魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第12章 開発再び

第449話 急に決まる標準指定対策には社内技術力が欲しいです。

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 練習が進み新年の集いがあと2週間と迫ったころ、ギルドからメールが届く。全体メールのようだ。
『上層部承認済み。年号システムを導入し、ダンジョンにタイムスタンプ、タイムレコードを導入します。これに伴い”時のダンジョンマスター、”間のダンジョンマスター”においては一部権限を凍結し、再編成します。これは時のダンジョンマスターを知るもの向けのメッセージとなります。』
 これは結構重要な事になった。
「すまない、サンテ。今何時何分だ。」
『マルワール歴35年、11月22日、現在12時45分です。』
「一日は?」
『24時間となります。また分はそれを60等分したものとなります。秒も規定されており一秒は”0.1gの魔素結晶がMPになるまでの時間”となります。』
 そこが一定なのか。
「…あと一週間とかは?」
『7曜制が規定されていないため、一週間の規定は存在していません。』
 そう言えばそうか、一週間があるという事はすなわち”7日に一度休む日が生まれる”という事である。現在の労働体形江戸時代と一緒の”働くときは自由に働き、休日は有給報告式”である。ついでに雇った人間には基本”日給賃金”で対応している。がこれも個別に設定することになっている。但し不当な休みは貴族が兵士を送り込み無理矢理しょっ引くなどあるので、地味に冒険者(補完用労働者)が生きるチャンスを与えてくれる。但し高級品を生産する技能職の多くは山奥に監禁されたり、統治者の目の届く範囲に置かれることが多い。但しうちにその”冒険者”はいない。そこまで人が余っていないのと、雇用が現在”家族単位”になっているからだ。これにきっかけはダンジョンだった。ダンジョンに行って、そこの奥にいる獣を狩って帰って来る”狩人”が発生し、そこで肉が売られ、革も含め大量の販売物が生まれ、それが高額で買われるようになると…二つの形態が生まれる事になった。 一つはリンシュメルトと一緒の”パーティ冒険者スタイル”である。気の合う少数精鋭を組み、獣を狩ってフィールドダンジョンの入り口にある解体所に売りつけ金を得るスタイルだ。日本人的にはおなじみのスタイルだ。なお解体は彼らはしない。がこれだとお大物であるバイラード、バーストブルを含め、値段のいい獣を狩ることができない。正確には狩っても持ち帰れない。
 そこで生まれたのが、もう一つのスタイル”家族狩人”というスタイルだ。一家全員でダンジョンに向かい、そこで全員に投げる用の槍を持たせ、投げつける。そのまま戦闘して、大物を狩ると、家族全員でその一匹を持って帰る。移動できるのでダンジョンの外に行きそのまま一家総出で買いたい。欲しい部位だけもらいそれ以外をダンジョン外に露店を設置し商人に売りつける。という物だ。農家が丸ごとこれに転向することも多く、特に貧困地域、難民がこのスタイルを取っている。イーハ商会が買い取ると言ってもそれよりちょっと高い金額でも手数料を挟まないなら…露天の肉屋のほうが安い。数がこなれれば当然儲かる。というスタイルだ。その為、大量に、人間が入り、そして狩りをして帰る。少数精鋭のパーティの方は家族ではできない”夜行性のモンスター狩りや、ダンジョン内に野営しての狩り”が売りとなっている。ついでに狩りで使う槍とかは自分たちで木を切り、加工することが多い。これが育てばクラン制とか生まれるのだろうか。
『でもこれだと…。』
 そう我々は11月の半ばに新年の集いをやることになってしまう。かといってずらすのはきついだろう。なぜならタイミングをずらすと、保存している倉庫内の食品の処分や場合によっては出す食品の…特に生鮮品の関係が怖い。その為、ずらすのもきついだろうが…。
「でもこれに批准するのか?」
『ダンジョンではこれに批准いたしますが、これを国家にて機能するには”時計””時間寸借規定法律”、”時報装置”の三つが必要となります。』
 これ結構きついぞ。時計はともかく、もう一つの”時間単位の制定”はきつい。時報装置…って?
『時報装置は”時間を国内、せめて年内において知らしめる装置を設置し、それを7か月運用できるものでなくてはなりません。』
「例えば?」
『それは不明です。それに対しては発言することができません。』
 これは大会議の予感だ。
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