魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第19章 VS飛鳥

第766話 微妙な失敗から学ぶこともある、

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 ゴーレムのスピードは快調ではあるがどうもゴーレム車の方は幻のダンジョンからの魔力供給はなく、私が出している分だけで供給は維持されている、が…。
「やっぱりおかしいのぉ、消費が激しいのじゃ。」
「やはりか。」
 これも実際ギルド商会からのレポートだ、どうも魔道具同士は一定距離に近寄ると機能不全に陥る。その為、魔道具の距離そしてもう一つ、価値に対する言及だ。どうも価値が高いと、付与魔法における付与数限界が上がる、この価値指標はいまだ解析中らしいが魔力の含有量の可能性もある、ただし魔法陣になると、とたんにこの指針が意味をなくす。
「幻のダンジョン側の維持DP消費が上がっておるわ。」
「こっちも、消費はギリギリ保って入るが、消費量から計算するとマイナスだ。これは外装に注意を払わないと。」
「この理論だと、何かが価値を決定しているはずだ。それを解明しないと開発が進まない。」
「でもどうするかのぉ。」
「こっちが魔力を出しながら走るか、一度オーバーホールして、格納後にマナバッテリーを大きくして、この消費量で一日持つ魔力量に調整するかだが…。」
「そこまでの時間はないのぉ、マナバッテリー用の魔力圧縮は時間がかかるからのぉ。それは儂がダンジョン内で作っておくのじゃ。そっちは移動を頼んだんじゃ」
「頼んだ。」
 それから、かなりの勢いでゴーレム車を走らせ、いや、一日ごとにデータを取りつつ移動を繰り返した。まあ、平均時速40kmの悪路走破だ。結構ガタガタ来る、…しかも悪路のせいか…ガチに腰に来る、いや、余りの振動に舌を噛みそうになったことも一度や二度ではないが、この背景には、懸念の1や2が関係する。このスピードで大体…7日目に街を通過したっきりだ。そう、そして何でここまでリラシルトが強大になった背景も何となく理解してきた。それが”一極集中主義”だ。黄金街道沿いの町は緑にあふれ、食べ物は作られていた。が、それでも数は少なく、特に小麦の味において…いくつかの町に聞いてみると、ザガートンという国が如何に”力一辺倒主義”という古代国家を踏襲したスタイルの政治体制だった。まず、ザガートン国の大臣以上及び騎士団、近衛騎士団はすべて”決闘”による勝ち抜き以外では”変更されない”。これは相手が別の要因…例えば食中毒や、落石、落下し、病死などで死亡しても。同等の人間を探し出し公衆の面前で決闘させ勝たなくてはならない、が、そしてそれ以外の”素養”は無くても良い。その位実力主義だ。それは官僚などの”知力必須”であっても変わらない。
 ・・・あほらしい。がその無策のツケ、それが…隣国リラシルトだ。その決闘や腕力主義はそのままそれが行われる辺境公の首都や首都に人を集めさせた。当然人が集まるに集まったその首都を食わせるだけの。食料も欲しい、…がそれは…原始時代から毛が生えた、種を地面に撒くだけの農業から支えきれる範囲を通りこした。そこにくさびを打ち、武器防具の力という物で食い込んだのが、ドルカスたち山岳同盟だ。その上種族差として、人間より腕力が強く、物理に強いドワーフが辺境公の地位を獲得するに容易かった。…らしい。
「そうみてると、北部は悲しいだよ。」
「じゃのぉ。」
 その中で、この北部は取りに来る人も少ない、そんな…街道からも離れて都市も少なく、4日…大体夜も走らせているので、人の10倍以上だから、普通の徒歩なら30日以上無補給の旅でようやく辿り着く辺境ばかりだ。そしてその多くは、なんというか、北ヨーロッパの山岳を思い出させるほどに人が少ない。その背景にあるのは少ない農地と、作物が育たなくタッパ芋以外の食糧も育たない…そんな過酷な山々だ。その為、視察に寄った年の全てでハムや野菜の行商は爆発的な利益となった。
「でも一応、販路はのばしておいた。」
 まあ、と言っても、通った先でギルド金貨による投資(ワイロ)を行い、どうにか土地を買収。その中でギルドの金カードの扱いが”強者”となっていた。そのせいかすんなり話が通り、我が商会の店ができ、そこでのDPでの商品販売となった。ついでにこれら北部には南部、東部、西部と違いどのダンジョンの領域にもなっていなかった。・・・山岳さぼってるな。そこで、宿場を設置。いつもの”風切り亭、運輸乗合馬車。シルキー付き宿屋”の三つをそろえた宿場を
設置。シードルの販売を始めた。それが莫大な利益となっているが、それでも人の数は少ない。が今回は改良版という事で、店長には”キューピット”などの
天使系を入れておいた。
「でものぉ、本来は山岳じゃろ、」
「今は二人しかいないんだ。仕方ないだろ。」
 そう、サブマスター設置も守り切れなければ…奪われるのだ。そう考えると、サブマスター設置でさえ…手が回るのか不明だ。
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