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第19章 VS飛鳥

第775話 水先案内人という霊界の住人

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 その日の終わりまでにレポートを上げてさっさと、会議を開くことになった。私はついでに…動けないので会議はイーハ商会ゴールディ支店だ。
「確かに許可は出しているだわさ。でももう少し引き出したかっただわさ。」
 鳥海がレポートを見つつ、
「ここで恩を売っておきたい。ただ、会議の隙間を与えたくないのもあるだろう、ただな…。」
「分かっているだわさ。向こうもよっぽど慌てていて、混乱しているだわさ。この程度、平安時代でもあっただわさ。」
「そうなのか?」
 今回の会議はいつもの5人+タミさん+アランだ。アランは意見を言わないことを条件に参加している、千鳥万花の会議はアランにとって”最高権力者会議”に近いらしく、その様子を見てみたい…との事だった。
「宿場町構想は旅行者と後は担当官僚とかの行き来を容易くするだわさ。広くなった領地に必須だわさ。」
「でもどうします?」
「難しいだわさ。相手の為に建築に向かうと言っても撃破してもまずいだわさ。」
 今回最大の問題は差し当たってリラシルト内への行軍だ。本来の予定はゴールディまでは手ぶらで入って”人数を集めたと偽装”してリラシルト内に向かい、そのまま工事現場に入る事だ。だが、魔法使いが希少で、”規制”をかける。魔法を使った生活をしたかったら、国に囲い込まれろ。それがザガートンとリラシルト双方の考え方なら…この500人のシルキー…いやもっと上でもいい。その職人部隊は必ず一回は欲の皮が突っ張った向こうの商人に襲われる、これは最低でも一回という意味で、もっと上もありうる。そして国軍と事を構えれば当然麹なんて話にならない。言っては悪いがこういう時の人間は信用してはならないというのが鳥海の意見だ。善意は常に”欲望”に打ち消されるのだ。
「そうなるとどうする?」
「これはギルド主体で、一緒に送ってもらうだわさ。最悪ギルドに責任取ってもらう形で移動するしかないだわさ。」
「確かにそうなのじゃ。」
「ふむ…確かに…。」
 今回のアランもさすがに…聞き入っている、
「で、後は…?」
「水先案内人の件だわさ。登録後に調査した結果…”蘇生可能”な人間がいることが分かっただわさ。水先案内人は…。魂の記憶がそのままでソウルレベル3のモンスターの召喚が可能だわさ。」
 今回の件に際し
「で…ここからがあちしがみんなを呼んだ理由だわさ。それで全員に召喚可能な魂のリストを作成してもらったところ…4人だけ日本人らしい魂があっただわさ。」
「…それは?」
「しかし、魂の名前がカタカナだったため、名前の発音しか分からなかっただわさ。その名前は水先案内人しか読めなかっただわさ。」
「結構厳重な…。」
「それが…シバサキタクミ、コウダスペイシー、ウタカタヒヨリ、ヨウタレンスケの4人だわさ。後は不明だわさ。」
「というと?」
「名前に無いや、単語一つが多かっただわさ。普通っぽい名前化は判別ができなかっただわさ。」
「確かに、命名法則が分からんとな。」
 TRPGのアンチョコの中に”良く使われる用名辞典○○国“というのがある、TRPGのマスターをやっていると名前を思いつけるのは少ない。急遽キャラの名前を考えろとか
そう言う話はいっぱい出てくる、なので、こういう本を持っておくことが多いのだ。がこの名前、地味に国別の”有名人から”とか後は地名から、イントネーションとか複雑多岐にわたる、なので、それも知らずにいきなり名前を見て、分かれというのが無理に近い。
「ふむ…。でもどうしてためらうのじゃ?」
「それが善人ならいいがな。そうでないなら困るからじゃないかいのぉ。」
 俊三さんの考えの方が正しいだろう。
「でもその名前…その本人をこっちが抱え込めば例の家族捜索案件に使えるのでは?」
「そこだ不明だわさ。当然荒れる可能性もあるだわさ。」 
「という事は、死んで、水先案内人蘇生は無理だと。」
「無理ではないだわさ。但し発見までが遅れれば・・・又は蘇生に関してはまだ何かある気がしているだわさ。でも蘇生が化膿なら、蘇生して抱えておきたいのはあるだわさ。そしてソウルドールの件もあるだわさ。水先館内人を確認出来たらあれを蘇生妨害に使う手もあるだわさ。」
「ソウルドール?」
 アランと、俊三さんの疑問もわかる、
「ダンジョンマスターにとって魂は素材の一種だ。ただ…私は人間としての感性はあるが、ソウルレベル3のモンスターにはある制限がある、それが”魂”だ。そのダンジョンマスターの抱える魂の数に応じてしか召喚ができない。そうでないと他のダンジョンコアに頼んで融通してもらうしかない。がそれを禁止していれば…そこで生産限界を迎える、そう言う意味でソウルレベル3のモンスターはエースなわけだ。」
「…ここで変なメールが来ただわさ…運営本部・・・からのメールだわさ。」
『平素より大変お世話になっております。運営本部からの連絡です。当方で検証したところ、緊急性があるとの事で検証してまいりました”幻のコイン召喚ルーム”に関して追加規制を掛けさせてもらいます。”幻のコイン召喚で発生したゲートをダンジョン内に持ち込むためには相手ダンジョン側からの許可が欲しい”となります。そうしない場合”ダンジョン内部にダンジョン”という矛盾ができるためその解消の為となります、ご理解のほどをよろしくお願いします、この事態に対する補填は一回も実施されていないために行わない予定です、ご了承ください、これからも格別のお引き立てのほどよろしくお願いします。敬具。』
 なんか規制が来たな…。いきなりか…。
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