魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第14章 下部組織は基本押し付け

第576話 悪女は常に、仕返してなお立場が一緒な事を望んている、

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「…なんだ、用は?」
 鳥海が、メールでセッティングし、わざとダンジョンバトルを介せず、国境の境目に黒川を呼びつけていた。今回の件を誰にも知られたくないからだ。
「きいただわさ?」
「戯言だろ、うちらも下っ端が持ってきたぞ。あの”推し勇者リスト”。」
 SNSでは、符丁さえ危ないので…正確には持っていると危ないが勇者リストというのがダンジョンバトルのトレードでのみ出回っていた。
「だわさ。」
「でもあんなのあっても無駄だろうな…。」
「どういう意味だわさ?」
「来るかどうかわからんのだろ?」
「今回呼んだのはその件でもあるだわさ。」
「どういう意味だ?」
「これを渡すだわさ。」
 取り出したのは魔界一日チケットだ。チケット自体は珍しいものではないが…。
「…どういう意味だ?」
「これにはいくつか秘密の抜け穴があるだわさ。」
「どういう事だ?」
「出入口を設置した状態で、そこを出入りする人間は必ずしもその開いた関係者の実が通れるわけではないだわさ。」
「だから!」
「アチシがこれを開いて、それがリンシュメルトにつながっていれば?」
 チケットの仕様上、必ずダンジョンから入れる”入り口”を設置する。それを音無たちみたいな”勇者”や関係者でない者も入ることができた。という事は出る事もできる。例えば魔人連合のメンバーが鳥海のチケットが生成した入り口に入れば、ダンジョンの移動が可能なのだ。ただ、この仕様はなぜか確認されていなかった。
「ん?」
「そっちがそのチケットでたまたまうちらを見てその階段を不審に思い、上ったとしても…。」
「お前!」
「ちゃんとある場所に設置しておくだわさ。その誘導。頼めるだわさ?」
「いいんか?」
「足りないならこれも持って行くだわさ。」
 鳥海が取り出したのは赤い一日チケットの束だった。これは音無たちここにいた勇者たちが飼える直前に、ショップを見せてもらい、そこに売り物の”魔界一日チケット”があるのを確認して、DPを魔石経由で渡して大量に購入した、そうでない場合ダンマスはランキング褒章とかでしかもらえないので、地味に貴重なチケットだった。
「お前!」
「アチシはみんなに勇者と接し、勇者をゲットする機会を与えたいだわさ。月光の後釜の馬鹿や、亜人一強が続けば今後の為にならないだわさ。それにアチシ達が他人の儲けダンジョンに入るには”友好的”をある程度削らないと入れないだわさ。」
「…お前…。何があった?」
「女は浮気性だわさ。一過性が支配する。愚かな女だわさ。だからこそ腹が立ったらぶん殴るぐらいの自由が欲しいだわさ。」
「いいのか?」
「構わないだわさ。頼めるだわさ?」
「…しかたない、受けるが、責任は取らんぞ。」
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