魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１２章 開発再び

第４６９話 最適解は常に要求物品が異常な事がある。

　音無たちを招集し、臨時でパーティを組んでもらう。
「でもテスターですか…名誉というか、私たち。」
「これもちゃんとしたお仕事たよ。ね、師匠。」
　キラリを囲むハーレムの図に見えるが師匠と呼ばれた女リューネとその部下コクヨウ。そしてキラリの３名…ではなくさらに２名の女性を加えた偽女子会チーム。
「一応警告しておくと、ダンジョンのテスターは非常に危険だから。特にダンマスも思っていない計算ミスや難易度。場合によっては事故もありうるの。最近はスポナーモンスターによる防衛はあるけど、あれは倒していいけど、ダンマスのいう事はめったに聞かないから。そこは注意ね。」
　私たちは先ほどの通称”ダンジョン作戦指令室。”に待機してダンジョンを見つめる。入り口前にはテスターたちがドワーフ商店街で並んでいる。シミに言うと、その外側では新年に合わせたセール及びダンジョン”ケイブ”開通記念で勇者たちが集い、その情報を売るべく構えている。その前にダンジョン側に理解のある勇者による突貫のテスト。これは荒れるな。ただダンジョンは４つ。ただ、どのダンジョンもダンジョンらしい洞穴も壁もほとんどない。わたしの５０ｋｍブリッジランはともかく”蟻穴”ははっきり言ってキツイ。それにだ。もう二つはもっと異様だった。
　南のダンジョンの情報は見たこともなかったが状況は最悪だ。普通の太陽輝く平原に天使たちが空から舞い降りる。キャストの格納は全部幻覚を掛けた空から投入し、エリア内を”魔法禁止”が覆う。そしてモンスターは全て霊体持ちの天使たちで覆い。物理無効と魔法無効が重なる無敵天使たちがお出迎え。という物だ。これがかなりきつい。というのも、モンスターの練度が高い上に人型で…普通に強い上に頭が回る。それが一番の難敵だ。そしてサンディーンの女王のダンジョンは前に聞いた”大砂海”の再現したダンジョンで、温度から砂の具合まで再現。しかも地味に地中厳禁で、暑い。ついでに出入り口には必ず水を売る商人が待ち構える徹底ぶりだ。後このダンジョンは各ダンマスが所有権があるダンジョンなので、内部の収益は”配置したダンマスが８：２で２が同盟となる。宝箱やモンスターは総割りと、地味にここに優遇をしている。なので暑くして水を売るという、商売型ダンジョンだ。…でもうちは雨だろ？
　そう思っていると始まったようだ。最初はいちばんやさしそうなサンディーンのダンジョンだが…地味にあの砂漠の一部がオブジェ化しているため、砂の山の上下が体力を奪う。ああいうのもいいな。そしてひたすらに…というかちょっと待て、影の中に人が入らなかったか？やはり闇魔法レベル１０は持っているとみていい。そして一気に走り抜ける。・・・。流石テスターだな。評価はギリギリ合格っぽいな。ただ全員あのフィールド型ダンジョンを短時間で駆け抜けるとか…。これは予想以上だが…。

「じゃ、次の問題エリアだ。井原の。」
「ああ、楽しみにしている、ギルドが誇るＳ級とやらがどこまでできるのか、楽しみだよ。」
「だわさ。」
「どういう事？」
「担当は水木だ。がこいつは元々千鳥万花にいて、で交換留学生だ。」
「水の巫女で、雨のダンジョンマスター。水木でございます。」
「はい、今回はこの企画を聞いて井原さんがどうしても作りたいって事で、…２番煎じとなりますが…。」
　プレゼンが始まったようだが…私の出番だな。
「えっと…。」
　花木さんが作戦室で言いよどむ、全員が動かないからだ、向こうの会場もだ。
「これは…確か最大なので、”５００ｋｍブリッジシャトル”というダンジョンだ。が今回はテストという事で、５０ｋｍで設計した。雨がメインというダンジョンという事で
これだ。雨が地味にいやらしくさせてもらった。」
「何だそりゃ？」
　全員が思ったに違いない、井原さんが淡々と語るが、このタイプ大方、話すと長いか、きついタイプだ。
「ああ、ゲームでよく橋で全部終わるゲームとかあってね。一度でいいから橋があるだけのダンジョンを作ってみたかったんだ。当然トラップも仕込んだ。バトルもある、」
「井原作品は、井原の本気度によって難易度が天と地ほどの差もあると聞いてる。今回は？」
「ああ、ちょっと頑張ってみた。ついでに低い数値をひけば当然難易度が下がるように設計されている”変動難易度”製だ。」
　全体の空気が凍る、
「トラップの説明するだわさ、訳が分からないだわさ。」
「ああ、当然ながら、雨で”視界”を一定以上発揮させない、その上雨は全部”塩水”で形成しているから錆びたり、金属とかに張り付く、徐々に体の体力と鎧を痛めつける。そして直線を高速移動させないように定期的に壁を設置し、最悪衝突死してもらう。無論海の中は海水だからトビキリウオをはじめとした凶悪モンスターを配備、入ったら又は橋を渡っていて”野営”させない。で、今回は４０階分余裕がある設定だから、ちゃんと砂漠では平面だったのが、直線にしてあり、さらに長い。」
　一応今はトビキリウオだが。実は適当でランダムスポナーというスポナーの特性だ。一応テストも水木のダンジョンでした。胴もスポナーのおかれた環境に合わせてスポーンするらしく、海では海中のモンスターが。登場に不都合のない範囲で登場する。設定はどうも新基準の”ランク”による調整で、確認したうえで出している、但しあの魚は…ダンジョンに登録できない。
「それ、キルダンジョンだわさ。」
「低いレベルをひけばいい。出ないなら、引き上げろ。撤退の英断もまた戦士の条件だぞ。」
　難易度が確かに５０ｋｍなら優しいが、これが１０倍だと…たどり着く奴いるのか？
　ただ、リューネ達の突破法はかなり強引で、対策を擁する者だった。風の結界で体を包み、海水雨の影響を断つ。その上低空飛行で空を飛ぶことにより加速、フライト系アクロバティックエリアに大変貌した。…さすがＳ級。こっちがテスト音を上げたダンジョンをこうまでして解くか。
「あれだわさ？」
　画面は誰もいないはずの橋の中ほどにある”守衛室”が映されている、
「あれはどういう意味だ？」
「ああ、ここにこの橋でつながった全部のエリアのスポナーを固めてある、固めるための部屋の構造を書くのにかなり使った。」
　ハーリスに目配せをして、橋の地図を見せてもらう、…単なる部屋を直列につないだんじゃなくてそこから細い線をつなげて、スポナーが２個設置できる広さと高さだけ守衛室まで細くつないでスポナーが大体１４×２で２８個。おいてある、が、それが前の分、後の分併せて２倍の５２個置いてある、って事はまとめて敵を出して
大軍で襲うのか、最低５２体のモンスター。これが大体５０ｋｍに一つ置いてある計算になる。ついでにあと一つ設置できるスポナーは橋の下の隠れた場所においてある、
「あれ？一つ足りねえし、魚の分はどうしたんだよ？」
「ああ、ランダムスポナーは調査した所、置いた場所の環境によって出る者が違うらしい、空の上に置けば空中に出ても死なないモンスターが、海中なら当然水中のモンスターが、地中なら地中を掘って進むモンスターが選ばれる、だからそれを使って水中において、奇襲性の高いモンスターが出れるように部屋の大きさを調整した。」
　いう事は簡単だが。これ、結構重要だ。ちらっと見た”守衛室”はよく見るとドアが３ｍの高さで。大方ある程度までは出るモンスター迄調整できるように加工されてる、凄いな…。