魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１４章 下部組織は基本押し付け

第５４８話 本人が落ちぶれても助けたことは変わらない。

「凄いですね…。」
　堂島弟と歩いているが、リンシュメルトを地味に観光した事はない。というのも、
「お嬢の店はここにあるんでしょうか？」
「お嬢？」
「あ、ナギサさんです。どうも聞いた話だと、あの薔薇野郎をやったのはナギサお嬢だと聞いてます。」
「確かにな、我々も遠目から見た。あれは凄い斬撃だった。」
　主にロボに乗って、刀一本で勇者を一撃で斬殺するとか…。あいつだけ世界観違うんじゃないのか？
「そ、そうなんですか？」
「行ってみるか？一応ギルドの酒場がその辺にあるから、そこから提携店を探せば出るだろ、」
「は、はい！」

　ナギサの店は比較的中央通りに近い中央通りの噴水の近くの通称ショートケーキの先っぽと私が読んでいる角地に会った。ただまだこの世界ではガラス窓が無いので、木の板を立てかけた
窓が印象的ではあるが…。
”三日月武具店”
　という、立派な…というには狭い店だが、剣と盾のマークがついている。
「ここか？」
「ですよね。」
　一応地味にギルドの提携店は多かった。この辺だとほぼすべての店がギルドから何らかの支援を受けている、主にゴーレム車と土魔法を使える人材の紹介だ。こっちでは土魔法オーブを広い、そこから学校に通ったりすれば魔法を覚える事ができ、その中でも就職度安定の項目が”ゴーレム作成”だ。これを持ってゴーレムに台車を引かせれば大量の荷物や人を運べる。形状は回路についてもそうで、かなりの研究がなされている。その為、この土魔法講師だけは常駐し、毎日講習をしている、ただし非常に難解なので、このゴーレム作成は一種の鬼門とも呼ばれていた。余りに原理が難しいのだ。だから提携先の判別に…堂島君を使った。そうしたところ、この三日月という性に行きついた。
「あらぁいらっしゃいぃ。」
　思いっきりカウンターに寄り掛かってさぼっているように見える黒い…こっちは魔人などではなく、褐色という感じだが、この地方での褐色は実は地味に多い。というのも女性だけの社会になってから、女性が男性の代わりに肉体労働することも多くて、一日中日差しの強い昼間に出ていることも多い、その上この都市は”白い”それが、光の強反射につながり皮膚にダメージの多い都市となってしまった。その為、日焼けしている人は主に労働者で多かった。
「ここは、三日月武具店ですか？」
「…そうよぉ。依頼か何かぁ？」
　なんかフェルミィ見た百済っと語尾を伸ばす人だな。
「武器はある？」
「既製品でいいなら、持ってくるけど、種類は？」
　ちょっと緊張しているようだが、私も。
「…武器防具以外も頼めるか？」
「…物によるわぁ？」
「釘だ。」
「釘って？」
　どうも現地の人か？
「できれば、伝えてきて欲しい、知らないなら店主を頼む。」
「…分かったわぁ。ちょっと待ってね。」
　そう言うと、店番の人は奥に下がっていった。
「でも、武器、飾ってないですね、カウンターと・・。」
「第一こんな狭い部屋で武器を飾るのは逆の意味で不味い。せめて地下に…。」
「…貴様！」
　顔をあげると、あの時魔王バトルで見た…ナギサの姿があった。
「お嬢！」
「…ん！ハルか！」
「お嬢様！」
　再会を喜び抱き着く二人…いいねえ…。
「死んだと思ったぞ、ヨシカゲに…。」
「どうも鎧騎士が言うには彼らは、薔薇のヨシカゲを裏切っていた。今はうちらが保護しているが…。」
　一瞬、刺すような目つきがこっちに…あれが…三日月の妹、ナギサか。
「それは本当か？」
「良ければ南にも確認してみるといい。今回は彼らの避難先にギルド施設を作ればいろいろやりやすいという事で来ている。」
「説明して欲しい、その辺りは聞いて無くてな。」