魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第15章 オペレーション:ハッピードライブ

第606話 その頃私は酒を買う

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 フェルミィが、後初の支援部隊に追従し、ミラージェが、本部で、支援用の食品の販売(主に肉)をしている間、囮の私は偵察任務のオウルに頼んで、影回廊を使い…パルミダークについていた。囮の仕事より優先すべきは…まずは勇者大陸市場の調査だ。というより技術の買い付けだ。
「い、いらいっしゃいませ。」
 私はオウルを連れパルミダーク港に来ていた。これには二つの意味がある、スキュラカンパニーがここを選んだ理由と、”蒸留酒”の為だ。特に蒸留酒はこっちにジャガイモがあり、米もある。米焼酎やアクアピット(ジャガイモの蒸留酒)に興味がある。
「ここが蒸留酒の。」
「は、はい、ここは”カーンドル保存所”です。」
 対応は、店にいた…数人の当時達をまとめているはずの女性一人だった。
「君はこういう対応に慣れていないのか?」
「い、いえ、功う言う喋り方で…後親方がパルミダーク公と今、出かけてまして。」
「一つ聞きたい、どうしてこれは”保存所”なんだ?」
 この言い方だと、元々は違う目的の店なのか?
「今はもっと濃度の濃い”蒸留酒”として開発していますが、元は”酒精を高めた原液”を少量入れて”水の保存を行う魔法の液体”として開発していました。」
 確かに生水よりは酒の”殺菌効果”を足した方が保存能力が上がるな。
「極めて薄い酒を入れた樽を”保存した水”として今でも販売してます。原液の”蒸留酒”とその前処理の液体の”エール”を販売しています。」
「そっちの方が保存性がいいのか?」
「あまり高すぎますと、のどが焼けるように熱くなり…飲むに適さなくなるので、薄い方を我々は推奨していますが、うちは現役の販売なので、楽しみ方は自由・・・という事にしています。」
 ふむ、水の保存か…ちょうど目の前に大型の、蒸留器が置いてある、工業用のあれだろう。
「その装置。、売ってもらえないかな?」
「機械・・・ですか?それは領主の許可がいるので…この保存の水でうちは結構儲けていますので、流石に職業の種は…。」
「ふむ…すまないな。」
「ホッホッホ、それより一本買っていますか。」
 本当は穏便に機械購入したいが仕方がない。機械を見た感じ”異世界転生したらやってみたい100の現代知識チート”という本がある。思い出召喚にあるが、これ、”飯垣”の持っていた本だ。ついでにこれは、”なろう”で出てきたチートを本当にやるにはどれくらい障害があるか、失敗成功のノウハウが書かれた、科学者初心者向けの科学に興味を持ってもらうための本だ。そこには当然チートの代表格”蒸留酒”の作り方と現代では”法律違反”であることが書かれている。なので、一応作れる、しかもイーハ商会がリンシュメルトにあるので、言い訳もばっちり。なのだが、私はそう言う”産業スパイ”みたいなことは好きではない。ついでに現行産業を産業チートで荒らすことの悪意を建設業界で思いっきり知っている、だから、せめて許可が欲しかった。金でも相手に渡すことで贖罪をさせて欲しかった。
 現代の大工仕事の多くは”新製品”により最低でも10回は後続を置いていきかねない構造変化が訪れている、釘の工業規格化、石綿。コンクリート。ユニット工法瞬間接着剤など様々だ。今の大工は昔の大工に比べ、科学者に近いほど勉強してその原理と注意事項を熟知して覚えないと、お客さんが求める処理ができず仕事がなくなる。なり、できる事は単調作業だけになる、だから現場監督が日夜最新の工法などの本を読み学ぶ、それができないと、その”地方”の下請けの大工が飯が食えなくなるからだ。だから日夜研究した。どんな小さな会社の開発した工法も、又は新たな建材の入手法もだ。新たな建材が何故か市場を席巻する日も多かった。そしてその原理を販売店から聞いて…理解しないと、その作業の危険性も理解できない。だからこそ色々”疑う”ようになった。人の言っていることも本当には違う事も新しい商品の実験場みたいな”建築現場”においては誰も知らない事故の原因は常にすぐそばに眠っているのだ。自分が引っ掛かって死ぬのは嫌だ。そして私はそうしてついてこれなかった大工たちの、苦悩を知っている、そして技術の有無の差が死活問題の戦場に立っていた。当然蒸留酒は確保すべきだ、特に農業大国になるなら当然だ。欲しい。だからこそ…。正式な形でも取得したかったのだ。諦めて、後でこの構造を見様見真似して作ったことにしよう。
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