魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

文字の大きさ
上 下
686 / 1,319
第17章 ドランの領地視察旅

第680話 わしはお尋ね者なのじゃ。

しおりを挟む
「では…。」
「…あの副長、殺す!」
「待つのじゃ、殺すわけにはいかんぞ、」
 元々旅に出た目的は二つある、一つは北部の見回りだが、もう一つは”ドラゴンレンジャー”との接触だ。秘密裏にドラゴンレンジャーの5人と接触し色々伝えるためだ。その為にわざと、コアにドラゴンレビューの次の企画として”ドラ散歩”を立ち上げ、その為の町を探すというロケハン(下見)の命令を出した。当然バランは元々拠点防衛最終ラインなので、お留守番してもらい、コアに監視してもらう、その間にドラゴンレンジャーと会い、次の一手を
考えるのだ。
「…でも。あの馬鹿が負けたせいで。」
「落ち着きなさい。イエロー。分かるでしょ?乗っ取られているだけだからね。」
「まあ、今は大丈夫なはずじゃ、というよりあいつが脱出がいくらでもできるというのがもっと怖いのじゃ。」
 あのヨミという女が何故か連絡を受け、そして、即日退去したと聞いた時、そう思った。しかも代わりのゴーストは結構強い、そうなると油断も何もない。
「…でもそれくらいあいつは自然だった。」
「で、どうしましょうか?」
「お主たちに命じるのはわざと、そのまま愚鈍でいて欲しいのじゃ。」
「どうい事です?」
「…馬鹿になれと?」
 そう言う…それでもいい気がするが。
「いや、儂はどうも連中にとって、怖くてコアルームに閉じこもった、ヒッキーだと思われておるのじゃ、」
「あ…。」
「ならそのイメージのままのほうが楽なのじゃ。その間に変に動けば…亜人は全力を出してくるのじゃ、その時儂らは月下の二の舞になる、」
「…あれ、あいつらダメな子だったからでは?」
「儂が聞いて居る限り、ヨミとエレノアは魔王じゃった。その上コクヨウより上だそうじゃ、しかも井原含む儂らと同じステータス持ちが瞬殺だそうじゃ。」
「…ふぁ?」
「そ、それは本当で?」
「でなければ逃げんわ。しかも、立ち合いの瞬間倒したという、瞬殺だそうじゃ。だからこそ逃げたんじゃ、出会った瞬間に死ぬと分かるからこそじゃ。」
「…そこまで…。」
 ダンジョンマスターにとってコアルームに攻められたうえでのマスターの死亡はそのままダンジョンの終焉を意味する、しかも相手はこちらを瞬殺可能だ。士を身近に感じないドラン達でもこれは理解できた”死の危険”だ
「だからこそ、逃げた。お主たちに合えないのはつらかったが、その間こちらはいろいろ模索しておった。すまないの。」
「いえ。」
 ブラックは男性であり性格はダークドラゴンらしからぬ”影の薄い男性”である、黙々と裏方のバトルだけをするのだが、そのフォロー能力で戦闘を安定させるドラゴンでもある、闇魔法が得意であり、攻撃は目立たない。
「…大丈夫、マスター。フォローした、頑張った。」
 イエローはツッコミ担当のカレーを食べる色物だが、カラーリングで言うと実際は”光龍”であり、ダイアモンドドラゴンの名称を持つ、光魔法が得意だが、それだけは表に出していない。回復を担当し、辛いツッコミとは裏腹に、甘えん坊で無言系である、
「お主たち、ありがとうなのじゃ、ただ今後、儂はパンダとの交渉を持つ予定じゃ、そして、最終決着の際には元に戻り、外に出る予定なのじゃ、」
「マスター。」
「…パンだ?あの狐油揚げだけ食っていればいいのに、マスター狙うとか。」
「今回の件はどうもパンダが戦況の打破を狙って亜人を招き入れたのじゃ。だからこそ…うかつに攻めれば…わしは個人じゃ。後は分かるな。」
「…あいつら!ウィニーデッキとか!」
「そこまでお考えで。」
「後、儂はもう千鳥万花に入っておる。」
「…初耳。」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

処理中です...