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第20章 それは柴崎エナリシア

第900話 エナリシアの旅 勇者VSバンガルスカーデ

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 バンガルスカーデは遠目から見て目が細く、起きているか、寝ているかはわからない。但し、前足を軽く踏みしめ、腰を浮かせたように思う。構えている、但しこちらも安全を取って距離を放しているはずだ。20mくらいは放した。
「まずは行くでござる。ほいさ!」
 大下が大振りで掌をバンガルに向けると、そこから高速の光の矢が飛んでくる。バンガルスカーデは、それを目をつぶって…額で受けた。
「ん!」
「行きます。ファイアアロー!」 
 レイロードが魔法を構えた瞬間…周囲におぞけに似た…さっきの気配が漂う。そしてバンガルが飛び出し・・・・一気に距離を詰めてきた。が、全員虚を突かれた。それもそのはず離したはずの20mを一気に詰めてきたからだ!その異様な姿に全員…いやエナリシアだけが飛び出し、脇から全力で槍をぶん投げた。それが…更にわざと上に上半身をはねあげ…槍ごと弾いた。そして、全身を沼地に着地させると、体を引きずり…徐々に戻っていった。
「あ、アブねぇ…。」
「な!な!」
「え!あ‼あんなの反則じゃん!」
「ひ、ひぃ!」
「落ち着いて、生きてる!みんな!」
 バンガルスカーデの上半身はワニであるが、下半身は…巨大なアナコンダ蛇である。しかもその下半身もワニ革に包まれかなりの巨大さを誇る。上半身が2mなら下半身は…見せる範囲で10m程はある。模様は違い、地を這うという違いはあるが。東洋の竜に近い外見だった。そして口はワニであり、その牙でかまれれば、その顎で食いちぎられる、但し前足は体の割に小さく、後ろ脚は見当たらない。
「…今‼攻める!」
「行きます!ウォーターアロー!」
ラクリッエチェも魔法とを唱え、攻撃に入る。数発の攻撃を身を固めつつ…
「…欠点は一度攻撃すると、態勢を整えないと、再度攻撃できない。只群れになると、その隙間が多数の攻撃で消える。しかも…。」
 バンガルは敵を睨みつけると、水の膜が現れ、その魔法弾幕を防いでいく。
「…奴は魔法も使える、」
 ゴア!
 鈍い叫び声とともに、ワニの口から水球が飛ばされる、
「ファイアウォール!」
 田中が声を上げると、炎の壁を立て…水球を防ぐ。
「弱点は?」
「…閉じた時の口を上から抑え込む。開いているときは顎の力が凄すぎて、抑え込めない。」
 その言葉を聞いてパオメイが走り出す。但し射線を遮らないようにサイドに回り込む。
「レーザー!」
「ファイアアロー!」
「ウォーターアロー!」
 魔法で攻撃している間もバンガルは魔法で攻撃をさばきつつ。徐々に前足で下がりつつ、身を縮めていく。確かにいくつかは魔法が貫通するが、それはバンガルの硬い鱗というか皮膚の前に弾かれていく。
「効かないでござる!」
「いえ、効いていますが!」
「これは!」
「おおおおお!」
 パオメイが走り出すと、跳躍し、バンガルの上を取る。
 グゥオオオオオ!
 叫び声をあげると、体全体をはねあげ…パオメイを口の上部で弾き飛ばす。そして、首を持ち上げ、全員を睨みつける、
「何でござるか!」
「攻撃!しないと不味いですわ!」
「フレアマグナム!」
 田中が魔法を唱えると、その場には5本の炎の矢が現れ、伸びあがった体を打ち抜く。が、効いた感じがしない。そこに…さらにバンデルの顎の下を打ち上げるような衝撃波が飛ぶ。
「おぉぉおお!レイザァー!」」
 大下が叫ぶと、太いレーザービームが貫通しないまでもバンガルに突き刺さり、鮮血が飛び散る。 そして痛みの叫び声が響く。
「まだまだ!」ファイアアロー!」
「チャンスと神は言っています!ウォーターアロー!」
「フレアマグナム!」
 各自全員傷口を狙い魔法を連打する。そしてバンガルは睨みつけると、その体を伸ばし、叩きつけてくる。
「…壁。」
 大下たちの周りに土壁ができると、その壁に肉体が弾かれ、強い振動とともに、土壁が破壊される、
「これで終わりだ!」
 パオメイがさらにバンデルの横っ面に殴りつけると、…そのまま倒れた。
「…やった。」
「ひ、ひひ。」
「へへへ。」
 魔法を打ちこんでいた3人がへたり込む。その間にエナリシアが近づき、バンガルスカーデの口を祝作成で作った枷で封じ、踏みつける、
「…勇者、すまない…そこの槍でいい、とどめを刺して。こいつ…まだ息がある、起きれば…全滅しかねない。」
「…分かったでござる、そこの刺さった槍でござるな。」
「…頼む…。」  
 大下は槍を引き抜くと、エナリシアに指差された…眉間に槍を刺すのだった。
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