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第19章 VS飛鳥

第760話 素手でもできる事をする道具が世界を変える事はよくある事。

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 ミヨちゃん達がリンシュメルトに向かって二日後、ギルドからの打診がついに訪れた。来たのは女性のハイエルフだった。ただネルの部下らしく。商業ギルドの受付員との事だった。
「一応…こちらが、制作予定の動力源”送風モーター”になります。」
 出されたのは一つの筒だった。
「これは?」
「実は、この動力源を開発する前に、スキュラ側にどうやって進んでいるのか聞きました。それ次第ではこれの価値が変わるからです。」
 それは理解できた、
「そうした所、かなり原始的な事だと発覚しました。」
「は?」
「まず帆船は風を受けて航行します。そして帆船以外では可動部分を上下させ、バタ足の要領で航行します。」
「え?」
「ですので、今回の件はどんな動力源を出して問題が発生すると判断されました。」
「まず聞いていいか?そんな原始的なのか?」
「最悪、船の下からオールを出して、船員が漕いでいたそうです。そうなると、どんな魔道具の動力源を出しても…利益幅が絶大だと判断されました。」
 そりゃそうだろうな。原始的以下だから船にモーター付けた近代型に直すって事だ。
「それなので、こちらを見ていただいて、いいなら、これを巨大化して作成します。」
「で、これは?」
「送風の魔法を”フィン”に取り付けつつの外側に”結合魔法陣”をいれて、それが回転するようになっています。進行方向は魔法で固定されている為かなりスマートにできたと思います。」
「分かったが、それならなんで、」
「これの価値及び能力的に…実は扱いがぞんざいになっていまして…それでネル様にお伺いを立てた後に、あなた方に価値について聞いてくるように言われました。正確には私にはこれが世紀の発明に見えるのですが…。」
「その通りだ、これは世紀の発明だ。魔力が動力になるんだからな。」
「ただ、上層部の価値的には”扇風機”程度なのですが…。」
「…分からんでもない。異世界人的にはそれも度でもないがよく考えてみて…その通りだ。」
 送風は風魔法のレベル1でそよ風を送る程度の魔法だ。使ってみると手からそよ―って感じの風が吹くだけで。価値も薄い、がこの魔法、地味にミヨちゃん含め愛好家が多いのだ。というのも風魔法の癖に”風を出す”魔法は勇逸これだけで、これ以降だと”ボルテックスエア”と呼ばれるレベル7くらいまでは風を出すだけの魔法がない。その上威力がレベルで上がり、MPを籠めれば暴風も起こせるという、最初にして始原と呼ばれる風魔法だ、これと跳ねるさえあれば何もいらないという魔法使いも多い。…ただ前に見た埃払いの魔法に大量の魔力をぶち込んであふれ出るオーラごっこをしているミヨちゃんが、地味にアホ可愛いだと思った。ただ、これにより魔法が動力に代わるというのはかなり大きい。が、これを渡していいのかは別だ。がこの価値を認めない…。
「製作者は何と言っている?」
「このくらいなら素手のほうがいい結果が出ると。」
「…これの特徴は”魔法を知らん一般人”が使える事だ。まず魔道具の基礎を学んで来いと伝えてくれ。価値に関しては、革命がおこるレベルだとな、こうなるとこっちが動力の開発をしないといけないか?」」
「…分かりました。お伝えした後、再度会議にかけてみます。」
「よろしく頼んだ。」
 …こうして帰っていくハイエルフを見て思った。私に見せたのが運の尽きだったな。
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