魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１４章 下部組織は基本押し付け

第５７４話 ドワーフの職人こそファンタジー。

　昨日はどうも塩パン祭りだったそうだ。で今日は…。
「よろしくお願いします。」
「…何するんです？」
「役に立つとは思わないが…。」
　３人の男の姿があった。一人は礼儀正しいが、衛兵３人組の一人。一人は、どうも手も不満そうな少年。そして最後は足を引きずっているオッサンだ。こっちに来て知ったのだが、村に一人は負傷が悪化してけが人がいるのは、田舎あるあるだそうで、狩りの際にけがを負って、治ったとしても、その恐怖で森に入れなくなる人間も多い。これを私一人が相手をするのか…。ついでに堂島姉妹は徒歩（偽装）で帰ってもらった。これからしばらくはここと前の村とかを往復し、ここに物資を売る”行商人”が欲しいのと彼らの拠点をここに作り、ダンジョンを作成するのかは不明だが、彼らがまずはここで基盤を作らないといけない。離れてもいいが、手付金代わりに国土の美味しい箇所を結構もらった。なので、まあ離反されたくない。ついでに実験で、くれたり貸したりした土地を”帰して欲しい”と言われると、ダンジョンでない限り人間の土地に返却されてしまう。領域のポイントは無駄になり、その人間の領域となってしまう。これも条件があり王国に国土を定めた地図があり、その土地を一度”所有宣言”成された箇所に限るんだそうだが。当然ここはその領域内だ。国王がへそを曲げた場合、領域は奪われる可能性がある。但しダンジョンはその範疇から外れる。そうでないと王が一言いえばダンジョン攻略となってしまうからだ。…そこまでの無法は流石にないか。
「君たちはこれを作ってもらう。」
　指示したのはさっき分解した大八車だ。
「は！？｝
「いや無理。」
「それは？」
　いきなり全拒否とか…分からないでもないが…。
「国王命令だ。このものを１０セット作り献上するのが、昨日のあれの対価だ。」
「第一どうやって運ぶんだよ。」
「…それは後で指示する。が、まずはあれを一つ作る。それが必要だ。そのために私がいる、君たちに作り方を覚えてもらう。」
　よくファンタジーだと、技巧派のドワーフとか職人がいるのだが、あいにくこの世界は未発達でいない。なのでこうして一人ずつ教えるしかない。スキルを見るが…。
「今回は急ぎなので、まずはこれを持ってきた。」
　ポケットから取り出すのは”木材区”のスキルオーブだ。地味に安くダンジョンバトルで意味がないと、リンシュメルトでは結構安売りされているが。これを３レベル分覚えてもらう。
「これは？」
「今回の王命を果たすために王から授かったものだ。これを三つ渡す。それを握って、集中してくれ。」
　なお、今回のごまかしは全部王様に擦り付ける。でないと量産にもっと欲しいとなる。
「これでいいのか？」
　おっさんが握りしめると推奨が光り、それが手からなくなった。
「何だこれ…。」
「ある程度基本的な事は理解できるようになるはずだ。本も残しておくが、字が読める奴がいないと使えない。」
「だろうな。」
「だが、絵が多めで書いておいたから、参考になるはずだ、まずは行くぞ。後の者も使い終わったら。こっちに乞い、材料と工具を出す。」
　昨日止まった場所まで行って…工具をダークボックスから出して、連中の前に置いた。
「これが工具か。」
「形を整えるために切った木の皮をはぐのを忘れるなよ、あれは不完全であるものの削るのに必要だ。」
　ただ、スキルを与えたうえでも、教わる経験がなかったのだろう、全員が工程を覚えるのに三日かかった。手鳥足取り教えてだ。後はやって店て…。
「どうですかな？」
　領主か。
「今の所そこまで悪くない、これがあれば今後の開拓者や森林伐採に重要な意味合いになる。これがあれば荷物を運ぶのも楽になる、」
「どういう意味ですかな？」
「木を運ぶ時どうしていた？」
「冬の休みに村で総出で何往復も。木を下敷きに転がしていました。」
「それが、大八車に載せればもっと楽に運べる。ただ頑丈さも欲しい。」
「そう言う物か？」
「今はここで細く切った木を運ぶだけだ。だが、細かく切った木を少数の人間で運べばそれはそれで欲しいやつがいる。そして台車は使い回しがきく。」
「…確かに…。」
「王命でこれをここの木で作って持って行く。もし認められればこれをここで作る事になり。これを町に運んで金になる。これだけでも開拓成功となるだろう。」
「そこまでですか。」
「ただ、いくつかの問題もあるので、今は型取りからの成型までですがね。」
「それでも…。」
「ただ型取りだけだと問題が出ます。」
「どういう事だ？」
「改造ができず、直すのも交換のみとなります。それも同じサイズのみ。しかもそれ以上に太い木が無いといけないので、河口も難しいんです。」
　ノコギリは周囲に作成技術がないので、今回の導入を見送った。ノミと木槌、くさびだけとなる。後線引きの糸は置いておく。…それ以上はもうどこに行っても工具がない。ただノミによる削り出しは非常にリスキーだ。失敗すればその車輪や加工したものすべてがおしゃか。最初からやり直しに近く…また板の加工もベコベコになった板が限界だ。板の作成には本当は”ノコギリ”が必要だが、それは戦争しているザガートン側にある。一応密輸ルート建設後に売ってやる。待ってくれ。