魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１３章 新入社員と改革のススメ

第４９９話 可能性を聞いて試すには、社員への聞き取りからです。

「まず、最初の地点の事だ。奥原は山奥だったが。それ以外は村が近かったか？都市が近かったか？」
「どういう意味だ？」
　シロウも意味不明という顔で、こっちを見ていた。奥原は、山奥で陽華は近くに村があった。
「アチシはここの首都地学だっただわさ。俗に言う”都市スタート”だっただわさ。」
　実はこのスタート地点のマップの事を覚えているが、最初のマップに”人口分布”は書かれていなかった。そして私は、誰もいない山奥の村が出会う可能性のある川の傍を選んだ。
「俺は村だった。近くの村が…俺のウルフを見ると襲って来たから…反撃せざる負えなかった。」
「儂も村じゃの。近くの村で儂らを見るとすぐ逃げるし、結構すぐに帰って来るのを見ての。それでスタンピードで脅して乗っ取ることを思いついたのじゃ。…都市を脅してがっぽりじゃよ。」
「という事はあの動画・・・」
「そうじゃよ、あれ、すぐに逃げおるんで野、全員わざと逃がして、領域化した後は必要な物だけ回収して、とっとと逃げたんじゃ。人間を入居させれば収益が上がるからの。」
　流石頭がいい。動画では襲撃成功で画像ア終わっていたが、実際はすぐに引き上げ人間を住まわせていた。無人になり、一定時間が経つとどうも”住居”認定が消えるというのが柳田の検証の中にあった。それを実行した形だろう、住居認定を無くし、取得したら後はモンスターは逃げるだけで、ＤＰを得る事ができる。但しこれだと、生活改善とはいかない。
「水木は都市スタートっぽい、街中にダンジョンがあったからな。」
「それがどうした？」
「…で、そこに技術はあったか？」
「ん？」
「どういう意味だわさ。」
「どうも柳田が言うには各ダンジョンマスター傍の都市には”ボーナス技能”があり、その技能を人間から奪取するかその村を”経済的連携”にすると技術が伝播することがある。だそうだ。」
「どういう意味だわさ？」
「流れ者の村には”皮なめし”の技法があった。」
「あ…。」
「ジャンによると、近くの都市では盗賊として”伏兵”をすることがあったらしい。そういう年ごとに独自脳や制度が存在し、それが街道を安全にすることで伝播し技術が改良される事があるそうだ。柳田がいうにには、ダークエルフの狩猟具合から”樹上移動”やカナン国は”石垣”の技術があったそうだ。で、私が無理だというと…そこで可能性として思いついたらしい。技術テーブルが存在する。又は植物などがな…。」
「それは初めて聞いただわさ。」
「リンゴはこちらにしかないし、フォレスタ北部には”ライ麦パン”のほかに”エール”の技術があり、あと”やり投げ”が強い村もあったそうだ。そういう事からして、人間側に結構有利になる技術が存在したり、スキルがある場合もあるそうだ。」
「何じゃ、そのシュミレーションゲーム仕様。」
「それで、柳田はいろいろやってみて…。”騎士団”と”領地貴族制”がカナン国にはあった。」
「…そう言えば、うちらの”新年の集い”と””貴族商業主義”は、アチシが聞いたこともない商業制度だっただわさ。」
「お前が思いついたんじゃないのか？」
「違うだわさ。この国は隣国の商人が幅を利かせていて、買占めとかひどい目に遭っただわさ。そこで、領地と監督貴族に商業を紐付け、村単位の税制にする”貴族商業主義”ができたと聞いただわさ。結構変わった制度で、隣が共和国で”商人第一主義”だったりもしたから、それ対策だと聞いていただわさ。この国ではうかつな他の国の商人は商売できないだわさ。」
「そういう事ね…。」
　商業連合国や魔王国など、商業第一主義が隣にある弱小国歌のマルワール帝国としてはこれで防衛していたのか・・。
「後、”専属軍人”はこの辺だけの風習と聞いていただわさ。」
「確かに隣は”奴隷主義”だったからな。」
　一応タミさんから黒川に兵士具合を聞いた時には今は”家長主義”だがその前までは”奴隷主義”であり、騎士や貴族が金で平民を買い、民衆を売り買いできる。戸籍が無いが基本領地となった村々の村人は全てその領地の貴族の”持ちモノ”として扱われ、金銭取引の対象となるそうだ。その対象に３歳の子供であっても含まれ…秘密裏に売り買いする”奴隷市場”が横行していたそうだ。それを見て裏社会に潜るのをやめたのが…黒川だ。
「で、そういう事があって、調査しているらしい、各都市の特異”技術”って奴をだ。これを街道でつなげ…人を往復させれば人の技術が育つ可能性がある…だそうだ。」
「本当だわさ？」
「逆にそれ以外の技術の覚えは悪い可能性がある…まで言われたぞ。」
「不可思議だわさ。」
「じゃのお。」
　ダンジョンと人の交流。まだいろいろあるって事か。