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第20章 それは柴崎エナリシア

第907話 見れば見るほど触りたくない案件はいくらでもある

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「…えっと…。」
 鳥海達2名。そして水木たち3名とミヨちゃんとオウル、ウルフェモアレ。ポアンたち。…ドラゴンレンジャーとドランも一斉に帰ってきた。…放心したまま。
「大丈夫かー。」
「なんかすっごかっただわさ。主人公がそれはもう、花火バンバン上げてんで、みんなと手をつないでどっかーんだわさ。」
 鳥海…。
「マスター、頑張ったよ。私たち頑張ったよ。問題もいっぱいあったよ。問題だよ。」
 ミヨちゃんの挙動も不振だ。目が真ん丸のままかくかく上下している感じだ。
「である。であるである。人間怖い。むしろあんな怖い環境にいる人間怖い。」
「マスター。すいません。私が付いていながら…数回全滅しました。」
え?ええ??
「私はこう、普通のダンジョンとやらが分からなくなったぞ、あんなのに籠っていては不健康になるぞ。」
「お姉ちゃん。それは。」
「すまない、次の時まで二日なだ。ミヨちゃん達は休め。そして鳥海。報告頼む。最悪色々…させてもらうからな。」
「…分かっただわさ。」

 まず説明されたのが、運営の罠だという”立場システム”と呼ばれるシステムだ。我々は最初その地位を買い、ステータスそのままかと思った。が違う。その地位にあったステータスも与えられる。大抵の安い権利はレベル1スタート。そして普通の人間として何のビーコンもないまま。3年間暮らす。ただそれだけ。これに応募したのが水木たちとアラン王子、鳥海含め全員だった。但し、地位ガチャで所持金がある程度あり、しかも一人だけ店を買っていたので。その店を基軸にどうにか資金を調達。その金でダークボックスで覚えさせようとした矢先、ギルドPなら向こうにあるギルド経由で資金を引き出せることが発覚。…それに気が付いたのがスキュラであり、その為大量の資金を使ったプチ贅沢で全員が暴走を始めた。頼み技術はこちらよりふわふわした設定そのものが存在している世界で、半分以上の技術は”何となく”とか”分からない”と言われてしまい、レベリングしかやることが無かった。その為3か月目にして、こちらの計画の9割が破綻。そしてイベントが起きる中…主人公と主要人物だけが”別口イセカイテンセイ人”であることが発覚。その為の世界であることも…。
「じゃあ、その主人公枠か、あれは。」
「そうだわさ。クリメアは欠点があって、MAGに応じた爆発ダメージがあるだわさ。その代わりこちらに肉体を持ち込めることになっていただわさ。」
「おいおい…クリメアとかは…。」
「死ななきゃ安いが、普通は内臓が爆発し続けるなんて、しかもレベルアップは固定で、自分が沿立てたい方向と逆にしか育たないらしいだわさ。だから…。クリメアが外れくじだわさ。」
「主人公が当たり、だけど、この表だと分かって27億よね、吹っかけてき過ぎ。誰も払えないじゃない。」
「10はギルドに借金すればできるが…。」
「で、報酬はその時までのレベルとスキルをDPに全部変換してその分が報酬。大体120万だわさ。」
「時間の損とも言うが。」
 私たちの枷はそれこそ数十億だ。一か月120万はよそでは大報酬だがこっちではショボい。
「でも人間の暮らしとか、アチシ達のダンジョン増とかいろいろ、アラン王子もモアレたちもわかってきただわさ。」
「2週目はどうする?」
「アチシは自由参加でいいと思うだわさ。但しさらに時間2倍。だからうまいにはうまいだわさ。だからと言ってあの世界にもう3年いたいのかというと、スラムに近い平民の世界を3年もやりたい鬼畜変人どこにいるだわさ?」
「そう言う事か…。」
「わしは行くのじゃ!」
 ドランは手を上げる。
「わしはやめておくがのぉ。」
「私は…手があるなら…。アランは国に帰るようです、学んだことを生かしたいと。」
 水木さんは悩んでいるようだ。俊三さんはいかない
「あと一つ注意するだわさ。行くなら…。死亡トラップがあるだわさ。」
「何だそれ?」
「死ぬとゲームと一緒で、自宅で蘇生してもらえるだわさ。昨日の事は夢だったと。但し蘇生一回ごとに枠をオークションで購入した金額そのものが引かれるだわさ。」
 おいおい!更にトラップかよ!
「ただし有名な役は全部最初からスキルとかいろいろついているだわさ。だから簡単には死なないだわさ。ただしそこにはシナリオ強制力が働くと、徳永から聞いただわさ。」
「何だその、シナリオ強制力?」
「だいたいイベントの発生する一日前にメールで、そしてイベントを主人公が起こしてしまうと、その場で自身がどこにいてもテレポートさせられイベントをやらされるだわさ。例えば悪役令嬢がイジメるシーンなら。その通りにイジメる、靴に画びょう入れるなら、靴に画びょう入れるまで、その周辺から動けなくなるだわさ。」
 最近の異世界物あるあるの”いじめかっこ悪いから、やるのをやめた”ができないのか、これ。
「後相手に対する態度も言葉が自動変換で固定されている間は必ずその口調になるだわさ。なので、有名キャラはそれなりにリスクがあるだわさ。」
「そうなると…無名の貴族とかモブ貴族が一番うまいのか。」
「そう言う事だわさ。ただしそれも給料が毎月来るのと、ある程度の豪邸までしかないだわさ。まあ、一番いいのは学生で、貴族の息子の学生を探して買うのが一番いいだわさ。」
 そう言いつつ鳥海はぐいぐいと喉を鳴らして昆布茶を飲んでいる
「私は向こうに行って例の次回投票用の作品の考察を行う。その為に行く。枠は…後エナリシアに伝えておけ。三日間。止めておけ。そこで、普通枠でいいなら連中にこの冒険枠をおごると。」
 連中に育ってもらって、いろいろやってもらわないとな。まずはギルドに質問状を送る。そこからだ。
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