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第18章 水木さんは地味に大幹部さん
第745話 国家ピザ理論
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「ピザすなわち”国の収益”は国の富そのものだわさ。国で取れる食物や時代によっては硬貨も鉱山から取れる物を加工しているので、その労力も込みで国力だわさ。それは常に何の施策もしなければ一定だわさ、しかも極小。これは常にどの国でも一緒だわさ。ただこの状態から施政者が何をするかで国の形や力。そして能力が変わるだわさ。それが”法律”とかいう物だわさ。そしてこの法律によってさまざまな効果があるだわさ。」
ふーん国の力か…建築基準法とかか?あれも苦情で有害物質が出ると、その建材は使用禁止になる。
「一つは施策。施しだわさ。これは俗にいう”ピザの大きさを大きくする”という物だわさ。国内向けの方、その全てだわさ。刑法や警察も犯罪者という国民内の悪人を倒し、彼らの財産を保証することで”納税金額”を引き上げ、彼らの定住率を上げると言えばこれは国という”組織”の為になるだわさ。」
「そう言う物か…。」
「こういう施しでパイを大きくしないと人口を賄えなくなるだわさ。人間は増えるだわさ。そして人間の数はそのまま力になるだわさ。」
「施策ねえ…。」
「次に方策”相手即ち”ピザを奪いに来る奴を防いだり、逆に相手の持つピザを奪う基本戦略”という事だわさ。これには商売の輸出、輸入なども絡むだわさ。」
「商売?」
「例えばドルを持って相手の国に行き、商品を買うだわさ。そうすると、そのドルは基本的に”アメリカ”でしか買い物ができないだわさ。そうすれば相手に”貨幣”を押し付けその代わりに食料や物品を手に入れるのはちゃんとした”方策”になるだわさ。」
「そうはならんだろ。日本の商品は日本でしか買えない。」
「その為に”為替”があるだわさ。日本に来た時にドルを日本円に変換するだわさ、それを商品にして持ち帰ればそれが珍しい商品や価値の高い商品なら方策になるだわさ。」
「商売にそんな見方がねぇ…。」
「まあ、こういう流れで商売を見ると、他国の商人が商売することが苦々しいのが分かるだわさ。」
それはそうだろう、最悪自分の国のいらないもので、自分の国の欲しい商品を手に入れるのだから。
「確かに…。」
「だからこそ、商売一個でさえしのぎを削るだわさ。無論自国に必要な物を売る商人は引き入れ、いらない…既存の商売を汚す承認を追い払う排他主義はこういうピザ原理的には正統な主張だわさ。但しこれをやっている限り自分の国も商人では奪えなくなるだわさ。」
こういう事か?自分がやっているんだからお前の所の真似をするぜって事?
「あまりうまい顔になっていないだわさ。ただ、軍隊とかの直接武力はこの方策と策略を兼ねた施政だわさ。相手を奪う攻撃的な軍隊は相手の富を奪う最も具体的な物だわさ。」
「あんたは戦争反対しないんだな。」
鳥海は戦争嫌いかと思った。私は好きではない。
「よく政治学の生徒にこの質問が来るだわさ。戦争を禁止する経済的利点を述べよ。」
「・・・平和に意味があるのか?平和だと楽じゃないか。」
「利益無くして。平和に意味はないだわさ。ちょっと難しいけど、一番いいのは”領土の富を全部手にして誰も攻めてこない世界”だわさ。」
「ン?それって世界征服では?」
「ただ、これは現代社会的には”無意味”又は”亡国の戦略”となるだわさ。」
「どういう意味だよ?世界征服が愚かって事か?」
世界征服は愚かである。これはどの教科書でもいうが…。
「さっきの施策、って言葉を覚えているだわさ?」
「ああ。」
「施策には常に金がかかるだわさ。内部の犯罪を抑制する組織、税金の回収も最低限度にしないと、国民の力がなくなり、人が逃げ出すだわさ。その為に国家は莫大な金額を国民に払っているだわさ。そしてその施策の中に”国民を平等に扱う”という文言が加わると…コストが跳ね上がるだわさ。」
「コストが上がる…。」
「その上収益の多くは人口密集地で効率化できるのに、それなのに廃墟や戦争跡地、未開拓地。いくらでも収益が得られず…無駄が増えるだわさ。そうして最終的にはそのコストに潰される。潰されない経済モデルの維持は”千年王国”という国家の悲願の一つだわさ。それなのにその未開拓地や戦争で荒廃した土地を貰ってその修復コストを払えば相手から狙われる。どこに戦争の旨味があるだわさ?こっちの商人送り込んで商品を買い付ければいつでも手に入るのに?」
「そこで商人か。」
「そうだわさ。相手に足りないものがある限りピザは奪うころができ。管理コストを相手に押し付ける。変に欲をかいて動乱で国の人気を下げれば商人が行き来できなくなり、その国は衰退するだわさ。だから…戦争を禁止することで…相手の富を”商売”で奪う事が容易になるだわさ。但しそのためには色んな施策や方策で国を自力で富ませる必要があるだわさ。」
「でもそれだと…そのコスト超えた場合は…。」
「そうだわさ。戦争は常に相手が一定以上”旨味”さえあれば戦争は平和より金もうけになるだわさ。勝てさえすれば相手の富を直接奪える。…だからこそどんな親しい隣国相手でも”国防”が必要だわさ。ただしこの可能性は平和の中で…誰もが忘れるだわさ。」
「あんた…。」
「忘れてはいけないだわさ、国王が背負っているのは破産や消滅ができない”国家”だわさ。その挙動一つで。百年以上不利益が出る…って事だわさ。例えば恫喝をすればその国の人間を疑い商売はしにくくなり、戦争を卑怯な手で行えば他国に行った商人は卑怯な手を使うと思われ、商品さえ買われなくなる。信頼や評判。その一つ一つで国は浮き沈みして、相手のピザを奪える数を上下させるだわさ。」
「あんた…そこまで…。」
「今回の相手はそんな恫喝しか使えないほど…国家が弱いって事だわさ。ただ、信用もなくすって事には気が付いていないだわさ。だから、ここは我慢して相手の要求”だけ”を果たして放置すべきだわさ。相手の国家ににらまれている間に碌な事が起きないだわさ。」
やはり、放置しかないか…。
ふーん国の力か…建築基準法とかか?あれも苦情で有害物質が出ると、その建材は使用禁止になる。
「一つは施策。施しだわさ。これは俗にいう”ピザの大きさを大きくする”という物だわさ。国内向けの方、その全てだわさ。刑法や警察も犯罪者という国民内の悪人を倒し、彼らの財産を保証することで”納税金額”を引き上げ、彼らの定住率を上げると言えばこれは国という”組織”の為になるだわさ。」
「そう言う物か…。」
「こういう施しでパイを大きくしないと人口を賄えなくなるだわさ。人間は増えるだわさ。そして人間の数はそのまま力になるだわさ。」
「施策ねえ…。」
「次に方策”相手即ち”ピザを奪いに来る奴を防いだり、逆に相手の持つピザを奪う基本戦略”という事だわさ。これには商売の輸出、輸入なども絡むだわさ。」
「商売?」
「例えばドルを持って相手の国に行き、商品を買うだわさ。そうすると、そのドルは基本的に”アメリカ”でしか買い物ができないだわさ。そうすれば相手に”貨幣”を押し付けその代わりに食料や物品を手に入れるのはちゃんとした”方策”になるだわさ。」
「そうはならんだろ。日本の商品は日本でしか買えない。」
「その為に”為替”があるだわさ。日本に来た時にドルを日本円に変換するだわさ、それを商品にして持ち帰ればそれが珍しい商品や価値の高い商品なら方策になるだわさ。」
「商売にそんな見方がねぇ…。」
「まあ、こういう流れで商売を見ると、他国の商人が商売することが苦々しいのが分かるだわさ。」
それはそうだろう、最悪自分の国のいらないもので、自分の国の欲しい商品を手に入れるのだから。
「確かに…。」
「だからこそ、商売一個でさえしのぎを削るだわさ。無論自国に必要な物を売る商人は引き入れ、いらない…既存の商売を汚す承認を追い払う排他主義はこういうピザ原理的には正統な主張だわさ。但しこれをやっている限り自分の国も商人では奪えなくなるだわさ。」
こういう事か?自分がやっているんだからお前の所の真似をするぜって事?
「あまりうまい顔になっていないだわさ。ただ、軍隊とかの直接武力はこの方策と策略を兼ねた施政だわさ。相手を奪う攻撃的な軍隊は相手の富を奪う最も具体的な物だわさ。」
「あんたは戦争反対しないんだな。」
鳥海は戦争嫌いかと思った。私は好きではない。
「よく政治学の生徒にこの質問が来るだわさ。戦争を禁止する経済的利点を述べよ。」
「・・・平和に意味があるのか?平和だと楽じゃないか。」
「利益無くして。平和に意味はないだわさ。ちょっと難しいけど、一番いいのは”領土の富を全部手にして誰も攻めてこない世界”だわさ。」
「ン?それって世界征服では?」
「ただ、これは現代社会的には”無意味”又は”亡国の戦略”となるだわさ。」
「どういう意味だよ?世界征服が愚かって事か?」
世界征服は愚かである。これはどの教科書でもいうが…。
「さっきの施策、って言葉を覚えているだわさ?」
「ああ。」
「施策には常に金がかかるだわさ。内部の犯罪を抑制する組織、税金の回収も最低限度にしないと、国民の力がなくなり、人が逃げ出すだわさ。その為に国家は莫大な金額を国民に払っているだわさ。そしてその施策の中に”国民を平等に扱う”という文言が加わると…コストが跳ね上がるだわさ。」
「コストが上がる…。」
「その上収益の多くは人口密集地で効率化できるのに、それなのに廃墟や戦争跡地、未開拓地。いくらでも収益が得られず…無駄が増えるだわさ。そうして最終的にはそのコストに潰される。潰されない経済モデルの維持は”千年王国”という国家の悲願の一つだわさ。それなのにその未開拓地や戦争で荒廃した土地を貰ってその修復コストを払えば相手から狙われる。どこに戦争の旨味があるだわさ?こっちの商人送り込んで商品を買い付ければいつでも手に入るのに?」
「そこで商人か。」
「そうだわさ。相手に足りないものがある限りピザは奪うころができ。管理コストを相手に押し付ける。変に欲をかいて動乱で国の人気を下げれば商人が行き来できなくなり、その国は衰退するだわさ。だから…戦争を禁止することで…相手の富を”商売”で奪う事が容易になるだわさ。但しそのためには色んな施策や方策で国を自力で富ませる必要があるだわさ。」
「でもそれだと…そのコスト超えた場合は…。」
「そうだわさ。戦争は常に相手が一定以上”旨味”さえあれば戦争は平和より金もうけになるだわさ。勝てさえすれば相手の富を直接奪える。…だからこそどんな親しい隣国相手でも”国防”が必要だわさ。ただしこの可能性は平和の中で…誰もが忘れるだわさ。」
「あんた…。」
「忘れてはいけないだわさ、国王が背負っているのは破産や消滅ができない”国家”だわさ。その挙動一つで。百年以上不利益が出る…って事だわさ。例えば恫喝をすればその国の人間を疑い商売はしにくくなり、戦争を卑怯な手で行えば他国に行った商人は卑怯な手を使うと思われ、商品さえ買われなくなる。信頼や評判。その一つ一つで国は浮き沈みして、相手のピザを奪える数を上下させるだわさ。」
「あんた…そこまで…。」
「今回の相手はそんな恫喝しか使えないほど…国家が弱いって事だわさ。ただ、信用もなくすって事には気が付いていないだわさ。だから、ここは我慢して相手の要求”だけ”を果たして放置すべきだわさ。相手の国家ににらまれている間に碌な事が起きないだわさ。」
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