！主！」
　涙を流すミヨちゃんと、オウルの姿があった。
「…大丈夫、ではないな…少し思ったことがある。変身戻すぞ。」
　私は変身を解き…小太りのおっさんに戻ったつもりだった。が、上半身が膨れ、まるで筋骨隆々のマッチョマンのようになっていた。ステータスだと…ＳＴＲが３５５になっていた。さすが…永続効果だな…。
「だ、大丈夫ですか！」
　いつもののんびり口調が消えたオウルの顔、初めて見たな…まだ頭がぼーっとする。
「大丈夫だ、実験の失敗と後始末だ。ミヨちゃん。台所から…飯を。後は…冒険者弁当を食べると思ったらギルドカードはあるがショップ機能が全部消えているな。済まない…オウル。栄養分になりそうな食事を銀貨３０枚で買って来てくれ、今の状態は栄養失調だ。」
「わ、分かったからのぉ。」
　珍しいな、オウルがドタバタ走って外に出ていった。
「大丈夫ですか、マスター。」
「だ、大丈夫だ、というよりこの体…いよいよもっておかしいな。体脂肪率が０％に近いぞ。これ。」
　こういう薬で作ったよな身体は…あまり好かないな。ただ、これは好都合ともいえる。

結局普通の聖女水と水と塩とオイルをスポイト一滴で合わせて作った完成品がこれだ。

ポーション（普通）TIPS：普通のポーション。大抵の打撲痕は全身含め直り、ある程度の病気も直す。ウィルス性には逆効果なので注意。

　という普通のポーションが出来上がった。あとはこれを数作って賞味期限を確かめるだけだが…地味に塩分が無いと三日で腐る為、防腐材として投入した。後は密閉容器に入れ。飲んでもらうだけだ。そして昨日の夜どうにか…例の商業ギルドのレシピ集が手に入った。そして体に戻ってきたのだが…どうもそこには犯罪用のレシピ集もあり、それも持って来てくれたようだ。洗脳薬やら媚薬やら。色々あるな。後モンスター化の薬もある。一応全て登録しておく。とりあえずこれを手で一回づつ作っていく。結構モンスターの素材が多いぞ。ふむ、これらも集めておくか…。
「マスター。食べながらの書き物は…。」
　流石にミヨちゃんも心配そうだ。死にかかったからな。どうも一部のレシピはこっちと向こうと一緒の作りらしい。という事はこの辺は応用できる、
「…大方骨髄液が無ければ死んでいたぞ、それ位の劇薬だったんだ。あれは。確かに触れざるかもしれん、あの薬は。ただ何かに使えそうな気がしている。」
「確かに、その筋肉ですもんね。」
　今は変身を解いた普通の状態だが、もう元の小太りのおっさんの原型はない。脂肪という脂肪を使いつくし、筋力に変換してしまったのだ。ただ、アルコールも濃縮して入れて、もっと日持ちを良くする必要があるが…とりあえず。
「よろー。」
「ムムム、これが錬金術の大釜ですかな。」
　問題はこの工程を任せれるエージェントが２名で、外見と全く合わない。一人はドクター。眼鏡におさげの女で、地味子さんと言ってい外見だ。但し言動がどう聞いても
爺さんなので、そこが全くかまない。人選ミスが疑われる。そしてもう一人はスリーパー。どうもシオリさんに言うと、よくさぼって居眠りしているからスリーパーだそうだ。
但し、能力は有能だ。が、隙を見つけると寝ているうえに…寝るのを邪魔すると逆に仕事しなくなる、扱いずらい人間だ。後のメンバーは町の調査と、渡した支度金で薬草採取に向かった貰った。最初の経験値稼ぎで薬草採取は好都合だからだ。
「…で―。どうすれば―？」
「まずはこの鍋に受け取った薬草の瓶が出来たら引き上げてくれ。そしてそこのケースに入れてくれ。」
　出したのは…枝の祝福で作ったビールケースモドキだ。これにでてきたビンを保存してもらい、後は聖女水を混ぜる行為を…後で行う。流石に…聖女水は量産できない。ただ、聖女水無しでポーションを作る２倍濃度ポーションもレシピ登録しておいた。がこっちは最終手段だな。