魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

文字の大きさ
上 下
639 / 1,309
第16章 途中退社は残された者がつらい

第633話 緊急事態も急に降って来る

しおりを挟む
 私はダンジョンを出て、今は魔術師の家という、妙に豪華なダンジョンの入り口付近にいた。そこで一週間ほど、ダンジョンの設計を行っていた。ミラージェとフェルミィは今はイーハ商会本部で向こうの帳簿を付けているころだろう、ただ、強度設計が面倒だな…計算機…作るか?
「イーハ、すまない、すぐに来てくれ。」
「何だ、モアレ。」
「どうも、ムーア村が壊滅したらしい。」
「は?」
 言われて飛び起き、都市の入り口…今度から城門を作るか?の傍に行くと、数多くの…血塗れの村人たちと、戦闘には村長もいる。
「何が起きた?」
「モンスターじゃ。モンスターが…。」
 急いでタブレットを開き…モニターを見ると何故かムーア村周辺だけ”百獣の牢獄”と書かれたダンジョンが出現していた。
「モアレ…すぐにぐ…。:
 そうだ。元々私たちは偵察部隊とか全部こっちで出すつもりで、今までモアレ配下の部下の作成を行ってこなかった。一応辺境公となっているが、ここ産業都市周辺は平和と治安は村人たちそれぞれが行っているため、実は専属の軍隊を持っていない。他の国境側にいる辺境公は全て最低でも2万の軍勢を持っている。但し多くは
農民兵(戦闘時に動員できる農民。普段は農作業をしている)である。専属兵士は国境沿いの3砦3720人である、後は貴族の私兵がいるそうだが。それは貴族の権限内で許可されている、が、敵のいないこの東側は我々ダンジョンマスターがいるので人間の兵士は0だ。が…。
「どうする!」
「治療をみんなで頼む、」
 タブレットを取り出すと、タミさんとコンちゃんに連絡し、村人の治療を頼んでおいた。
「…どうする?」
「行くぞ。モアレ、ポアン。」
「あいよーお姉ちゃん。」
「行こう、ちょっと鎧とか準備する。」
 モアレたちは家に駆け戻っていく、その間にサンテに頼んでモニターをチェックする。どうも様々な動物たちが…見た感じオルトロスまでいるぞ。これはまずい。このままだと南のメッチャングに行くにしても、街道がある、指示をサンテに送っておく…。タミさんは治療が終わり次第メッチャングの町からムーア村に直進。街道を抑えてもらう、あれが最短経路だから。コンちゃんはこっちにくるかもしれない敵追撃部隊の殲滅だ。一応こっちも直進するが…。打ち漏らし対策だな。
「準備できたぞ。」
「はいほーい。行こうよー。でも…イーハ。どうなってるの?なんか」
「まずは村の外の視界外に行くぞ。」
 一応産業都市の名が都会なのだが…感覚的に村のイメージが抜けん。が…。不味い事になった。というのも、これ以上の”増援”はもう期待できないからだ。鳥海とドランは現在ドランのダンジョン関連で動けない。水木も当然動けない、現在リンシュメルト学校にいるからだ。そして俊三さんは…今ここで呼べば戦力不足や色々…脱退されかねない、だから動かせない。それに…仲間に放っているが、どう動くか不明だ。それに戦闘経験は私くらいしかない。つくづくドランが今動けないのが悔しい。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……

Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。 優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。 そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。 しかしこの時は誰も予想していなかった。 この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを…… アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを…… ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...