819 / 1,247
第19章 VS飛鳥
第811話 現場監督の仕事の8割が、説明役です。
しおりを挟む
「クックック、そう言えば少し…問題が起きたのでね。」
「…あるのか?問題?」
「…エクトネーゼ王が視察に来る、どうも、建築途中を見て魔道具職人とかの育成をしたいと。その為に君に説明を求めている、君の作業の一部は私たちがやる。」
「ありがたいが…。」
時々大型案件だとあるんだ、お偉いさんの視察、平野現場監督だった私は現場主任の案内を横目で見て作業する側だった。だからこそ…こういう説明は苦手だ。
「ここが…これが…客船か…。」
顎を外しそうな顔をしているのが、自分はこの言い方をしている、傭兵部隊クラムブラッドのオーナーにしてエクトネーゼ王。エムント・エクトネーゼ王だ。精悍な顔つきに少し皺のある頬、その初老の顔つきとは想像できないほどに、知的で平和を愛する。ある意味世界会議の重要人物である、そして何より、この王様は実際手ごわい。と聞いている、
「ここ迄巨大な物が海に浮くのだな、というより石は海に沈むはずだろう?」
「それはこちらを。」
今回の説明の問題は、船が浮くところから説明しないといけない。
「まず、今この…船自体が。重さのない実体であり…まずは、今回見本となる、シルキーさんに来ていただきました。」
「よろしくお願いします、」
「よろしくお願いします、」
一緒にあいさつしているのは、なぜか一緒にいるリーメ君なのだが…うん、妙に萌える声音だ。ある意味強敵である、只歓声は上げない。というのも護衛で隣に鬼ちゃんがいるからだ。
「僕も信じられないんです、リューネさんから、浮くから浮くんだと説明されて…わけがわからなくて。」
「でしょうね。」
当然だ、鉄の板が水に浮く原理は。理解しずらい、
「どこから説明しますか、この船が浮く理由と、鉄の船が浮く理由のどちらか…。どっちもお互い原理がお互い違うので…。」
「え!そうなんですか!」
そこからか…。長くなるな。
「住まない、鉄の船は今度でいい。まずはこの船が浮く理由だ。」
「まず。幽霊属は基本霊体です。停滞は、シルキー、腕をまくって触らせてあげて。」
「はい。」
シルキーさんが手を出すと…それをエクトネーゼ王が触ろうとしても触れない。
「普通は触れません、お互いの物の密度が違うためだと思われます。」
これは検索で、急いで検索して知ったことだ。霊体はとても微弱な気体状の魔法組織を持っており、その密度の薄さが体となっている、そして霊体のレベルが上がると、
こうなる、
「では次にもう一回触ってください、」
「え!え?」
エクトネーゼ王も、リーメ君も、お互い…顔を見合わせる、今度はふんわり柔らかく触れたのだ。但しふにゃふにゃって感じの感触だろう。
「これが霊体のレベルが上がるとなる、接触可能です。で、これを無意識的に使い、あの船の底面部に幕を張り、例えば…薄い布・・。こちらは撥水性を上げるために油と付けた布になります、」
シルキーが、たらいを持ってくると、私がその上に油をしみこませた布を…水の上にかぶせる、そうすると少し浮いた。但し普通のあれだと、油をしみこませた重さで沈む。
「…浮いた。」
「そう言う事です。但しこれも、この上に石を置くと。」
「沈みました。」
「こうなります、普通はこうなります、ですが、あれはダンジョンを内蔵しており、ダンジョン内では体の一部とみなされ重さがない事になっております、実験では内部にいる間…重さは全く船が沈む際に影響なかったのです、」
「そ、そうなのか?」
「はい、その為、この布と一緒で軽い物が乗っている扱いであると思われます。実際内部で作業していますが、どんな重さで揺らしても、影響は外に出ていません。」
その代わりに、維持費が上がるそうだが…。謎物質ではなく、カウンターショック(任意作成型反作用)を使っているという話もある、どちらにしろ重さ無し、そして反動もない幽霊船の出来上がりだ。
「ただ、これ以上の原理についてはまだ不明です、」
これ以上の研究は、船が出向してから出ないと無理だ。
「でも、あの形の理由は何だ。その話ならあの形でなくてもいいではないのか?」
「そうですね、ちょっと待ってください。」
ダークマターで桶を作り、その上にタライの水をあける、
「このタライ、実は水に浮きます、」
そう言って、水の上に置けをほおり投げた。
「まあ、これは…。」
「これを手で押してみると、抵抗があるのが分かります、どうぞ。」
「そうですね。」
「これは空気の気圧が水を押さえつけ、抵抗しているからなります。例えばこの桶が重かったり、この形から変更すると、抵抗がなくなり沈みます。」
「ほう?」
「これが板の場合は軽い木でないとすぐに沈むでしょう。こういう形による、抵抗による経常的特性の学問を…流体力学と呼びます、」
「流体・・・力学。」
「よくわかりやすい例でこれです、」
ダークマターで矢を作る。
「これも実際、こういう矢じりのない木の棒よりもこちらの方が飛距離が伸びます、それは比重と形状による差なのです、これも流体力学的アプローチです。」
「「あ!」」
「極めると色々ありますが、船を作ったりする上では曲線は大事なことになります、これは木をつなげてもこうして密閉が無いとダメです。」
「そう言う事か、あれは矢じりのようなものなのだな。」
「確かに、そう見えます、」
「ま、どうとらえても構いませんが、そうやってできたのがあの形です。実際形状的スマートさがあり、綺麗だと思います。」
理解されたかは不明だ。だが理解してもらえると嬉しい。淡い期待だがな。そう言えば飯垣も…説明するときが一番面倒という話があったな。困ったものだ。
「…あるのか?問題?」
「…エクトネーゼ王が視察に来る、どうも、建築途中を見て魔道具職人とかの育成をしたいと。その為に君に説明を求めている、君の作業の一部は私たちがやる。」
「ありがたいが…。」
時々大型案件だとあるんだ、お偉いさんの視察、平野現場監督だった私は現場主任の案内を横目で見て作業する側だった。だからこそ…こういう説明は苦手だ。
「ここが…これが…客船か…。」
顎を外しそうな顔をしているのが、自分はこの言い方をしている、傭兵部隊クラムブラッドのオーナーにしてエクトネーゼ王。エムント・エクトネーゼ王だ。精悍な顔つきに少し皺のある頬、その初老の顔つきとは想像できないほどに、知的で平和を愛する。ある意味世界会議の重要人物である、そして何より、この王様は実際手ごわい。と聞いている、
「ここ迄巨大な物が海に浮くのだな、というより石は海に沈むはずだろう?」
「それはこちらを。」
今回の説明の問題は、船が浮くところから説明しないといけない。
「まず、今この…船自体が。重さのない実体であり…まずは、今回見本となる、シルキーさんに来ていただきました。」
「よろしくお願いします、」
「よろしくお願いします、」
一緒にあいさつしているのは、なぜか一緒にいるリーメ君なのだが…うん、妙に萌える声音だ。ある意味強敵である、只歓声は上げない。というのも護衛で隣に鬼ちゃんがいるからだ。
「僕も信じられないんです、リューネさんから、浮くから浮くんだと説明されて…わけがわからなくて。」
「でしょうね。」
当然だ、鉄の板が水に浮く原理は。理解しずらい、
「どこから説明しますか、この船が浮く理由と、鉄の船が浮く理由のどちらか…。どっちもお互い原理がお互い違うので…。」
「え!そうなんですか!」
そこからか…。長くなるな。
「住まない、鉄の船は今度でいい。まずはこの船が浮く理由だ。」
「まず。幽霊属は基本霊体です。停滞は、シルキー、腕をまくって触らせてあげて。」
「はい。」
シルキーさんが手を出すと…それをエクトネーゼ王が触ろうとしても触れない。
「普通は触れません、お互いの物の密度が違うためだと思われます。」
これは検索で、急いで検索して知ったことだ。霊体はとても微弱な気体状の魔法組織を持っており、その密度の薄さが体となっている、そして霊体のレベルが上がると、
こうなる、
「では次にもう一回触ってください、」
「え!え?」
エクトネーゼ王も、リーメ君も、お互い…顔を見合わせる、今度はふんわり柔らかく触れたのだ。但しふにゃふにゃって感じの感触だろう。
「これが霊体のレベルが上がるとなる、接触可能です。で、これを無意識的に使い、あの船の底面部に幕を張り、例えば…薄い布・・。こちらは撥水性を上げるために油と付けた布になります、」
シルキーが、たらいを持ってくると、私がその上に油をしみこませた布を…水の上にかぶせる、そうすると少し浮いた。但し普通のあれだと、油をしみこませた重さで沈む。
「…浮いた。」
「そう言う事です。但しこれも、この上に石を置くと。」
「沈みました。」
「こうなります、普通はこうなります、ですが、あれはダンジョンを内蔵しており、ダンジョン内では体の一部とみなされ重さがない事になっております、実験では内部にいる間…重さは全く船が沈む際に影響なかったのです、」
「そ、そうなのか?」
「はい、その為、この布と一緒で軽い物が乗っている扱いであると思われます。実際内部で作業していますが、どんな重さで揺らしても、影響は外に出ていません。」
その代わりに、維持費が上がるそうだが…。謎物質ではなく、カウンターショック(任意作成型反作用)を使っているという話もある、どちらにしろ重さ無し、そして反動もない幽霊船の出来上がりだ。
「ただ、これ以上の原理についてはまだ不明です、」
これ以上の研究は、船が出向してから出ないと無理だ。
「でも、あの形の理由は何だ。その話ならあの形でなくてもいいではないのか?」
「そうですね、ちょっと待ってください。」
ダークマターで桶を作り、その上にタライの水をあける、
「このタライ、実は水に浮きます、」
そう言って、水の上に置けをほおり投げた。
「まあ、これは…。」
「これを手で押してみると、抵抗があるのが分かります、どうぞ。」
「そうですね。」
「これは空気の気圧が水を押さえつけ、抵抗しているからなります。例えばこの桶が重かったり、この形から変更すると、抵抗がなくなり沈みます。」
「ほう?」
「これが板の場合は軽い木でないとすぐに沈むでしょう。こういう形による、抵抗による経常的特性の学問を…流体力学と呼びます、」
「流体・・・力学。」
「よくわかりやすい例でこれです、」
ダークマターで矢を作る。
「これも実際、こういう矢じりのない木の棒よりもこちらの方が飛距離が伸びます、それは比重と形状による差なのです、これも流体力学的アプローチです。」
「「あ!」」
「極めると色々ありますが、船を作ったりする上では曲線は大事なことになります、これは木をつなげてもこうして密閉が無いとダメです。」
「そう言う事か、あれは矢じりのようなものなのだな。」
「確かに、そう見えます、」
「ま、どうとらえても構いませんが、そうやってできたのがあの形です。実際形状的スマートさがあり、綺麗だと思います。」
理解されたかは不明だ。だが理解してもらえると嬉しい。淡い期待だがな。そう言えば飯垣も…説明するときが一番面倒という話があったな。困ったものだ。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
婚約者が王子に加担してザマァ婚約破棄したので父親の騎士団長様に責任をとって結婚してもらうことにしました
山田ジギタリス
恋愛
女騎士マリーゴールドには幼馴染で姉弟のように育った婚約者のマックスが居た。
でも、彼は王子の婚約破棄劇の当事者の一人となってしまい、婚約は解消されてしまう。
そこで息子のやらかしは親の責任と婚約者の父親で騎士団長のアレックスに妻にしてくれと頼む。
長いこと男やもめで女っ気のなかったアレックスはぐいぐい来るマリーゴールドに推されっぱなしだけど、先輩騎士でもあるマリーゴールドの母親は一筋縄でいかなくて。
脳筋イノシシ娘の猪突猛進劇です、
「ザマァされるはずのヒロインに転生してしまった」
「なりすましヒロインの娘」
と同じ世界です。
このお話は小説家になろうにも投稿しています
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる