魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１９章 VS飛鳥

第８０４話 朝礼は大きな現場の普通です。

　一日かけて、シルキーたちの球形が終わり、全員集まり、ついでにイツキたちも朝礼の参加。ついでに相良・・・の首と呼ばれる相良と８人の女性たちのというか覚えきれん…その全員も整列している。彼らが言うには参加しなくても良いのだが、ノリだという。そして教授たちも並んでいる、何かやってみたいらしい。
「おはようございます」
「「おはようございます。」」
「今日も一日！特に初日です。事故が起きやすいので、指差し確認！そして、声出し点検を徹底してください。又慣れない箇所では声掛け。そして応援を呼んで上司の指示を仰いでください。今日の分担は第一班。床はりと加工、一階部分の鉄板が２班。第３班は第２班補助。第４班はこっちの言う指示にあとで伝えます、そしてそれ以外はまずは掃除、そして、…予定外になりますが、溶接からの階層建築になります。」
「「はい！」」
　本来はダンジョンと聞いて、実は床はり、床建設は研修に入れていなかったが、現実型という事で、まず一番下の階から建築する必要があった、本来は一気に建築する必要があるのだが・・・そのために、昨日のうちに指導要領をまとめ、突貫で手直しを入れることにした、６０日工期でこれをやるのは…胃が痛いんだ。
「では、お願いします。」
　シルキーリーダーたちがあいさつとともに…どうもイツキが言うにはダンジョンの遺物に合った…ラジカセ版”ラジオ体操”である、どうも工場にいる時に毎朝やらされて…これで遅刻を免れたことがある記憶から引っ張り出された…ラジカセ版の古いタイプなのだが、実はこれ、古い現場とかに行くと意外と残っている、そしてスイッチを入れると定番のラジオ体操が鳴り響く。なお、今回はこれも…相良経由で持ち込まれたらしい。なんという事だ。ついでに…このタイプ以外に我がダンジョンには”USBメモリ版ラジオ体操”というのもある、意外と要求されることが多くて現場に一応持参するものリストに入っている、これと手廻しバッテリー充電池はよく使った。
「でも本当にシルキーたちが踊るんだな…。」
「必要ないはずなのでは？」
「わかんなーい。」
　なんかシルキーがラジオ体操をしているのに不満があるが、このラジオ体操は俗にいうゴーレムの不調洗い出しとして用いられている、特に建築はゴーレムに形状的負担を強いる、そして霊体で支えられてしまうので、意外とゴーレムの破損に気が付かないのだ。そこでこのラジオ体操を用いて己の肉体（ゴーレム）と向き合い、調整して自分で魔力を注ぎ直して後で…再生成する、この時に人間に見えない破損があるかをシルキーリーダーたちが監視していて、目立つと判断すると、仕事させない。この仕事させないという方が、シルキーにはこたえるらしく、バツとして機能していた。その為、ラジオ体操をしているシルキーたちの間をシルキーリーダーたちが体の様子を確認しつつ、見回っている、…お、終わったな、久々にラジオ体操した気がするな、最初は面倒だが、やってみると懐かしいとか
感傷を感じるな。
「さて、作業に入ってくれ。床針の指導は私が行う、４班はイツキたちと同行して手伝いをしていてくれ。」
「「はい！」」
そして軍隊みたいに整列して入っていくシルキー達…その後にこっちを一瞥して頷くと、イツキたちも入っていく、イツキは土魔法で建材の一部の材料用に土をその辺からニャーコが生ませた蟻のモンスターたちで回収して。鉄板まで土魔法から生成するんだそうだ。イツキたちもまさか現実型ダンジョンで鉄骨を組む必要になるとは思わず、昨日夜の会議で、発覚、まさかダンジョンの基礎から全部作るとは思わなかった。なので急ぎでイツキに頼んで、基礎用の鋼材生産を依頼した。そう内装用の物を発注したのであり、戦隊部分の基礎は鮒幽霊化と思っていたら、そこも建築の必要があるとか、これは工期の遅れがありうるから、と怒鳴っておいた。まあ、ダンジョンの使用を説明されたのが…相良以外だとギルドのネルさんたちも初めてだそうだ。…ネルさんから補填で作成の話もあったが…彼女の専門が森魔法なので、鉄骨生成には役に立たなかった。一応彼女も謎の方法で鉄骨は作っている、どうも、魔力生成の高レベルに”魔力をアイテムに変換”の項目があり、額面通りのDPでいいなら。ＭPがDPの代わりで、召喚できるらしい、ただし詳しいイメージとデータが欲しいらしく異世界の物は当然召喚できない。
「…すごいでありますな。」
　感心する声も聞こえる、内部ではどんどん伝えていき、どうも船幽霊はダンジョン経営にある意味特化した能力を持っているようで、格納時はダンジョンコアと一緒のように最大収納した人数分迄マルチタスクが可能だ。そして各所では言われた鋼材や絨毯の加工がおこなわれている、当然接着剤はなく切断して、貼り付けが終了したら、ダンジョンにお伺いを立てて。”オブジェクト化”してもらう、こうして工事を完成させていく。はがれやすいので釘などを入れて、単に歩いた程度では何ともならないようにしていく、また数か所は頼んだ接着剤で仕上げを入れ。固定していく、
「本当に職人さんだな…。」
「そうニャ、舐めていたにゃ。」
「やはり信じられないか？」
　全員が黙々と作業をしている、シルキーたちは場所さえ定まれば領域守護が使える、その時にはレベルに応じた超人的能力が使えるので、作業ペースは速いが今回は失態が多い、カバーできるか？