魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１３章 新入社員と改革のススメ

第４９８話 隣の会社の伝説的社員の伝説は大抵、おかしく聞こえる。

「で、これか…。」
　向こうから技術交換を行い、習得したのは…”糸”の技術だった。糸は草木を千以上迄引きはがし、そしてそれをねじる事で得られる…植物性の強い耐久性を持つ細い物体だった。ウルフェが教わった技術が家具作りどかで拡散していく。これには丈夫な植物が欲しかったが。その辺は安い桃で、麦わら、わらなど、もう一つは麻の服に使える麻の糸だ。これは酔って圧縮することで強さが増す。がここからがファンタジーだが”ウォーキングプラント”の亜種でトレント系に”蠢く足場”というモンスターがいる。つる系のモンスターで人々の足元に蔓延るものだ。これに”麻”の指定が可能で…。魔物麻というジャンルが生まれた。非常に硬い上に魔法との親和性が高く、身体強化の効果が上がる効果が確認された。また…一部の魔物の家から作れる”毛糸”にも魔物の地と水飴と魔物の毛を使った”魔物糸”という毛糸が開発された。身の硬さをあげてくれる効果があり、非常に好評となった。そしてこれらには”付与魔法”において、特定の魔法の効果を上げ、そして、それ以外の効果を減らす効果が確認された。これは素材吟味と言い…。
「でもこれは又課題だ下が増えたのぉ。」
「又作業が増えるぞ。」
　そう、シロウやドランが言うとおり、これには問題があった。飯垣メモによると、すべての植物や動物において、様々な手法を試す必要がある。その為の専門部署を立ち上げるべきだ。という話があった。どうも、食品開拓やそいうのにはまず”今までやった実績”などを調べ何をするのか研究する踏み台である。”基礎研究”という物が全く足りない状態でその作業には…大方１００年では終わらない程度の収集が欲しい上に新技法ごとに再検証が欲しいのだそうで…。そのデータを集める必要がある。
「でもな…。」
　そう。シロウがやっているモンスターの進化リスト埋めにはこういう基礎研究の部門が多い。それに毛皮糸の相性などの検証を加えると、それだけでも膨大な時間が欲しくなる。そしてもう一つの問題は”学識”の差だ。これは飯垣も指摘していたが飯垣の賢者とオウルの賢者において知識量が一緒かどうかの検証をまず行ったそうだが…。頭の良さで言えば中学一年生が限界ぐらいで…。そこまで頭がよくなかった。INTの差もあるだろうがむしろ、自分は下。となると、INTに隠れた何かがある可能性を指摘していた。これから加味するとと、現在の学習では…。この植物の基礎研究をできる人間がまだ育成できていないのだ。これはＩＮＴをあげただけではカバーできず。モンスターだけではどうにもならないことが発覚した。その為、モンスターでは…この基礎研究させるほどの知能は無かった。これがさらに事態を難しくした。柳田に聞いても…この辺は理解もされていなかったので、意味不明だった。それが拍車をかけた。そしてこれが、ダンマスたちを苦しめた。まあ、知っているのは私と言いが木だけだったが、
「でも、この糸、どういう物じゃ？特にこの種類の糸なんて意味が無かろう？」
「それがな…。この技術は”教授”に聞いたそうだ。」
　そう、柳田もさすがにギルドに探りを入れるべく、教授にやんわり聞ける範囲で武勇伝を聞いていた。ただ…それが伝承と違う…教授敗北の歴史でもあった。

　まずこの教授”異常に”強い”。世界最強の名にふさわしく、通称オーガジェネラルというオーガに中級職業を付けた化け物（第一の僕）をけしかけた。が瞬殺だった。が、聞くとこれでさえ”最初の勇者の従者”に全く勝てなかったそうだ。
　最初召喚され、数日でまず”周囲の文明レベルを認識した”…頭おかしい。そのうえ、その時代に合った最も必要な武器を作成した。糸はこの大陸の技術にあったので、どうも教授曰く”紀元前からあった技術”なら大丈夫だろうと、試しに”クロスボウ”と”カタバルト、トレビシェット”を伝授し…製作に成功した。教授曰く、”バグダット電池”という鉄と銅と金属を混ぜた水を使った発電機の事で、アレンジはされているものの古代で作成可能な電池にまで知識は及んでいたという。…電気までありかよ、但しこれは喫緊の課題として使えないという事で却下したらしいが、その裏では”最初の勇者”というのが問題だった。レーザー勇者並みの実力があり、その上”人を殺してレベリングを行った”平和のための使者として向かわせてみたら、街を滅ぼして帰って来るなど…素行が非常に悪く、その為召喚した以外の国と勇者と戦争を行い…負けた。７万の軍隊は二人を前に砕け散り、その次の屈辱戦の５万であっての勝てなかった。そして彼らはレベリングを勇者大陸の男性のほとんどを犠牲にして行い魔王を討伐した。
「何だそりゃ。」
「儂もそれは初めて聞いたのじゃ。」「
「一応伝承はあっただわさ。でも本人が言うのは恐ろしいだわさ。」
「これにはまだ続きがある。」
　その間に負けた各国は…ある作戦を立てる。それが”勇者には勇者でしか勝てない”だ。その為に勇者のいない隙をついて、勇者を召喚した国を急襲。電撃戦を仕掛け、その国をほとんど潰して、その国を消滅させた。その際に勇者召喚を入手、呼んだのが”教授”だった。ただ、ここまでやってさえ…最初の勇者の従者”長谷川”相手には勝てなかった。兵士がクロスボウを包囲戦で打ち込み、カタパルトから巨石を打とうが…そのすべてをはじき返した。…窮地の教授を救ったのが”ネル”だ。最初のダンジョンマスターの可能性が高いが。エルフの族長として、市民に商売を行っていた彼女は…魔法戦の末”長谷川”を討伐。この勇者の所有権の問題に対して”勇者を一国に預ければ問題が起こる”として。ギルド商会を設置、教授をその預かりとして、前国家に平等に仕事を請け負う組織として誕生した。これがどうも神様認証となり、その後に影響を与えるが…。それ以来教授は前の勇者からの懸念だった魔王も討伐。…そのままギルド最強の勇者となった。まあ放浪癖があるらしいが、旅が好きらしく、各地を放浪することも多いそうだ。
「なんかすごいだわさ。その勇者も。」
「…という事はあのレーザー勇者、雑魚なのか？」
「勇者という軍事兵器だな、扱いは。一国を滅ぼす人間兵器だ。魔王が倒されて以降は。ダンジョンという物が広がり…それから冒険者時代が訪れた。という話らしい。」
「でも…。」
「そう、技術への造詣が恐ろしい。その上…判断力が高いらしい。そこで、糸の技術を教えてもらい、軍備として使っている、クロスボウは教えてもらってないそうだ。」
「…厄介じゃのお。」
「だろうな…柳田含め現在ギルドはフォレスタ大陸への足掛かりとしてパンダを重宝しているそうで、教授はフォレスタ大陸のカナン国にいる。」
「げ！」
　全員の顔が固まっていた。
「…教授含め、うかつな勇者以外は接触しない方がいい。私はそう考えている、変に勘繰られれば後がないぞ。」
「分かるだわさ。でもそんな化け物勇者もいるだわさ。大陸中の男を殺すほどの勇者。」
「そりゃあ…」
「少し、次の情報の検証のためにみんなに聞きたいことがある。」