魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１９章 VS飛鳥

第８３１話 ノリは展示会のブースです

　とりあえず、水着の展示、そして皮鎧の展示が終わると、
「やっほ、来たよ、」
　レオンが戻ってきたようだ。私の職場はこっちではないので、時々見に来るという事になる、
「あいさつ回り言ってくる、頼んだ。」
「分かったぜ。」
　ジャンに軽く言うと、まずは…。数件挨拶を終わらせた。ついでにシードルをお土産で…数本こっちにおいてもらっている、運んだ荷物の中に入れてもらった。シードルは売込中のお酒で…ってまずは…ここだな、
「へい。…あんたか、商会長。」
「お久しぶりです。ドルカス殿。」
　今回はイーハ商会のミラージェの姿で回っているので、挨拶も井原とは違う者になる、
「ここはほら、鉄工具の店だ。なんか買っていくか。」
「イーハ商会からこちらを。特産品のシードル酒です、」
「これがか…ありがたい、甘いのか？」
「一応ダンジョン特産で、限界まで熟れさせた黄金リンゴの蜜を付け込んだ極めて濃厚なシードル酒です、後蒸留器とかあれば…、これを基にしたブランデーなどもと、思っていますが、この味わいは、格別だと思います。」
　まあ本当に蒸留酒の設備があったとして作るのはジャガイモのアクアピットか、ウォッカになるだろうな。シードルはさわやかな喉越しだ。
「…というか酒も作っていたのか？」
「はい、むしろ、こっちのほうが年数が長いくらいです、後…同じくらいですと食堂で出されます…パークボアの豚骨ラーメンですね。」
「ほう？」
「皮鎧の系列はこの余剰で手に入る、革の処理で開発された物でして。」
　ＤＰ換言すれば、この革鎧だけでもかなりのＤＰになるので、単にダンジョンに死体を取り込むよりずっと効率的にＤＰを得られる、まあパークボアが２５Ｄｐに対して、豚骨スープ（寸胴）が３２５４ＤＰ，香草ステーキ４０人前１２０ＤＰ×４０＝４８００ＤＰ、革鎧が、７２０ＤＰ（平均）となり、時間はかかるものの、これをダンジョンに取り込ませた方が効率的だ。８７００ＤＰの追加利益となる、また、そうでない場合は…実は防具に限りはダンジョンオーブ売りが効くらしい。というのもモンスターの初期装備としてこれら防具が配給される、その分ダンジョンからは喪失がするが、こうしたダンジョン素材売りによる収益も結構大きい。ただ、生産体制を整える必要がある、その上、ダンジョンの強化には微弱には役に立たない、
「でもライバルだが…魔獣の革鎧とかあるのか？」
「いくつかは。但しダンジョンの関連で私達には輸出不可能ですが。」
「仕方ないが…。」
　これは地味にダンジョン問題の一角で、自分の部下の毛や詰めの不用品はともかく、それ以外はすべて採取できない。皮なんてとんでもない。ダンジョン内でスポナーモンスターに対しても忠誠度が機能するのだ、独自に。その為、接待すれば当然信頼度が上がり、中立スポナーでも安心となる、ただ、詳細は不明だ。調べている。
「でもよ、水木のお嬢ちゃんにはまだ、仕出してるのか？」
「いちおう大きな需要先ですからね。」
「でも豚骨スープねえ…。」
「ああ、半分くらいは私の趣味です、好物ですので。」
「…へぇ…あの濃いやつが？」
「はい、けっこう好きですよ。」
「今度、いっぱいくれねぇか？」
「売店に行けばありますから、そちらで。」
　ここで、匂い兵器を作る気にはなれない。あれは煮る時にすごいにおいがするんだ。本気で。ついでに豚骨の炊く事や灰汁とりはダンジョン村の子供の仕事の一角だ。大人も監視するが、こういう地道な行為をすることにより金を得て、仕事にさせている、え？料理人とか大人の仕事？いやあ、こっちで出す賃金が安くて大人だと、上の町の商人の仕事のほうがうまいから、この地味な作業は人気がないんだ。本気で。