魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１９章 VS飛鳥

第７５６話 ここで実験を開始します。

「さて、みんな、板をはがして確認してくれ。今回に最適な割合を抽出する。」
　この結合魔法陣の配線のレシピは”魔石を混ぜた線を引いて結合魔法陣の魔法をかける。というだけだ。ただ建築家たるもの、これを疑わない奴はいない。というのも建築家のほぼすべての建材において”割合”が１％ずれただけでも不合格品となりやり直しがありうるからだ。その為現場で練るコンクリートでさえその為の日数や時間、割合これらを決める。なのに、これには配合割合など書いていない。という事は”自分で探れ”という事だ。ただ試験段階でこれは細い線でも金属を混ぜ”硬化”させた配線でも機能したが、これは一人二人での配線だ。…それが５００人分のエネルギーが耐えれない…というわけではない。
「こっちはだめです、魔力が通ってません。」
「こっちは・・・配線が消えてます。」
「なんじゃ？」
「やはりな、こういう事が起きたか。」
　なんかよく分からんが、どちらにしろ、実は配線のいくつかを魔石の割合毎に５％ずつ変えて２０通りの配線を置いた。それをダミーコアを配置しておくことで魔力の通りを計測、
『現在集計中です。が消滅の原因らしい波形を確認。』
「タミさん、説明はしてやってくれ、事故原因の…。」
「実験と聞いてのぉ、来たぞ。」
「よく来てくれた、俊三さん。」
　今回は水木は使えないので、他の３人に来てもらっていた。が、俊三さんは村の畑の手入れがあるので、それが終わってから来てもらう事になった。今回の実験に対して、実験結果を検証できる”博士”っぽい事のできる人物が欲しかった。
『部外秘扱いですが、計測データをモニター表示します。』
　ここで強いのがダンジョン特性の”測量”だ。経過観察して測量することでデータを精密にとることができる、
『分かってきたのは魔石の配合率が上がるにつれ”魔石が魔力化してそのまま一時的に増幅、そのまま断線し、魔力の通りが通常と一緒になり魔法事消滅するという事が起きて、断線…が起きます。』
「ふむ…。」
「…配合率で、線が残ったのは？」
「４％です。ですが、これは効率が１/１０となり、注いだMPの回収は難しくなります。そうでない場合…魔力化が確認されました。また…４０％を超えると周囲の”金属”なども一緒に魔力化する、魔力融合という現象も確認されました。」
　これ、効率以前だぞ。これだと人数の相関関係は不明だが。少ないと何とかカバーできるかもしれんが
「失敗とは言わんが、無理に近いのが分かったという事じゃ。」
「じゃのぉ。」
　俊三さんとドランの二人のため息が聞こえる。
「では、無理だったと話すか？一応ダンジョンで、モンスターの体を用いるんだ。移動はできるはずだ。」
　こればっかりは仕方ない。これにより最低従業員数を考えないといけないんだが…。
「ふむ、そうなると、絶縁体があればな…。」
「絶縁体？」
「そうじゃ、ほら、電気配線も、ゴム無しでは実用化せん。それと一緒じゃ。」
「確かに、配線にはゴムがつきものじゃからのぉ。」
「でも魔法を弾く物か…。」
「そう言えば・・・ミヨちゃん、いるっぺよ。」
　相変わらず、タミさんはっていうか…。
「何じゃ？」
「聖域というスキルがあるだべ、聖女専用のスキルだべ。あれ、使えねえべか？あれ、魔法弾くっぺよ。」
「は！？」