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第21章 薔薇と白い月(ダークファンタジー)
第923話 薔薇と白い月(2) 遅れてきたヒーロー
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学校に入り、最初に説明を受ける。まあ始業式は講師は椅子に座っていればよく、そして学校の入り口で入校の資金が払われた後、受講する授業を入学式後に回収される紙に受けたい授業と必須授業を選び、書いて提出するのだ。それを舞って授業の準備をするのがお仕事だ。ただ不安なのが…この先生たちの中にさえ、知人の姿はない。そして、始業式が終わり、生徒たちは各ホームルームに散っていった。
「今回も誰もいないのですかねぇ・・。」
「…息子だけなら私が授業で息子を連れ回していいと聞いているからな。その時は伝えておく。」
「…そうだといいですな。本当に楽なお仕事で。」
この学園の先生の半分以上はこうした授業で給料をもらう下級貴族だ。但し流石に王子がいる教室とかでは王宮の指南役クラスが授業を行う。でないと格が釣り合わないからだ。でも本当だな…確かに変身しても小太りの貴族と反応が変わらん。
「一応は王から頂いた使命ですからな、ご理解いただきたい。」
この嫌味も自動で出た言葉だ。そして、全員に紙が配られていく…なんと、今年の錬金術の受講者は0だった。え、ええ!えええ!
「…息子にも嫌われるとは!」
隣の土魔法学科の先生の笑い方が怒れる。まさかちょっと待て、あ、そう言う事か、一年の最初の半期だけは選択科目がないんだ。だからか…うん。
という事は、イキールは…転生者確定だ。しかも我が陣営に属していない。これは厄介な、研究用の錬金術師の大釜貸したんだぞ。まあ、換金されたら不味いが…。
「さて、私は失礼させてもらうよ、研究の方が忙しいですからな。」
私は立ち上がると、そのまま学校の入り口に向かった。
「マスター。これは…。」
「いろいろ分かった、これでいい、そして色々…やることが…。」
「やっと着いたのじゃ!」ふざけるな、あの馬鹿ども!」
…今校門にたどり着いたのは…格好はリリアだが…その声、そして顔に見覚えがある、
「「あー!!」」
銀色のツインテール少女…そう、ドランだった。
話を聞くと、どらっはこう見えて貧しい村の薬師の一家、入学金はどうにか奨学金でどうにかなったが、生活費の部分はない。そこで冒険者兼錬金術師として朝の日課の薬草積みに行くとそこに、リリアの儲けに腹を立てた歳が上の冒険者が襲って来たらしい。只そいつらの顔に見覚えがあった。それが”草原同盟”の下っ端どもだ。それを知ったドランはそれなりの時間の戦闘の上撃破し、学校に遅刻したという。そして、私が職員室でリリア(ドラン)の分の入学申請をするとドランは私についていくという。
「お主の所に行けば錬金術師の大釜とかレシピとか…たくさん加工できそうじゃからのぉ。できれば土日貸して欲しいのじゃ。」
「思いっきりたかりに来るな、まさか落札しているとは…。」
「ただし部下を派遣することはできないがのぉ。儂としても序盤の金稼ぎで稼いでおきたいからのぉ、あの豚骨スープの金が入ればすぐにでもおごれる…。」
「…。」
あれお前か、やっぱり。
「あれの審査の依頼がこっちに来たんだ、あれは料理だ。ポーションじゃない、」
「…もしかして井原、おぬし偉いのか?」
「こっちでは錬金術の先生で、権威だが、あれを通せば、料理のレシピも大釜に突っ込まないといけないんだ。だからやめてほしい。」
その言葉に流石に落胆するドランだが…。
「そうかやっぱり。」
「資金にも問題があるな、それに薬草の買い上げも私だ。」
「ええ!お主が!」
「ああ、そうだな、一応設定もあるから金は渡せんが…。後で下ろせるんだろ?」
ギルドでDP関連の処理ができるので。一度ギルドにさえ行ければ資金がある図だ。数億から数十億は持っているはず。
「それが、主人公はそれができないんじゃよ。確かにゲーム中において”強くてニューゲーム”はないからのぉ。」
「あ、そう言う事か…。それでか。」
ギルドの金も使えないなら、聖女レベル1のとしての力があるだけで、40日のアドバンテージがあるだけの冒険者だ。できる事に限りがあるはずである。
「だから金がなくてのぉ、いつも山に行ってポーションを作って売っておったのじゃ。ただこっちは都会で寄宿舎じゃろ。だから…。」
「それがな…そのポーションでさえ安いんだ。こっちも脱却を図る程度にだ。」
「…うぇ!そうなのじゃ!?」
「後この辺で降りてくれ。…設定上、これ以上はまずい気がしている。そうだな…半年後には選択授業で会えるはずだ。釜はその頃に使えるようにしておく。
後、係には伝えておく、傷がついていない薬草ならこっちで直接裏口で買う。それでいいな。」
「頼むのじゃ、謎の草をかむだけの食事はもう嫌なのじゃ。」
そう言えばそうだ、ドランの関係上…NPCしかいないから能力も使えないのか…確かにこれはまずいかもしれん。嫌な事にアドバンテージであるはずの40日をほぼ無駄に過ごしたに近い。色々不味いなこれ。
「今回も誰もいないのですかねぇ・・。」
「…息子だけなら私が授業で息子を連れ回していいと聞いているからな。その時は伝えておく。」
「…そうだといいですな。本当に楽なお仕事で。」
この学園の先生の半分以上はこうした授業で給料をもらう下級貴族だ。但し流石に王子がいる教室とかでは王宮の指南役クラスが授業を行う。でないと格が釣り合わないからだ。でも本当だな…確かに変身しても小太りの貴族と反応が変わらん。
「一応は王から頂いた使命ですからな、ご理解いただきたい。」
この嫌味も自動で出た言葉だ。そして、全員に紙が配られていく…なんと、今年の錬金術の受講者は0だった。え、ええ!えええ!
「…息子にも嫌われるとは!」
隣の土魔法学科の先生の笑い方が怒れる。まさかちょっと待て、あ、そう言う事か、一年の最初の半期だけは選択科目がないんだ。だからか…うん。
という事は、イキールは…転生者確定だ。しかも我が陣営に属していない。これは厄介な、研究用の錬金術師の大釜貸したんだぞ。まあ、換金されたら不味いが…。
「さて、私は失礼させてもらうよ、研究の方が忙しいですからな。」
私は立ち上がると、そのまま学校の入り口に向かった。
「マスター。これは…。」
「いろいろ分かった、これでいい、そして色々…やることが…。」
「やっと着いたのじゃ!」ふざけるな、あの馬鹿ども!」
…今校門にたどり着いたのは…格好はリリアだが…その声、そして顔に見覚えがある、
「「あー!!」」
銀色のツインテール少女…そう、ドランだった。
話を聞くと、どらっはこう見えて貧しい村の薬師の一家、入学金はどうにか奨学金でどうにかなったが、生活費の部分はない。そこで冒険者兼錬金術師として朝の日課の薬草積みに行くとそこに、リリアの儲けに腹を立てた歳が上の冒険者が襲って来たらしい。只そいつらの顔に見覚えがあった。それが”草原同盟”の下っ端どもだ。それを知ったドランはそれなりの時間の戦闘の上撃破し、学校に遅刻したという。そして、私が職員室でリリア(ドラン)の分の入学申請をするとドランは私についていくという。
「お主の所に行けば錬金術師の大釜とかレシピとか…たくさん加工できそうじゃからのぉ。できれば土日貸して欲しいのじゃ。」
「思いっきりたかりに来るな、まさか落札しているとは…。」
「ただし部下を派遣することはできないがのぉ。儂としても序盤の金稼ぎで稼いでおきたいからのぉ、あの豚骨スープの金が入ればすぐにでもおごれる…。」
「…。」
あれお前か、やっぱり。
「あれの審査の依頼がこっちに来たんだ、あれは料理だ。ポーションじゃない、」
「…もしかして井原、おぬし偉いのか?」
「こっちでは錬金術の先生で、権威だが、あれを通せば、料理のレシピも大釜に突っ込まないといけないんだ。だからやめてほしい。」
その言葉に流石に落胆するドランだが…。
「そうかやっぱり。」
「資金にも問題があるな、それに薬草の買い上げも私だ。」
「ええ!お主が!」
「ああ、そうだな、一応設定もあるから金は渡せんが…。後で下ろせるんだろ?」
ギルドでDP関連の処理ができるので。一度ギルドにさえ行ければ資金がある図だ。数億から数十億は持っているはず。
「それが、主人公はそれができないんじゃよ。確かにゲーム中において”強くてニューゲーム”はないからのぉ。」
「あ、そう言う事か…。それでか。」
ギルドの金も使えないなら、聖女レベル1のとしての力があるだけで、40日のアドバンテージがあるだけの冒険者だ。できる事に限りがあるはずである。
「だから金がなくてのぉ、いつも山に行ってポーションを作って売っておったのじゃ。ただこっちは都会で寄宿舎じゃろ。だから…。」
「それがな…そのポーションでさえ安いんだ。こっちも脱却を図る程度にだ。」
「…うぇ!そうなのじゃ!?」
「後この辺で降りてくれ。…設定上、これ以上はまずい気がしている。そうだな…半年後には選択授業で会えるはずだ。釜はその頃に使えるようにしておく。
後、係には伝えておく、傷がついていない薬草ならこっちで直接裏口で買う。それでいいな。」
「頼むのじゃ、謎の草をかむだけの食事はもう嫌なのじゃ。」
そう言えばそうだ、ドランの関係上…NPCしかいないから能力も使えないのか…確かにこれはまずいかもしれん。嫌な事にアドバンテージであるはずの40日をほぼ無駄に過ごしたに近い。色々不味いなこれ。
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