魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１２章 開発再び

第４５４話 アイドルにはマネージャが必須なのか？

　次の日から、ジャン含め新年の集いを見に来てみると、特設の談上での練習をしているメンバーと、後ろで楽器を演奏しているコンちゃんの姿があった。
「お前ら、レッスンの事を忘れたのか、マスターに見せるみたいな笑顔を見せろ！」
　監督しているのはジャンとドランだな。そう言えば…。
「あ、マネージャー。」
　手を振る５人。だが、マネージャーって。
「どうじゃ。いい塩梅じゃろ。」
　ドランが親指を立てて、こっちを見ている、グッジョブとでも…。
「これがどうもこの状態のいい呼び方らしい。…な。」
「そう聞いたよね、お姉ちゃん。」
　モアレがイケメンみたいな輝きでこっちを見ている。
「そうですよ。スーパーアイドルって奴はマネージャーっていう人に従ってスゥーパーアイドルって奴になるんでしょ？だからマスターはマネージャーなのよ！」
　よくわからんがミヨちゃんがやる気になっている。
「ですね、」
「ホッホッホ。第一アイドルってなんなのかのぉ？魔王語ではのぉ。」
　そう言うの知らないって事か。
「そう言えばそう言う言葉はないのかのぉ？」
「歌い手だっけ？」
「実は歌をこうして歌う風習もない。だからみんなの前で歌うっていうのは、実は亜人でもやっていないらしいんだ。」
　水木のリサーチはこういう時に役に立つ、酒場は多いが飲んで暴れる冒険者も多いとかで、そういう酒場による子供や女性が少ない。そう言う意味で言うと、どうも１：９の女性世界のどうも、酒場より、水飴で出来た甘味のほうが売れ行きもいいが、その分会話をする場所としてギルド酒場が流行ってしまい…。その為酒場で歌うという”歌売り””歌唄い”という職職業もなくなってしまった。話すのがメインで、歌う人間を騒音を発生する発生源にしか見えず、ただ、歌もそこまでうまくなっていないのもあるが、流行らなかった。音楽も我々た歌と踊りのレベリングにあげるのと実益を兼ねての事だった。ザガートンではあれだけ祭りがあったのに、楽器を打ち鳴らすこともなかった。そう、音楽という文化もなかったのだ。踊りもなく、ミーアが音楽喫茶を開いて、ショーをするようになってから広まりつつあった。水木が見にも行ったそうだが、こっちとは違うかなりか流れるような踊りだったらしい。ただ、完成度が高かったらしく、見とれるばかりだったという。
「そうなのかの？」
「ザガートンでも聞かなかった。それは事実だ。ただ。」
「だだ？」
「ここで初めてなんだろう。だから…。」
　ちらっと後ろを見ると、この練習の様子を遠巻きに見る城勤めの人々は楽しみそうに踊りと歌を見つめている。
「広めていくのさ。まずはな、成功する予感がする。」
「じゃねえよ、確信だよ、な。」
「どういう事だ？」
「ああ。練習と言って隙間見て旅芸人としてこいつらの歌と踊りを村でやってもらったんだ。収穫の日を狙ってな。」
「そう言えば練習で許可を求めてたな。」
「ああ、それで簡単な踊りを村で踊ってもらったんだ。よくわからんが好評って奴だ。」
「そんな事やってたのか。」
「色々手広い同盟じゃのお。」
　ジャンと一緒に村を巡った…だろうな、そう言えば仕入れもあったな、買い付けと…村に銀貨や金貨をばらまいたのだろう。結構こういう…援護など…。
「まあな、村に買い付けに行ったついでだ。ただ、田舎では娯楽が無い。だから結構な、」
　そう言えば、昔聞いたことがある、TRPGよもやま話的な雑談をセッションでしていた時だ。なんでドワーフの村とかで酒が人気なのかだ。その時聞いた考察は”酒しか楽しむものが無かったから”だ。あほらしいと思ったが筋が通っていた。鉱山をメインで生きていたドワーフにとって水は”鉱物が浸かって毒物になった水”鉱毒にまみれた水になりやすく普通に水分を補給することさえ難しい環境にあった。そうなると安心して飲めるのが酒だ。鉱物は当然生活を楽にしてくれて、価値が高い。それと物々交換できる価値の高い物は彼らに取って生きるに必要な水分即ち”酒”だ。ただ酒は各地で味が違う、そして口噛み酒などのまずい酒もある。鉱山に住み、その加工技術などが口コミから育つ中で得られた鉱物の対価の酒はうまい不味いともかく保存性もあり各地から手に入る酒だった。そうして酒を楽しむ文化ができた物だという考察だ。こうしてみると、酒の…発展を考えてみるか。金も使うところがなければ。問題だろうからな。