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第17章 ドランの領地視察旅

第689話 鑑定の謎なのじゃ

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「あなたは超常の…。」
「勇者大陸や、海の向こうの西部のでは普通になりつつあることじゃ、」
 実際ゴーレム車を井原が置いて以来、一番購入しているのが”スキュラカンパニー”であり、その出荷先は”リラシルト”である。向こうも穀倉地帯を抱えるが状況はこっちとは違う、
「そこまでして、やって欲しい事とは何じゃ?」
 村長がいぶかしがるのもわかる、スキルオーブという超常の力を渡してでもやって欲しい事があるのだ。
「まずは尊重、お主に頼みたいのは、ここにダンジョンを置くために…必要な街道は整備するがの。まずは、ここもお主たちの秘密基地にできるように村人を説得して欲しいのじゃ。最悪バルアリ達が逃げ出したときに守ることができる、」
「…村を発展かのぉ、分かった。」
「んで、俺?」
「ガースには、まずこの辺の一体の情報を求めるのじゃ、そして、できれば、開拓地ネットワークを作るのじゃ、まあ、儂らを受け入れてくれるだけでもいいんじゃが。」
「通常の?」
「正確にはお主の商会に…情報伝達のための組織づくりじゃ、常に商売は情報が命じゃ、それを確保できる組織を作るのじゃ。その為にこの村のエルミンの雑貨店にしばらく儂のダンジョンで扱っておる商品を…売らせておくのじゃ、後は…分かるな。」
「…それを使って、わいろ校正…ですか。分かりました。」
「儂も資金は無限ではない上に、今後、この地域は危ういのじゃ、」
「んで…俺は?」
「まずはこれを鑑定して欲しいのじゃ、」
 ドランが取り出したのは昨日の報酬を考えているときの宿屋の夕食の一部だ。
「これは…これを?」
「うむ、鑑定してみるのじゃ、で、このモノクルを使い、これを鑑定して欲しいのじゃ。」
「これは…分かりませんのぉ。」
 村長が肩をすくめる、鑑定の結果が出ないのだ。
「役に立ちますかの?」
「これはバヌツアリの実で向こうではよく食べる木の実で開拓地に行く農民の多くが買い求める気だがな。結構ベーシックな実だ。」
「ついでに儂の鑑定では”どんぐりの実”とでるのじゃ、」
「…は?」
 そう、鑑定にはある疑問があった。それが”あの能力値が非常に高いはずの偵察部隊が、全世界を回りそれでも素材の発見が一切ない”という点だった。そしてこっちでエルミンにも鑑定を持たせ調査させたが、効果なし。そこでこの仮説が出てきた。”本人の知らない知識による名称の鑑定は無条件で失敗する。”という言者だ。もしかして”偽造”以外にも失敗があるかもしれない。という事で、それを調べてみた。
「バルアリに頼みたいのはこの地方…材木問屋の勢力範囲だけでもええ。その中の食えるもの、すべてを持ってこさせてほしいのじゃ、何かに効くというならその葉でもよいのじゃ。何でもいい。情報には最低金貨一枚を出すと言えば人々から集まるじゃろ。その話を持って開拓地を回って欲しいのじゃ。ここにこればシードルなどの行商に欲しい商品は購入できるのじゃ。」
「金は?」
「儂が出す、特に食えるもの、後植物や情報もすべてじゃ、っ出来れば全ての全てを記した”百科事典”の作成を行うのじゃ。」
「なんでそこまで?金貨一枚とか。」
「儂らが求めるもの…特に運べる物や土、岩、硬い物の情報じゃ。それを集めよ。これらのいくつかはもしかしたら、ダンジョンを作る際においておけるやもしれん。」
「置く?」
「うむ。ダンジョンはそう言う特殊な木とか、そう言う物を作ることができる機能があるのじゃ。だからこそ、そこにお主たちが欲しい価値のある物…食べ物じゃ。ただし材木はやめておくのじゃ、お主達の最大商品の価値を下げたくないのじゃ。」
「塩はどうするんで?」
「今は手を付けん。どうせ南部が塩を欲し無くなれば腐る前にっ北部に売るじゃろ。下がり切らないのなら、考えておくのじゃ、最悪は塩を売るのじゃ、後…。」
「なんだ?」
「エルミンの店にはしばらく”メッチャング塩”と呼ばれる大森林南岸の海の塩を置いておくのじゃ、其れでええじゃろ。但しお主たち…この村の事は…。」
「秘密にします。当然です。」
「分かったぜ、ドランの旦那。」
「儂としては…。」
「さて、行くのじゃ。儂はもう少し諸国漫遊をするのじゃ、儂自身も食べ物のデータを探すのじゃ、あと二人の貴族の情報も欲しいからの。」
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