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第19章 VS飛鳥
第811話 現場監督の仕事の8割が、説明役です。
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「クックック、そう言えば少し…問題が起きたのでね。」
「…あるのか?問題?」
「…エクトネーゼ王が視察に来る、どうも、建築途中を見て魔道具職人とかの育成をしたいと。その為に君に説明を求めている、君の作業の一部は私たちがやる。」
「ありがたいが…。」
時々大型案件だとあるんだ、お偉いさんの視察、平野現場監督だった私は現場主任の案内を横目で見て作業する側だった。だからこそ…こういう説明は苦手だ。
「ここが…これが…客船か…。」
顎を外しそうな顔をしているのが、自分はこの言い方をしている、傭兵部隊クラムブラッドのオーナーにしてエクトネーゼ王。エムント・エクトネーゼ王だ。精悍な顔つきに少し皺のある頬、その初老の顔つきとは想像できないほどに、知的で平和を愛する。ある意味世界会議の重要人物である、そして何より、この王様は実際手ごわい。と聞いている、
「ここ迄巨大な物が海に浮くのだな、というより石は海に沈むはずだろう?」
「それはこちらを。」
今回の説明の問題は、船が浮くところから説明しないといけない。
「まず、今この…船自体が。重さのない実体であり…まずは、今回見本となる、シルキーさんに来ていただきました。」
「よろしくお願いします、」
「よろしくお願いします、」
一緒にあいさつしているのは、なぜか一緒にいるリーメ君なのだが…うん、妙に萌える声音だ。ある意味強敵である、只歓声は上げない。というのも護衛で隣に鬼ちゃんがいるからだ。
「僕も信じられないんです、リューネさんから、浮くから浮くんだと説明されて…わけがわからなくて。」
「でしょうね。」
当然だ、鉄の板が水に浮く原理は。理解しずらい、
「どこから説明しますか、この船が浮く理由と、鉄の船が浮く理由のどちらか…。どっちもお互い原理がお互い違うので…。」
「え!そうなんですか!」
そこからか…。長くなるな。
「住まない、鉄の船は今度でいい。まずはこの船が浮く理由だ。」
「まず。幽霊属は基本霊体です。停滞は、シルキー、腕をまくって触らせてあげて。」
「はい。」
シルキーさんが手を出すと…それをエクトネーゼ王が触ろうとしても触れない。
「普通は触れません、お互いの物の密度が違うためだと思われます。」
これは検索で、急いで検索して知ったことだ。霊体はとても微弱な気体状の魔法組織を持っており、その密度の薄さが体となっている、そして霊体のレベルが上がると、
こうなる、
「では次にもう一回触ってください、」
「え!え?」
エクトネーゼ王も、リーメ君も、お互い…顔を見合わせる、今度はふんわり柔らかく触れたのだ。但しふにゃふにゃって感じの感触だろう。
「これが霊体のレベルが上がるとなる、接触可能です。で、これを無意識的に使い、あの船の底面部に幕を張り、例えば…薄い布・・。こちらは撥水性を上げるために油と付けた布になります、」
シルキーが、たらいを持ってくると、私がその上に油をしみこませた布を…水の上にかぶせる、そうすると少し浮いた。但し普通のあれだと、油をしみこませた重さで沈む。
「…浮いた。」
「そう言う事です。但しこれも、この上に石を置くと。」
「沈みました。」
「こうなります、普通はこうなります、ですが、あれはダンジョンを内蔵しており、ダンジョン内では体の一部とみなされ重さがない事になっております、実験では内部にいる間…重さは全く船が沈む際に影響なかったのです、」
「そ、そうなのか?」
「はい、その為、この布と一緒で軽い物が乗っている扱いであると思われます。実際内部で作業していますが、どんな重さで揺らしても、影響は外に出ていません。」
その代わりに、維持費が上がるそうだが…。謎物質ではなく、カウンターショック(任意作成型反作用)を使っているという話もある、どちらにしろ重さ無し、そして反動もない幽霊船の出来上がりだ。
「ただ、これ以上の原理についてはまだ不明です、」
これ以上の研究は、船が出向してから出ないと無理だ。
「でも、あの形の理由は何だ。その話ならあの形でなくてもいいではないのか?」
「そうですね、ちょっと待ってください。」
ダークマターで桶を作り、その上にタライの水をあける、
「このタライ、実は水に浮きます、」
そう言って、水の上に置けをほおり投げた。
「まあ、これは…。」
「これを手で押してみると、抵抗があるのが分かります、どうぞ。」
「そうですね。」
「これは空気の気圧が水を押さえつけ、抵抗しているからなります。例えばこの桶が重かったり、この形から変更すると、抵抗がなくなり沈みます。」
「ほう?」
「これが板の場合は軽い木でないとすぐに沈むでしょう。こういう形による、抵抗による経常的特性の学問を…流体力学と呼びます、」
「流体・・・力学。」
「よくわかりやすい例でこれです、」
ダークマターで矢を作る。
「これも実際、こういう矢じりのない木の棒よりもこちらの方が飛距離が伸びます、それは比重と形状による差なのです、これも流体力学的アプローチです。」
「「あ!」」
「極めると色々ありますが、船を作ったりする上では曲線は大事なことになります、これは木をつなげてもこうして密閉が無いとダメです。」
「そう言う事か、あれは矢じりのようなものなのだな。」
「確かに、そう見えます、」
「ま、どうとらえても構いませんが、そうやってできたのがあの形です。実際形状的スマートさがあり、綺麗だと思います。」
理解されたかは不明だ。だが理解してもらえると嬉しい。淡い期待だがな。そう言えば飯垣も…説明するときが一番面倒という話があったな。困ったものだ。
「…あるのか?問題?」
「…エクトネーゼ王が視察に来る、どうも、建築途中を見て魔道具職人とかの育成をしたいと。その為に君に説明を求めている、君の作業の一部は私たちがやる。」
「ありがたいが…。」
時々大型案件だとあるんだ、お偉いさんの視察、平野現場監督だった私は現場主任の案内を横目で見て作業する側だった。だからこそ…こういう説明は苦手だ。
「ここが…これが…客船か…。」
顎を外しそうな顔をしているのが、自分はこの言い方をしている、傭兵部隊クラムブラッドのオーナーにしてエクトネーゼ王。エムント・エクトネーゼ王だ。精悍な顔つきに少し皺のある頬、その初老の顔つきとは想像できないほどに、知的で平和を愛する。ある意味世界会議の重要人物である、そして何より、この王様は実際手ごわい。と聞いている、
「ここ迄巨大な物が海に浮くのだな、というより石は海に沈むはずだろう?」
「それはこちらを。」
今回の説明の問題は、船が浮くところから説明しないといけない。
「まず、今この…船自体が。重さのない実体であり…まずは、今回見本となる、シルキーさんに来ていただきました。」
「よろしくお願いします、」
「よろしくお願いします、」
一緒にあいさつしているのは、なぜか一緒にいるリーメ君なのだが…うん、妙に萌える声音だ。ある意味強敵である、只歓声は上げない。というのも護衛で隣に鬼ちゃんがいるからだ。
「僕も信じられないんです、リューネさんから、浮くから浮くんだと説明されて…わけがわからなくて。」
「でしょうね。」
当然だ、鉄の板が水に浮く原理は。理解しずらい、
「どこから説明しますか、この船が浮く理由と、鉄の船が浮く理由のどちらか…。どっちもお互い原理がお互い違うので…。」
「え!そうなんですか!」
そこからか…。長くなるな。
「住まない、鉄の船は今度でいい。まずはこの船が浮く理由だ。」
「まず。幽霊属は基本霊体です。停滞は、シルキー、腕をまくって触らせてあげて。」
「はい。」
シルキーさんが手を出すと…それをエクトネーゼ王が触ろうとしても触れない。
「普通は触れません、お互いの物の密度が違うためだと思われます。」
これは検索で、急いで検索して知ったことだ。霊体はとても微弱な気体状の魔法組織を持っており、その密度の薄さが体となっている、そして霊体のレベルが上がると、
こうなる、
「では次にもう一回触ってください、」
「え!え?」
エクトネーゼ王も、リーメ君も、お互い…顔を見合わせる、今度はふんわり柔らかく触れたのだ。但しふにゃふにゃって感じの感触だろう。
「これが霊体のレベルが上がるとなる、接触可能です。で、これを無意識的に使い、あの船の底面部に幕を張り、例えば…薄い布・・。こちらは撥水性を上げるために油と付けた布になります、」
シルキーが、たらいを持ってくると、私がその上に油をしみこませた布を…水の上にかぶせる、そうすると少し浮いた。但し普通のあれだと、油をしみこませた重さで沈む。
「…浮いた。」
「そう言う事です。但しこれも、この上に石を置くと。」
「沈みました。」
「こうなります、普通はこうなります、ですが、あれはダンジョンを内蔵しており、ダンジョン内では体の一部とみなされ重さがない事になっております、実験では内部にいる間…重さは全く船が沈む際に影響なかったのです、」
「そ、そうなのか?」
「はい、その為、この布と一緒で軽い物が乗っている扱いであると思われます。実際内部で作業していますが、どんな重さで揺らしても、影響は外に出ていません。」
その代わりに、維持費が上がるそうだが…。謎物質ではなく、カウンターショック(任意作成型反作用)を使っているという話もある、どちらにしろ重さ無し、そして反動もない幽霊船の出来上がりだ。
「ただ、これ以上の原理についてはまだ不明です、」
これ以上の研究は、船が出向してから出ないと無理だ。
「でも、あの形の理由は何だ。その話ならあの形でなくてもいいではないのか?」
「そうですね、ちょっと待ってください。」
ダークマターで桶を作り、その上にタライの水をあける、
「このタライ、実は水に浮きます、」
そう言って、水の上に置けをほおり投げた。
「まあ、これは…。」
「これを手で押してみると、抵抗があるのが分かります、どうぞ。」
「そうですね。」
「これは空気の気圧が水を押さえつけ、抵抗しているからなります。例えばこの桶が重かったり、この形から変更すると、抵抗がなくなり沈みます。」
「ほう?」
「これが板の場合は軽い木でないとすぐに沈むでしょう。こういう形による、抵抗による経常的特性の学問を…流体力学と呼びます、」
「流体・・・力学。」
「よくわかりやすい例でこれです、」
ダークマターで矢を作る。
「これも実際、こういう矢じりのない木の棒よりもこちらの方が飛距離が伸びます、それは比重と形状による差なのです、これも流体力学的アプローチです。」
「「あ!」」
「極めると色々ありますが、船を作ったりする上では曲線は大事なことになります、これは木をつなげてもこうして密閉が無いとダメです。」
「そう言う事か、あれは矢じりのようなものなのだな。」
「確かに、そう見えます、」
「ま、どうとらえても構いませんが、そうやってできたのがあの形です。実際形状的スマートさがあり、綺麗だと思います。」
理解されたかは不明だ。だが理解してもらえると嬉しい。淡い期待だがな。そう言えば飯垣も…説明するときが一番面倒という話があったな。困ったものだ。
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