魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

文字の大きさ
上 下
921 / 1,309
第20章 それは柴崎エナリシア

第913話 無駄な借金は無駄に経済をロスさせる、

しおりを挟む
 やってきたのは黒川たちのダンジョン最奥のエリアである、親方屋敷。畳敷きに庭園がある日本家屋だ。非常に豪華で作るに苦労した覚えがある、ここに通されるのは私達だからこそだが、急ぎなので私と鳥海。向こうは黒木と秘書の2名だ。
「どういう事だ?まさかうちのやることにケチを付けに来たんじゃ?」
「ふざけるなボケ!」
 鳥海の一括まで、まあ普通にあるな。
「…貴様!」
「…相手が悪いだわさ。競りから降りて隣の主人公に差し替えるだわさ。」
「どういう事だ?」
「相手はパンダだわさ。…端的に言えばギルドそのものが落としに掛かってるだわさ。」
「…本気か!それ!」
「相手の資金は青天井だわさ。そんな相手に挑むのは馬鹿だわさ。」
 流石に融資して、その後にふいにされては…借金漬け計画は破綻する。
「ぐぐぐ、父としての威厳が!」
「…それでこの組織売るだわさ?その位の相手だわさ。相手は。」
 そう、忘れてはいけない。魔人連合は地味に能力も資金力も安定していないのだ。こっち相手は融資が焦げる(借金を返してもらえない)と判断しているが、それでも貸し付けるのは、どの結果だろうがこちらに損はないからだ。そしてサンテに聞いてみると、細かい貸し借りはコア間では結構やっており、その値も維持費として計上される、なので無理な建設をすると、その建築のつけは他所から素材を回してもらうという商取引での維持費高騰になるらしい。なのでヤバいならコアが判断して勝手にいろんなものを売りつけてでも破産を防ぐだろう。が、こっちが焦ったのは別の件だ。正確にはこのままだとこっちの27億は使われなかったので返却となるのだ。それは借金漬け計画的に不味い、なのでセールストークをしに来た感があるのだ。目標もある、できるはずだ。
「…少し待て、フラワーに聞いてくる。」
 そう言うと、どすどすと、黒川は席を立った。但しうかつなことは言えない、相手のコアは当然こっちを監視しているのだ。相手の体内にいるくらいの感覚でないと相談も出来ない。
「でもまあ、ちょっと甘いお父さん過ぎるだわさ。27億DPは生半可なDPじゃないだわさ。」
 確かにそうだ、タンジョン経営もあるが、安定為に5年くらいは様々な努力を行ってきた。その上で出来たのが、この収益だ。それをこうも簡単に使われるのは…腹が立つな。
「お父様、その話初めて聞きましたわ。」
「お待ちくださいお嬢様。」
 秘書の人を連れてやってきたのは…黒川美玖、ある意味この魔人連合の主でもある。噂によると、黒川が王宮を辞退したのは美玖に対して求婚が多くてそれを聞いた黒川がキレて王宮を辞退したという話が、商人図手に聞こえてくるぐらいだ。それ位娘を敵愛している、娘は今は健康的で美しく、洗練された美人だ。鳥海みたいな見ているだけで劣情を催させるほどではないが、その美しさは花にたとえれるだろう、そして何よりこの国は奴隷制があった関係で、そう言う女性の素の美しさには敏感なところがある、現魔王国国王のレオンも今でも信用しているらしいが、娘がまともな性格であり、正常な判断だというところが唯一だろう。
「私は普通に入りたいだけですわ。そんな主人公なんてむしろ害悪ですわ。」
 でもどう見てもこっちは悪役お嬢様なんだよな。
「いや、きっと合うはずだ!」
「…ちょっと待ってくれないか…この子に主人公の地位を渡すのか?」
 私は呆れて美玖を見つめる。
「私はこんな多額の金額を使っての褒章はいらないですわ。その金があるくらいなら、民にばらまけばまだいい結果になりますわ。」
 …確かにそうだが…それはそれで問題があるな。
「いや、人間は今回参加できないはずなんだが、もう美玖さんはモンスターになったのか?」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
 全員の空気が凍った。規約では勇者大下でさえ無理だったのに、人間を送り込むことはできないだろう。どうするつもりだったんだ。
「人間って止めれますの?」
「不老になって、飽きてもダンジョンに縛られるなら…可能だ。ただして特定のモンスター種に限られるし、そのモンスター特性に性格とかが引きずられるがな。」
「…それマジか?というか、人間ではいけないのか?」
 黒川の顔がしかめっ面になっている、
「私の部下の中で、送り込みたい人間がいてな、そこで話をしたところ無理だと言われた。」
「…すまない、美玖。」
「分かりました、むしろ良くとどまってくれて、ありがとう。」
 黒川親子が抱き着いて涙を流しているが。これ本当に美談なのか?ただ鳥海は、呆れてそっちを見ていたのは確かだ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……

Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。 優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。 そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。 しかしこの時は誰も予想していなかった。 この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを…… アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを…… ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...