魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

文字の大きさ
上 下
652 / 1,309
第16章 途中退社は残された者がつらい

第646話 目撃者と情報は時として国に絶大な刃となる

しおりを挟む
 これが俗にいう”赤い城壁事件”と呼ばれた事件の始まりだった。そりゃあ、私を全力で城壁にたたきつけ、血を飛び散らせて、それでいて”加害者”をかばったのだ。音もすごかった。当然観客も出てくる、そうなると、街中が騒然とする、当然”エド”を狙った兵士の事も話に出た。それは、河川を使った商業国歌である、パルマキアにとって
商人と王宮が隔絶するに至る…十分な衝撃事件だった。そして、事情を説明して、どうするか聞きに来たところ…そこにはこの王都にいる全商人たちが来ていた。そして、青ざめ、二度と王宮行きたくないというエドの姿。私はここでは部外者なので、遠目に見ていた。そして、そこにやって来る役人と数人の姿の兵士を見て、エドは怖がって、雑貨店に逃げ帰ってしまう、当然と言えば当然だ。二回も殺されかけ、そして私が血しぶきを上げた。そんなところの兵士だ。当然トラウマになっていた。その姿を見て商人たちは悟った。むごいことをされたのだと、聞いた話、この町は商人たちの運輸により成り立つ国家であり、商人たちの自治意識が高い。その中で国にはある意味自分たちがこの国家を支えたという矜持が商人たちにあった。その商人のトップをここ迄したのだ。しかもエドはどちらかというと、国側に便宜を図ってきた功労者だそうだ。それを街の全員が知っていた。ついでの情報収集で知ったのはこの国。ゴーレム車を真似た”大八車”があり、それを3人係りで引いて…王宮に食事を届ける仕事もしていたそうだ。
「すまない!本当に済まない!」
 役人が謝りに来るものの、その態度もあり…いつの間にか、商人たちが石を投げ始めた。
「エドさんに!なんてことを!」
「待て!お前ら!」
 全容としてはダンジョンがこちらを見て、攻略者とかと勘違いしたのだろう、防衛本能的に殺そうと思ったのだ。しかもごまかしが雑だった。なので錯乱したとみているが急に錯乱した同僚と、初めて見た一般人どちらが悪いのか、だれが区別がつくのだろうか…私はそのまま帰ることにした。今の現状。どうしようもないからな。

 それかからこの国は動乱に入ってしまった。王宮の兵士は見かけられれば石を投げられ、兵士の多くは城から逃げ出してしまった。どうも聞いた話、いきなり50人ほど下っ端が消えたらしくしかも、その下っ端たちはある部屋に来ようとする人間をすべて切り伏せたという、鎮圧したのは2時間後、…しかも何故か消滅した形でだ。そうなると城内はありもしない恐怖が覆い、しかも城内に住んでいる王族と一部の兵士以外は、この首都の市民の怒りを知ると、貴族が自宅を警備し、登城できなくなってしまい、兵士たちは、当然家族から反対されてしまった。そして、何より商人がへそを曲げ国に物を売るのを全部やめたのだ。…しかも数件国による食料の略奪が起き、更に
ヒートアップ。内戦状態となってしまい…商売するどころではない。一応後で許可をもらい、商店にはシードル酒とパークボアのなめし革の小物入れ(財布やバックなど)が多数売れた。どうも、この辺は獣が小さいらしく大きな革製品などがなく、加工品は珍しいという、シードル酒共々結構な売り上げとなっているが、王城はそのまま
立てこもりとなり、もう…お互いの打つ手はない状態だが、私はここで手を出すことはなかった。なぜななら、もっと緊急事態が起きたからだ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……

Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。 優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。 そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。 しかしこの時は誰も予想していなかった。 この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを…… アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを…… ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...