魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１９章 VS飛鳥

第８４６話 苦労を見せないのは見栄と礼儀。

　まあ、次私達のライブ、だがやることが多い、と言っても今回は発音の魔道具オルゴールの作成だ。一応振動吸収のバイラードの皮を衝撃吸収に使用しその周りもさらに衝撃吸収メッシュ（ダンジョン発掘品）で囲み…一個２万DPも材料費がする高級なオルゴールが出来上がった。曲は一曲ごと、更にその曲に合わせた意匠を箱の外側に付けて、差別化を図った。これを３人で量産中だ。ついでにギルド売店で箱買いして来ました。マイルドウォークと、リンゴジュース。マイルドウォークは水木に教えてもらった。MP自動回復LV１と同じくらい回復するというMPポーションの代わりの”タバコ”だ。しかも結構すっとする香りのうえに、たばこにある”焦げた感じ”が一切ない。電子タバコに近いニュアンスの物だが、ノットニコチンである。ただ外見はタバコでこれを３人で吸いながら。物販グッズを作っている、ただしMPが回復させられればダークボックス加工で量産できるので、見学しつつ、ずっとMP回復に努めていた。前の発生の魔道具オルゴールを作る作業をやっておいてよかった。
「いいのぉ…。」
「でもミラージェ女史も。」
「アチシは…。」
「いえいえ、何でもありません！」
　どうも力関係が分かるな、ここで鳥海（軍務大臣）にヘコヘコするなよ。ただ私も積極的に前に出たくはないな、タバコでMP回復させつつフェルミィと一緒にいるのだから。ついでに本体は…トレーニング室でみんなのトレーニングを見ながら…微調整をしている。
「でも、昨日は驚いただわさ。」
「そう？」
「流石にレオンとかと会食中だったから…黒木の顔色の悪さが…。」
「そう言えば何であんなことを？」
　よくよく考えてみると、ヴァンドレイはタミさんが聞くには、あの口調はあるものの、目立たない…主を前にして発言を求められなければ何もしゃべらない程度には訓練された主従だ。目立つ行為を望んでするとは思えない。
「ああ、囮だそうだわさ。普段から目立つ行為をして、他の物を目立たせないためだわさ。ほら、そこ。」
　そこには老人と少女？そしてグラサンをかけた二人組が…。
「あれが”エージェント”だわさ。どうも鑑定以外の情報収集を行っていて、分析をしていたらしいだわさ。」
　そう言う事か、人間側の力を計ったのか。ただSNSは昨日の柳田の工場長と、ヴァンドレイの一戦を大々的に取り上げていた。普段この二人は直接対決はしないんだそうだ。
「モアレは目立たないな。」
「アチシ達も実際思ったより目立っていないから一般客に思われているだわさ。思ったよりファクターの効果が大きいかもしれないだわさ。」
「でも目立つときは目立つぞ。」
「目立つことをすると覚えられるだわさ。まあ、モアレちゃんが演技できてよかっただわさ。最悪の事態は避けただわさ。」
「でもあんたら、この景色どう思うの？」
　実際こっち小隊組はこっちで、ビーチの見学をしている、レオンはわざとだろう、ジャンと一緒に店番をしている、黒木はカジノルームに入り浸っている、と言っても金は賭けない。国家間の争いになるのを防ぐために賭け事禁止だ。唯一が例の”コロシアム”である、ああいう鉄火場も好みなのだろうか。ここでは水着を見たいオッサンがこうしてギャラリーとなっており、どうもリラシルトの評議員の連れ込んだ女性たちが水着を着て、泳いだりして、肌をさらしている、只寝ているだけのサンディーンの女王なんてものもいるが、おおむねここは紳士の社交場だ。
「んー。平和だわさ。ただ、地上に比べ、敵が出ていないだわさ。これが気になるだわさ。」
　そう言えば、地上ではちょいちょいワイバーンとか襲い掛かっていた。しかも警備兵も結構多い。が、敵はいない。内部向けではないのは、前日を見ていて知っているはずだ。
「これ…吸う？」
「あんた、作っているんだから、余裕あるだわさ？」
「んー。やっと２０個。全種類ね。これ以上は発注でいいかな。」
　２０個も作ればいいだろう、前は一種類を４０個ぐらいだ、今回は２０種を２０個だ。かなり多い、これをMPだけで作っているのだ、非常に疲れる、
「まあ、明日は楽しみにしているだわさ。」
「問題は私なんだ、照明が慣れなくてな。」
「あ…そう言う事だわさ？」
「ま、そうなんだ。だからつたなくても問題ないと思ってくれ。」