魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

文字の大きさ
上 下
838 / 1,319
第19章 VS飛鳥

第830話 国は金を集めて配る奴

しおりを挟む
「ふむ、立派だが…これが船か…。」
「そうだわさ。」
「流石の華燭。確かに豪華絢爛ですな・・・。」
 マルワール国王と、宰相を鳥海の関係者として連れてきた背景には。今後のギルドのと交渉に際し、この力を見せられてどう反応するか、最悪国を売るに近い判断をしないといけない。今はギルド浸食の際に対策をするために被害最小になる施策は打ってきた。ただそれでも相手の予算規模の話を井原から聞かされて驚愕していた。700億DPが魔王軍個人資産としてポンとでてくるのだ。それだけあればスキュラの買収が可能だと思われる、それを超えるだけのDPをバカンスへの日数短縮という、為だけに出せたのだ。こっちはどうにかその数分の一を全体でねん出することに成功したというのに…あまりに差は広く、絶大だ。
「だから、見学して、どう思ったのが、考えるだわさ。アチシ達は今後これと付き合うだわさ。」
「確かに、あの時…この程度の活気で喜んでいるようなら。国としてあり得ないと叱咤されたのは…この為でしたか…。」
「一応、上に来た他国民の休みも欲しいと思っているだわさ。過酷すぎる登山道は休憩が欲しいだわさ。」「
「確かに…。」
 簡単な視察と入れる場所”オペレーター室”を含む箇所に入り、視察を終えて帰ってきていた。
「ここが止まる場所か。」
「一応ミギールとレフティの内、ミギールが部屋の護衛だわさ。レフティは下の”警備専用居住区”の視察とそこでの危険性のチェックをしているだわさ。」
「確かに・・・・いつもすまないな、軍務卿。」
「まあ、本当は座っているだけでいいお飾り迄させるのが官僚の仕事だわさ。で、ここがスィートルームだわさ。一応アチシ達の要望はベットの数だけで、標準を依頼しただわさ。」
 ただ、将軍として戦って来たミギールやレフティのケイ議は鳥海にとっては不満が多い。鳥海位しか…ボディガードの陣形やセキュリティの防御態勢などの知識がないためだ。
「でも他の貴族は要望したと言ったぞ、いらないのか?」
「ここは飛鳥だわさ。むしろ何も言わない普通の部屋こそ”最大贅沢な部屋”だわさ。」
「そ、そうなのか?」
「あと、シルキーたちが好物の豚骨ラーメンを持ってくるだわさ。」
 この部屋でとんこつラーメンは勇気いるな。
「感謝する。」
「ただし、後で食事の研究で夕食会に行くのも忘れてはだめだわさ。」
「わ、分かっている、」
 マルワール帝国として、一度ギルドを見てみたいとの話で、今回の話を受けたが、威圧されっぱなしだ。この豪華さを思えばわがマルワール帝国は田舎の小国だ。
「でもなぁ、我ら…田舎過ぎないか?」
「ですなぁ…。」
「そう言えば言っていないだわさ。わざとそうしているだわさ。」
「どういう事だ軍務卿?」
「あまりに装飾に金をかけるようなら、アチシが全部壊す…だわさ。」
 少し剣呑な空着が流れる、
「国は常に”民に奉仕する貧乏くじ”だわさ。国王なんてその代表格だわさ。そうでない国家は…民の手で殺される、そう思った方がいいだわさ。」
「…私たちが…そのなんだ?」
「なんかしまらないだわさ。」
「国に金があるという事は嫌な言い方”国が集めた富を有効活用していない証”だわさ。備蓄が必要ならともかく、基本は分配。それが国が税を取る理由だわさ。」
「税・・・か。」
「そして、それを使ってみんなの為になることをするのが、国の役割だわさ。そんな国家が、こんな豪華な建物を占有していたとあれば…。いつ殺されても文句言えないだわさ。」
「そう言うならこれは間違えているのか?」
「それはちょっと難しいだわさ。これは客船、すなわち金をとって人と海の向こうに運ぶ船だわさ。ゴーレム車の海上版みたいなものに、海ならではの物を…覚えているだわさ?王国との交流で使っている船。」
「ああ、あるな、それか?」
「その進化系だわさ。これは金さえ払えるなら・・・誰でも載せる船だわさ。そう言う意味ではみんなに還元しているだわさ。これを王族で独占するというと話が変わるだわさ。」
「ふむ…。」
「確かに…そうだね。還元…いい事を言う。でもここまで体力差があると…確かに黒木が、野に下ってでも対策が必要と言い出したのが分かる、」
「そうだわさ?まあ、そう言う感じだわさ。まあ、ここまでの規模の差があるだわさ。いつか…これ以上になるなら、高見として覚えておくだわさ。」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

私のお父様とパパ様

ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。 婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。 大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。 ※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。 追記(2021/10/7) お茶会の後を追加します。 更に追記(2022/3/9) 連載として再開します。

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

処理中です...