魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１７章 ドランの領地視察旅

第６８４話 悪手なのじゃ。

書類に慎重に二人が書き終わった後にドランは手を差し出し、それをガースが握り返した。
「これは？｝
「親愛の証なのじゃ、その昔、お互い戦争していた国の兵士が講和を結んだ時にお互いの利き手を差し出し握り合う事で、”お互い敵意がない”と示すというものじゃ、」
　うろ覚えで見たラノベ知識で答えてみる、
「ふむ、確かに相手に手を預け、何もないなら敵ではないでしょうな。で…書類にどういう意味があるので？」
「この材木店はだめだめなのじゃ。大方材木がひどく高級なのじゃろ？運ぶ手間で。」
「あ…。」
「儂が聞いておる材木問屋はその多くが移動手段を確保するために様々な工夫をしているものじゃ、材木は重いからの、それがこんなところに拠点がある時点で、商売が成り立っておらんのじゃ。地の利がない材木なぞ、干上がったおる虫じゃ、」
　ドランはこのあたりの地形を思い浮かべるがここは平地であり、近くに河川も無ければ、何も障害なく訪れたことを主出した。
「確かに、私たちは人でのみで運んでます。この町にはその人間たちが住む街なのです。」
「だからこそ、メインは薪販売になっておるはずじゃ、でも材木は本来もっと買い取ればいい商売のはずじゃ、でじゃ、まずは支援をさせてもらうのはその材木を波国”通り道”の整備資金じゃ。というよりも儂がやる。そこはの。」
　立派に言っているが、実際は鳥海や井原に昨日話をぶん投げて聞いた話をしているだけだ。というのも、井原が言うにはこんな平原という僻地に材木屋がいる段階で頭がおかしく、もっと山奥の”川”を一本支配していなくてはならない。その為に権力者にすり寄る必要があるある意味”官民一体”の業務が材木屋である。その為、まずは木を売り裁く先と売るに必要は”交通手段”の確保こそが必須だと言われたのだ。それを聞いた鳥海の案が支援をして実質自分たちの脳よ®区で”開拓して商会を乗っ取る”という考えだ。
「その為にいくつもの道具や、開拓が欲しいはずじゃ」
「確かに、いつも人足を集め、警備を入れ、そして、一本木を売るだけでも大事で。そのために、材木を売るのは一大事です、だからお客さんが来るのが稀でして。」
　そう言えばお客さんが来た気配はもない。
「うむ、その為が第一じゃ。」
「第一？」
「うむ、第一カードを使った運輸という手もあるのじゃ」
「あ！」
「ただの、大方北部の者はギルドに入ることもできないはずじゃ。」
「は？｝
「南部の首都近くに一軒あるのみじゃ。ギルドショップはの。その状況下で、ギルド職員になる…のは南部の総本山に行き…後は分かるの？」
　大方イエロー達には”偽装”を元々持たせてある、なので、普通の一般人を装う事ができるだろう。こちらからはそう言う人員を送ればいい。と言いたいが
ここは北部でも更に北方らしい。井原が言うには地図で言うと、１㎜も移動してないそうだ。ついでに塩が値段が高いというのも井原が言うには頷ける話で、
…どうも移動だけで１年と半年かかるらしいのだ、それくらい実は距離が遠い。かといって塩は人間が生きるに必須品だ。そうなるとその遠方からでも
運べるなら、それに勝る価値はないという事になる、ただそう言う意味では一番劣化しそうなのが”塩販売”だ。ギルドカードが出てくれば距離が無視できるのだ。
莫大な富が約束されている、ただし当然のごとく貴族の専横になっているので、専横を破れるギルドカードに関しては賛否両論になる可能性が高いそうだ。
「確かに。でもおかしくありませんか？そのギルド照会とやらは誰に対しても門戸を開くのですか？」
　その富の源泉を北部から奪うチャンスであるギルドカードを…相手に取らせるのか？って事だ。当然房後事になるかもしれないし、自由にとらせるが南部の
手先になったようなものだと吹聴して回る可能性もある、そしたら、あの貴族の事だ。この材木問屋を切り捨てかねない。
「儂も意味は分からないのじゃが、取得には制限がないのじゃ。」
　ドランからすればあずかり知らない内容である、実際は”システム”による”制度化”を受けて認証されている為門戸を開いているだけである。
「じゃが、その店に入るまでを妨害は可能じゃろ？」
「でしょうな。」
　いくらその商会が公明正大を訴えかけようが、入る直前に検問をかけてしまえばいくらでも妨害可能だ。ただ、これが民間の一般人なら”国民”という
盾がある、だからこそこの話が問題になるのは逆にお抱え商人である自分たちだけなのだ。貴族は当然可能だろう。正しい国は、一年と半年以上の旅行の上に
辿り着く必要があり…これもそこまで政治に穴をあけてやる価値があるのかというと疑問が出るだろう。